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国立がん研究センターとアストラゼネカ、AZD5363に関する共同研究の成果を論文発表

2015-11-19

国立がん研究センターとアストラゼネカ AZD5363に関する共同研究の成果を論文発表
〜共同研究の成果を患者さんに役立つ医薬品開発につなぐ〜


 国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:堀田 知光、以下 国立がん研究センター)とアストラゼネカ(CEO:パスカル・ソリオ、以下アストラゼネカ)は、新規抗がん剤に関する臨床開発と非臨床研究の推進を目的とする包括共同研究契約をそれぞれ2011年、2012年に締結し、臨床並びに非臨床共同研究を実施し、成果を上げてきました。そのひとつである、AKT阻害剤(*1)AZD5363に関する論文を、米国がん研究会議(American Association for Cancer Research:AACR)の学会誌のひとつである「Molecular Cancer Therapeutics」に発表いたしましたのでお知らせします。

 アストラゼネカ チーム(オンコロジー iMed AZD5363, サイエンス・リード:バリー・デービス)ならびに国立がん研究センター(NCC)チーム(研究責任者:田村研治)は、AKT阻害剤AZD5363に関する共同研究を推進してまいりました。本研究でアストラゼネカ チームは、AKT1E17K遺伝子変異(*2)を乳がん細胞に発現させ、その機能の影響を調べるとともに、人工的及び内因的(からだの内部異常に起因するもの)に作りだされたAKT1E17K遺伝子変異を発現している非臨床モデルにおいて、AZD5363がその増殖を抑制することを明らかにしました。一方、NCCチームは、日本で安全性と投与量の決定を主たる目的に実施した第I相臨床試験において、AZD5363が、AKT1E17K遺伝子変異を有する乳がんと卵巣がんの患者において部分的に抗腫瘍効果を示すことを見出しました。これらの非臨床と臨床のデータを合わせて、AKT1E17K遺伝子変異を発現している腫瘍に対し、AKT阻害剤AZD5363は合理的な治療ターゲットになりうる可能性が示唆されました。


 公表論文へのリンク:
 http://mct.aacrjournals.org/content/early/2015/09/05/1535-7163.MCT-15-0230.abstract


 *1 AKTとは、セリン/スレオニンキナーゼであるAKT/PKB(プロテインキナーゼBの別称)のキナーゼであり、細胞増殖やアポトーシスに密接に関連しており、AKT阻害剤はAKT活性を選択的に阻害する作用を有し、固形がん及び血液がんの治療薬として開発が進められている。引用元:http://www.mycancergenome.org/content/disease/lung-cancer/akt1/23/

 *2 AKT1E17K遺伝子変異とは、AKT1の脂質結合ポケット中の17位のアミノ酸(E17K)がグルタミン酸からリシンに置換している遺伝子の変異で、この変異によりAKT1阻害剤の有効性に影響を及ぼす。引用元:http://www.mycancergenome.org/content/disease/lung-cancer/akt1/23/


<国立研究開発法人 国立がん研究センターについて>
 国立がん研究センターは、1962年にわが国のがん医療の拠点となる国立機関として創設されました。以来、がん研究・がん医療における国立の中核機関としてがんの病態解明とこれに基づく治療開発に向けた先端的な研究や医療の均てん化を牽引してきました。治験の実施件数も国内トップクラスで、第I相試験や医師主導治験も積極的に実施しています。
 また中央病院と東病院は、日本発の革新的医薬品・医療機器・医療技術の開発等に必要となる質の高い臨床研究や治験を推進するため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的な役割を担う病院として、本年、医療法に基づく臨床研究中核病院に承認されました。


<アストラゼネカ株式会社について>
 アストラゼネカは、イノベーション志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細はこちらでご覧ください。http://www.astrazeneca.com
 日本においては、主にがん、循環器、消化器、呼吸器、糖尿病、ニューロサイエンスを重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社についてはこちらでご覧ください。http://www.astrazeneca.co.jp




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