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浜松ホトニクス、イオン検出用CMOSセンサの製品化にめどをつけ来春サンプル出荷

2015-11-03

医療、農業、化学、工業分野での応用に期待
イオン検出用CMOSセンサの製品化にめど
来春のサンプル出荷を目指す


 当社は、豊橋技術科学大学(愛知県豊橋市)澤田和明教授が提唱する、イオン濃度を電荷量として検出する画素技術のライセンス供与を受け、当社のイメージセンサ技術とアセンブリ技術により、高感度なイオン検出用CMOS(相補性金属酸化膜半導体)センサを開発しました。来春には第一弾として、水素イオン検出用の製品化にめどをつけ、国内外の各種機器メーカーや研究機関に向けサンプル出荷を目指します。
 本開発品により、イオン濃度の分布と変化の動画像が、高感度で取得できるため、血液検査や細胞活動の観測などの医療分野、土壌・水質調査などの農業分野の他、化学、工業などの分野における応用が期待されます。


<技術の概要>
 澤田教授が提唱する技術は、従来の光学式イメージセンサと異なる、電荷転送型イオン検出用センサ技術です。
 イオン検出センサには、プロセス工程で感応膜を積層してあります。計測時には、センサチップ(検出部)の表面に水溶液を滴下し、分析したい対象物を乗せて、イオンの分布と変化を撮像する接触型のセンサです。感応膜の種類により検出できるイオンを水素イオンやカリウムイオンなどにすることが可能です。
 検出原理は、水溶液のイオン濃度が分析対象物により変化し、そのイオン濃度に依存して発生する電位の、参照電極電位に対する変化量を電荷信号として読み出します。読み出した各画素の測定値を2次元表示することで、イオン濃度の分布と変化を動画像で観察することが可能になります。
 本技術は、通常の光学式カメラに用いるCMOS技術のため、電荷信号を蓄積して動作することで高感度化を実現します。また、検出部は、可視光に感度を持つことから、イオン濃度撮像と並行して通常のカメラ撮像も可能です。さらに、画像データを一括して読み出すグローバルシャッターを採用することで、より正確な動画像を取得することが可能です。


<開発品の概要>
 本開発品は、当社独自のイメージセンサ技術とアセンブリ技術により、量産可能な開発を実現しました。感応膜に窒化膜(Si3N4)を積層したもので、検出部が1画素30μm角、256×256チャンネル、フレームレート60Hz、水素イオン濃度(以下、pH)分解能0.1を実現したCMOSセンサです。センサチップ表面に水溶液を直接滴下するため、防水対策として、水に強い絶縁膜材料を採用し、センサチップと周辺部に樹脂を充填しています。粘着性の対象物でなければ、計測後にセンサ基板を洗浄して乾燥することで、複数回の使用が可能です。


 ※画素断面図・pH撮像例は添付の関連資料を参照


 また、感応膜を、カリウムイオンを検出するよう変更することにより、下図のように、脳研究のために役立てることも可能です。


 ※図は添付の関連資料を参照


<技術の応用>
 本開発品は医療や農業、化学などの分野での応用が期待されます。例えば、256×256画素(65,536画素)に、10×10画素(100画素)にマーカーを固定化すると、約600種類の病気を同時に検査することができることになります。つまり、多種多様な病気のマーカーをワンチップで高感度計測できる可能性があります。これが実現すれば、世界的な流行が始まったインフルエンザなど感染症を携帯電話程度のサイズで、その場で検査できるようになります。将来的には、携帯電話のアタッチメント程度にして、親指程度のスティック(USBメモリ程度を想定)を差し込んで、唾液や尿を100μl程度垂らすことで検査できるので、日頃のストレスのチェックなどにも活用できると考えられます。


<主な特長>
1、イオンの2次元分布動画像をリアルタイム、高感度に計測
 それぞれの画素の表面には水素イオン感応膜が積層され、イオン濃度が変化すると感応膜が反応し検出部の電位に変化が生じます。参照電極電位に対する電位の変化量を順次電荷信号として読み出しすることによりイオン濃度の変化を測定することができます。測定値を2次元的に表示することにより、イオン濃度の変化を動画像として観察することが可能になります。また、電荷信号の蓄積動作により高感度化を実現し、今までは困難であった微小なイオン変化の計測も可能となりました。アンプを用いずに電荷転送技術によって信号を増幅するため、高感度化のみならずノイズの低減も実現しています。

2、光学動画像の取得が可能
 光学式のイメージセンサと同様、可視光に対して感度を持つことから、電荷信号読み出し時の制御方法を変えることによって光学動画像も取得することが可能です。このため、イオン濃度撮像とカメラ撮像を比較することで、視覚的にどの部位がどのように変化しているかを確認することができます。

3、グローバルシャッター動作
 取得した信号を全画素同時に読み出すグローバルシャッター方式を採用しており、歪みが無く正確な動画像を取得できます。


<開発の背景>
 イオン検出用センサは、溶液中の特定イオンに反応・測定するセンサです。ISFET(Ion Sensitive Field Effect Transistor、イオン感応性電界効果トランジスタ)が代表的なセンサとして知られていますが、溶液中のある一点のイオン濃度を計測するものが多く、検出感度も低いものです。また、バイオ・生化学分野においては細胞間のイオンの状態や変化を動画像として計測したいというニーズに対して、従来は蛍光ラベルなどの標識を加えることで蛍光反応の検出や蛍光情報のイメージングを行っていましたが、変化を直接観察できない、計測結果を取得するのに時間がかかるなどから、イオンの変化を非標識(ノンラベル)でリアルタイムに検出を行いたいという要求が高まってきていました。このため、豊橋科学技術大学において、イオン濃度を電荷量として検出する画素技術の試作開発が行われてきました。当社では、この技術のライセンス供与を受け当社独自のCMOSイメージング技術とアッセンブリ技術により製品化に向けた開発を行ってきました。


●主な仕様

 ※添付の関連資料を参照


 ※製品画像は添付の関連資料を参照


○この件に関するお問い合わせ先
 ■一般の方 浜松ホトニクス株式会社 企画開発部 営業開発グループ
 〒430−8587 浜松市中区砂山町325−6 日本生命浜松駅前ビル
 TEL053−459−1113 FAX053−459−1114
 E−mail biz-plan@hq.hpk.co.jp



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