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東京商工リサーチ、「空港ターミナルビル経営動向」調査結果を発表

2011-03-17

「空港ターミナルビル経営動向」調査
〜売上高トップは羽田ビル会社は9割黒字 国管理空港の7割が赤字〜


 全国の主な空港ターミナルビル運営会社(以下、空港ビル会社)55社の2009年度(2009年4月−2010年3月期)決算は、45社(構成比81.8%)が減収だった。しかし、経常利益が判明した50社のうち、45社(同90.0%)は黒字を維持した。
 55社の売上高合計は前年比6.7%減、経常利益も同10.3%減と業績は落ち込んだが、経常赤字は5社にとどまり、高い収益力を維持している。滑走路など空港施設を整備管理する空港収支は、大半の空港が赤字で、空港ビル会社の突出した収益水準が際立っている。
 本調査はTSRデータベースに登録されている主な空港ビル会社55社を対象に、2009年度の決算内容を調査した。

(1)空港ビル会社
 売上高:全体で6.7%減空港ビル会社の8割が減収
 55社の売上高トップは日本空港ビルディング(羽田)の975億3,200万円だった。2位の北海道空港(新千歳)の2倍以上で、空港ビル会社ではダントツの売上高を誇る。以下、大阪国際ターミナル(伊丹)、福岡空港ビルディング(福岡)、那覇空港ビルディング(那覇)の順。売上高の上位5社は2009年度空港別乗降客数の上位5空港(羽田、新千歳、福岡、伊丹、那覇)と一致し、旅客数にほぼ呼応している。
 55社の2009年度売上高合計は2,300億3,400万円で、前年度より6.7%減少した。増収は10社(構成比18.2%)にとどまり、44社(同81.8%)が減収だった。
 売上高の上位10社はすべて前年度を下回り、落ち込みが目立った。2009年度の国内全空港の乗降客数は2億2,828万人で、前年度を5.7%下回っており(国土交通省調べ)、空港ビル会社の売上も乗降客数の減少に比例するかたちとなった。

<JAL撤退・減便の影響も>
 売上高が最も伸びたのは、2009年6月に開港した富士山静岡空港の1801.8%増。開港初年度で実質的な売上計上が1期目という特殊要因だが、2009年度売上高は55社中21位と健闘した。
 次いで、小牧空港の名古屋空港ビルディングで27.9%増。2005年の中部国際空港の開港後、国際線ターミナル跡を大型商業施設として賃貸。不動産収入が寄与し、黒字転換を果たした。
 一方、売上高の減少率が最も著しかったのは福島空港ビルで36.6%減。2位の富山空港ターミナルビル(9.9%減)と比べ落ち込みが突出した。国内線で最大7路線を運行していたJALグループが2009年1月までに全面撤退した影響が大きかった。同空港では上海・ソウル便など国際線やチャーター便の拡充で利用客アップを図り、2010年度は業績回復を見込んでいる。
 特色を打ち出すことが難しい地方空港で、JAL撤退・減便をどう克服するか注目される。

 ※売上高ランキング・売上高増加率ランキングは添付の関連資料を参照


<空港ビル減益傾向でも黒字率は9割>
 経常利益が判明した50社の2009年度の経常利益総額は134億6,300万円(前年比10.3%減)。
 黒字が45社(構成比90.0%)、赤字は5社(同10.0%)。黒字率は前年度(同90.0%)と同比率だった。
 黒字45社中、増益は21社(同46.7%)で、減益は24社(同53.3%)だった。経常利益の上位10社の顔ぶれは概ね売上高ランキング上位と同じだが、福岡空港ビルディング、松山空港ビル、熊本空港ビルディングの3社を除く7社が前年を下回った。また、長崎空港ビルディングと壱岐空港ターミナルビル、根室中標津空港ビルの3社は2期連続で赤字を計上。経常利益でワーストだった長崎空港ビルディングは空港の乗降客数が前年度比14万3,000人減と、3年連続で減少し苦戦が続いている。
 経常利益率が最も高かったのは熊本空港ビルディングの32.2%。経常利益率上位10社のうち熊本空港ビルディング、松山空港ビル、広島空港ビルディングなど7社が前年に引き続き上位10社にランクインしており、安定した収益力がうかがえる。

<多くの空港ビル会社が高い利益水準と安定資本>
 減価償却実施額が判明した20社の減価償却実施額合計は185億1800万円。一方、同じ20社の経常利益合計は75億1,000万円だった。ターミナルビルや空港施設等で減価償却を実施しても相応の利益を確保することができる体質を持続している。
 こうした利益蓄積が進み、空港ビル会社の多くが厚い自己資本を維持している。自己資本比率が判明した52社の平均は62.1%。自己資本比率90%台が12社で最も多く、次いで70%台10社、50%台7社の順。唯一、新潟空港ビルディングが債務超過だが、全体としては高水準の自己資本比率で、高い収益構造と安定的な資本力が背景となっている。


 ※経常利益ランキング、空港別収支など以下詳細は添付の関連資料を参照

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