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NEDO、1粒子蛍光ナノイメージングによる分子病理診断技術を開発

2015-05-02

1粒子蛍光ナノイメージングによる分子病理診断技術を開発
―創薬研究分野を対象とした病理標本作製サービスの展開へ―


 NEDOプロジェクトにおいて、コニカミノルタ(株)は、1粒子蛍光ナノイメージングによる分子病理診断技術の開発を実施し、前臨床〜臨床段階での治験ビジネスの展開が見通せる成果を得ました。今後、創薬研究分野を対象とした蛍光ナノ粒子による病理標本作製サービスの展開を行う予定です。


1.概要

 NEDOプロジェクト(※1)において、コニカミノルタ(株)は、1粒子蛍光ナノイメージングによる分子病理診断技術として、高輝度を有する蛍光剤を結合した蛍光抗体を用いて高精度かつ定量的に病理切片を解析し、がん治療薬の選択を含む正確な診断に寄与することを目的に研究開発を実施しました。その結果、病理切片上でのタンパク定量法として1粒子蛍光ナノイメージング技術を用い、前臨床〜臨床段階での治験支援ビジネスの展開、並行して、コンパニオン診断薬開発受託及びその販売ビジネスの展開が見通せる成果を得ました。

2.今回の成果

 ・1粒子蛍光ナノイメージング技術の病理標本作製サービスへの展開
 医療、ライフサイエンスの分野では、蛍光物質を用いた検出手法が細胞イメージングや生体イメージングの研究開発に利用され、注目されています。これら蛍光検出技術の一分野として、有機蛍光色素を用いた検出技術があります。しかし、従来の有機蛍光色素を用いた場合には、1)輝度が低い、退色する、2)感度や定量性が低い、という課題がありました。
 NEDOプロジェクトにおいて、コニカミノルタ(株)は、1粒子蛍光ナノイメージングによる超高精度がん組織診断技術及びシステムの開発を実施し、銀塩写真用粒子の開発で培った技術を応用することにより、粒径分布が極めて小さいナノサイズの蛍光体粒子(蛍光ナノ粒子)を開発しました。この蛍光ナノ粒子は、市販量子ドットの100倍以上の蛍光強度を有し、汎用顕微鏡で目視確認できる高輝度化を実現するとともに、10分間の励起光照射後も蛍光強度を安定に維持する特徴を有し、輝度と退色の課題を解決しました。
 高輝度化により、蛍光が組織由来の自家発光や細胞形態標識剤のヘマトキシリンやエオジンの発光を大幅に上回り、形態と蛍光の同時観察が可能となりました。また、退色抑制技術の導入により、従来使用されている有機蛍光色素と比較すると格段に観察中の安定性が向上します。同時に、蛍光粒子の表面修飾技術と蛍光粒子用染色材料の開発により、これまで量子ドット等で問題となっている非特異的吸着を大幅に低減する事が可能となりました。この蛍光ナノ粒子と表面修飾技術、染色技術を病理分野に応用することで、がん組織の特定タンパク質の検出感度と定量性の大幅な向上を可能としました。
 コニカミノルタ(株)は、新開発の蛍光ナノ粒子と表面修飾技術、染色技術を臨床現場等で広く利用されている検体(ホルマリン固定パラフィン包埋組織)を用いてHER2(※2)、Ki−67(※3)、c−Met(※4)、PD−L1(※5)を対象マーカー(今後順次追加予定)とした蛍光ナノ粒子染色標本を作製し、顕微鏡画像、画像解析(オプション)のサービス提供を予定しています。これに先立ち、第104回日本病理学会総会(※6)のランチョンセミナーにて本研究開発成果が発表され、企業展示ブースにて本サービスが紹介されます。

 *参考画像は添付の関連資料を参照


【用語解説】
 ※1 NEDOプロジェクト
 ・名称:がん超早期診断・治療機器の総合研究開発/超早期高精度診断システムの研究開発:病理画像等認識技術の研究開発/病理画像等認識基礎技術の研究開発(1粒子蛍光ナノイメージングによる超高精度がん組織診断技術)、病理画像等認識自動化システムの研究開発(1粒子蛍光ナノイメージングによる超高精度がん組織診断システム)
 ・期間:2010年度〜2014年度
 ・参加機関:コニカミノルタ(株)、東北大学

 ※2 HER2
 HER2は細胞の膜に存在する受容体(レセプター)であり、これがたくさんある乳がん(HER2タンパクが高発現している、HER2陽性乳がんと言います)はがん細胞の増殖が速く、予後は不良であることが知られています。また、HER2を標的にした治療薬はHER2陽性の乳がんのみに有効であることから、HER2の発現状況の検索が必須になっています。

 ※3 Ki−67
 細胞が分裂しようとしている時に出てくるタンパク質であり、細胞の核に局在します。細胞の増殖の能力を示す物質と考えられており、悪性度の判定に用いられています。

 ※4 c−Met
 HGFをリガンド(特定の受容体に特異的に結合する物質)とする受容体型チロシンキナーゼであり、細胞の増殖や遊走、浸潤といったさまざまな細胞機能発現に重要な役割を果たす一方で、その遺伝子増幅や過剰発現などが癌の悪性化や耐性化に寄与していることが知られています。

 ※5 PD−L1
 多くの異なるタイプのがんで発現が上昇しており、その相互作用を標的とする治療法が有望であることが前臨床試験で示されています。

 ※6 第104回日本病理学会総会
 ・開催日時:2015年4月30日(木)〜5月2日(土)
 ・開催場所:名古屋国際会議場


(出典)
 ※2、3 埼玉県立がんセンター「乳腺専門の病理医が答える 乳がんの病理 Q&A集」
 ※4 羊土社「実験医学online バイオキーワード集」
 ※5 natureasia.com「抗PD−L1抗がん治療に対する患者の反応を予測する」





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