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帝国データバンク、2月の全国企業倒産集計を発表

2011-03-11

2011年2月報

倒産件数は884件、2ヵ月ぶりの前年同月比減少
負債総額は3919億8200万円、4ヵ月連続の前年同月比減少


倒産件数 884件
前月比 9.4%減
前月 976件
前年同月比 8.5%減
前年同月 966件

負債総額 3919億8200万円
前月比 57.0%増
前月比 57.0%増
前年同月比 8.3%減
前年同月 4275億9600万円


※「件数・負債総額の推移」は、添付の関連資料を参照


■件数

ポイント 2ヵ月ぶりの前年同月比減少
 倒産件数は884件(前月976件、前年同月966件)で、前月比は9.4%、前年同月比も8.5%の減少となった。2ヵ月ぶりに前年同月を下回り、2010年5月(879件)以来9ヵ月ぶりに800件台にとどまった。

要因・背景
 1.好調な外需や住宅販売の持ち直しなどを受け、製造業と不動産業の2業種で減少目立つ
 2.負債規模別では5000万円未満(445件)が構成比50.3%、零細倒産の高止まり続く


■負債総額

ポイント 4ヵ月連続の前年同月比減少
 負債総額は3919億8200万円(前月2496億8400万円、前年同月4275億9600万円)で、前月比は57.0%の増加となったものの、前年同月比は8.3%の減少で、4ヵ月連続で前年同月を下回った。

要因・背景
 1.負債トップは、国内有数のバイオ企業の(株)林原(岡山県)で1322億7100万円
 2. 林原など3社を除く負債は1591億7900万円と過去10年で最低、大型倒産の沈静化続く


■業種別

ポイント 製造業、2年8ヵ月ぶりの低水準
 業種別に見ると、7業種中6業種で前年同月を下回った。なかでも、製造業(118件、前年同月比▲20.8%)は、2008年6月(117件)以来2年8ヵ月ぶりに120件を下回る水準となった。不動産業(19件、同▲38.7%)も2002年9月(20件)を下回り、過去10年間で最少。一方、運輸・通信業(38件、同+31.0%)は唯一前年同月を上回った。

要因・背景
 1.製造業…金属製造業(8件)が前年同月比60.0%の大幅減少
 2.不動産業…建物売買業(4件)が前年同月(8件)から半減
 3.運輸・通信業…道路貨物運送業(28件、前年同月比+55.6%)の増加目立つ


■主因別

ポイント 「不況型倒産」の構成比83.6%、1年9ヵ月連続で80%台の高水準
 主因別の内訳を見ると、「不況型倒産」の合計は739件(前月808件、前年同月812件)となった。構成比は83.6%(前月82.8%、前年同月84.1%)で、前月は0.8ポイント上回ったものの、前年同月は0.5ポイント下回った。2009年6月の81.2%以降、1年9ヵ月連続で80%台の高水準。

要因・背景
 1.「返済猶予後倒産」が15件(前年同月比+87.5%)発生、うち円滑化利用後倒産は9件
 2.「円高関連倒産」が3件発生(2010年1月以降の累計68件)、うちデリバティブ関連2件

 倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計


■規模別

ポイント 負債5000万円未満の構成比、4ヵ月ぶりの50%超え
 負債額別に見ると、負債5000万円未満の倒産は445件、構成比は50.3%を占め、前年同月を2.4ポイント上回り、4ヵ月ぶりに50%を超えた。一方、負債100億円以上の大型倒産は3件にとどまった。資本金別に見ると、個人経営と資本金1000万円未満が489件発生、構成比は55.3%を占めた。中小企業基本法に基づく中小企業・小規模企業を見ると、中小企業は883件で全体の99.9%、小規模企業も754件で同85.3%を占め、小規模倒産は高水準で推移した。

要因・背景
 1.負債5000万円未満の倒産、小売業(110件、前年同月比+12.2%)で増加目立つ
 2.負債100億円以上の倒産は、1年10ヵ月連続の1ケタにとどまる


■地域別

ポイント 中部、過去10年で最多
 地域別に見ると、9地域中6地域で前年同月を下回った。なかでも東北(28件)は前年同月比44.0%の大幅減少となったほか、関東(324件、前年同月比▲12.7%)は2008年4月(321件)以来2年10ヵ月ぶりの低水準。一方、中部(156件、同+9.9%)は、2009年11月(146件)を上回り、過去10年で最多を記録した。

要因・背景
 1.関東は製造業(45件、前年同月比▲31.8%)、サービス業(70件、同▲27.8%)で大幅減
 2.中部は、愛知を中心に負債5000万円未満(77件、前年同月比+24.2%)の零細倒産が増加


