ミック経済研究所、ERP（会計・販売・人事）分野などSaaS・ASP市場の調査結果を発表

◆SaaS型ERP（会計・販売・人事）市場は２０１３年度が黎明期から成長期への転換点。２０１３年度〜２０１５年度（３ヶ年）はfreeeとマネーフォワードの牽引で年平均成長率３３．２％増（GEOMEAN）。
◆SaaS型とパッケージソフト型を合わせたERP（会計・販売・人事）市場に占めるSaaS型の割合は、２０１２年度までの２〜３％から２０１５年度の６．４％と飛躍的に上昇。


　・IT／ネット分野専門の市場調査機関として２５年の実績のある株式会社ミック経済研究所（本社：東京都港区、社長：有賀　章）は、ERP（会計・販売・人事）分野を含めた２６カテゴリのSaaS・ASP市場を調査したマーケティング資料「クラウドサービス（SaaS／ASP）市場の現状と展望　２０１５年度版」を、２０１５年７月３日に発刊したと発表しました。
　・国内にはSaaS型ERP（会計・販売・人事）ベンダが２９社存在する。内１６社を面接調査し、それを積上げて残り１３社を推定して全体市場動向を集計・分析。調査１６社は個票として掲載されている。
　・詳細目次はhttp://www.mic-r.co.jp/mr/00895


　調査内容のサマリー・ハイライトは、以下の通り。

１．　２０１３年度が黎明期から成長期への転換点
　２０１３年度のSaaS型ERP（会計・販売・人事）市場は４，５６０百万円で、前年度よりプラス２１．９％、従来の１０数％増と比べて一つステップアップした。更に２０１４年度は６，１８０百万円の３５．５％増と、大幅な増加。新たに市場参入したfreeeとマネーフォワードの貢献が非常に大きく、同２社を除くと５，６１０百万円の２３．０％増となる。それにしても２０１３年度の２１．９％増に続き２割増で、SaaS型ERP市場は黎明期から成長期に入ったと言える。ストックビジネスであるSaaSサービスはダムに一定の水が貯まると、急速に市場が拡大していく収益モデルである。２０１４年度にはWindowsXPのサポート切れや消費税特需の反動もあったが、それを楽々と乗り越えている。

　２０１１年度以降、東日本大震災をトリガーに基幹系システムでもBCP対応となるSaaS、更にクラウドサービスに注目が集まり、２０１２年度からは実際に同サービスを導入するユーザが一段と増えてきた。その背景としてユーザのSaaS導入メリットへの理解が進んだことが挙げられる。
　一つは、導入時に発生していた多大な投資を削減し、月額利用料として変動費化。
　二つは、導入・構築期間の大幅な短縮化（オンプレミスと比べて２分の１期間）。
　三つは、日進月歩の技術向上への対応などの運用管理業務から開放、コア業務にリソースシフト。
　更に、データセンタ活用のクラウドサービス提供により情報漏洩などのセキュリティが強化され、基幹業務情報の外出しへの抵抗感が薄れてきたことも大きい。また、ベンダの、パッケージソフトのSaaS版から、SaaS版のためのソフト提供への発想の切り替えで、リーズナブルな価格体系を実現し、中小企業への普及が急速に進んでいる。


２．　２０１４年度と２０１５年度はfreee＆マネーフォワードが牽引
　２０１５年度の市場規模は９１億円弱。前年度より４６．３％増と更に飛躍的な伸び率を示す。freeeとマネーフォワードの２社はシェア１位、２位に位置し、両社合わせて前年対比３６８．４％の２，１００百万円、シェア２３．１％を占める。２０１５年度の増額分は２，９１６百万円で、内freeeとマネーフォワードの２社で５２．５％を占める。
　以上から、SaaS型とパッケージソフト型を合わせたERP（会計・販売・人事）市場に占めるSaaS型の割合は、普及が進まなかった２０１２年度までの普及率２〜３％から、２０１５年度は同６．４％と飛躍的に上昇。日本においての会計ソフトのSaaS化は基幹業務情報の外出しとなるため困難とのジンクスは破れたと言える。

　なお、両社の爆発的成長要因は、以下の通りである。
　（１）．従来、他社が掘り起こして来なかった国内に５００万件以上ある個人事業者を、ネットを使ったプル型営業で開拓したこと。
　（２）．無償登録からスタートしてユーザを増やしていったこと。
　（３）．価格は両社とも初期費用は無償で、月額料金は、freeeが個人事業主向け９８０円、法人向け１，９８０円、マネーフォワードが同８００円、同１，８００円と業界一安価であること。
　（４）．銀行口座やクレジッドカードの登録で取引明細・入出金データを自動取得し、それを自動仕訳できることから、会計処理の手間ひまを簡便にし、格段に効率化できること。


■「クラウドサービス（SaaS／ASP）市場の現状と展望　２０１５年度版」の資料体裁・価格
　・体裁：A４判１，３９３頁のファイル製本（コピー製本）
　・発刊：２０１５年７月３日
　・価格：［１］コピー製本版　２０５，２００円、［２］コピー製本版＋PDF版　２４８，４００円、［３］CD−ROM（Word、Excel形式）版　４１０，４００円、［４］セット割引　５８３，２００円（いずれも消費税込）


　※図１・表１〜２は添付の関連資料を参照