■上場企業倒産
 2月は、2ヵ月ぶりに上場企業の倒産は発生しなかった。
 2010年度の上場企業倒産の累計は新興市場を中心に9件と、前年同期の7件を上回っている。しかし、国内景気はリーマン・ショック後の最悪期を脱しており、上場企業の倒産は沈静化が続いている。


■大型倒産
 負債額トップは、国内有数のバイオ企業の(株)林原(岡山県、会社更生法)で1322億7100万円。(株)林原生物化学研究所(岡山県、会社更生法、負債636億6500万円)、(株)林原商事(岡山県、会社更生法、同368億6700万円)と関連会社2社が続き、3社負債の単純合計は2328億300万円にのぼった。
 負債100億円以上の倒産は林原など3社のみで、2009年5月以降1年10ヵ月連続で1ケタの件数にとどまっており、大型倒産の沈静化が続いている。


景気動向指数(景気DI)

景気DIは35.4、前月比1.7ポイント増となり、4ヵ月連続で改善
 2011年2月の景気動向指数(景気DI:0〜100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.7ポイント増の35.4となった。4ヵ月連続で改善して、今回の景気回復局面における最高を更新し、2008年3月(35.6)以来2年11ヵ月ぶりの水準となった。
 中国やインドなどの好調な外需によって、化学や機械、電機、自動車などを中心に製造業は全体を上回って改善を続け、国内景気のけん引役となっている。また、内需も政策支援の効果が持続し、年度末需要も底上げにつながった。これにより、2010年3月以来11ヵ月ぶりに全10業界がそろって改善した。

国内景気は外需がけん引して踊り場脱するも、足元は不安定
 しかし、原材料価格の高騰やデフレの長期化で企業の収益性は厳しさを増している。とくに小売業は全体を下回る水準が続いており、回復の遅れが鮮明となっている。政策支援が終了した影響も大きく、自動車小売は低調な推移が続いている。一方、政策効果が持続している家電小売や住宅関連業種は今回の景気回復局面での最高を更新しており、政策支援の終了・継続で対照的な結果となった。
 企業の設備投資は慎重な姿勢が続いており、家計でも雇用不安は根強く、医療や年金など社会保障問題も重しとなって消費の回復力も弱い。国内景気は外需がけん引して踊り場を脱し、緩やかに回復を続けているが、依然として足元は不安定な状況にある。


<今後の見通し>

■倒産件数884件、2月としては4年ぶりの800件台にとどまる
 2011年2月の倒産件数は前年同月比8.5%減の884件で、2ヵ月ぶりに前年同月を下回った。倒産件数が800件台となるのは、2010年5月(879件)以来9ヵ月ぶり。2月としては2007年(818件)以来4年ぶり。2011年1月は前年同月比2.8%増と微増ながら1年5ヵ月ぶりに増加に転じていたが、2月は再び減少するなど、各種金融支援策の効果が弱まりつつあるなか、倒産は一進一退の様相を呈している。一方、負債総額は前年同月比8.3%減の3919億8200万円と低水準が続いた。負債100億円以上の大型倒産も国内有数のバイオ企業、林原など3社(岡山、負債単純合計2328億300万円)のみで、上場企業倒産も2ヵ月ぶりに発生しなかった。

■製造業が2年8ヵ月ぶり低水準、一方、運輸・通信業は業種別で唯一の増加
 業種別では、製造業と不動産業の2業種が大きく減少した。製造業(118件)は2年8ヵ月ぶりの低水準、不動産業(19件)は過去10年で最少となった。製造業は好調な外需による生産活動の改善、不動産業は低金利と各種支援策による住宅販売の持ち直しが背景にあるとみられる。一方、運輸・通信業(38件、前年同月比31.0%増)は、業種別で唯一の増加となった。燃料費の高騰や荷主からの値下げ圧力などもあり、厳しい経営環境が続いた。地域別では東北、関東など9地域中6地域が減少するなか、中部(156件)が過去10年で最多を記録。愛知を中心に零細企業の倒産が増加した。倒産主因別では販売不振や業界不振などを原因とする「不況型倒産」の構成比が83.6%と1年9ヵ月連続で80%台の高水準。負債規模別では5000万円未満(445件、50.3%)が半数を占める状況に変化はなく、零細倒産の高止まりが続いた。

■原料高、円高関連倒産の続発を懸念
 内閣府は、2月の月例経済報告において景気の基調判断を2ヵ月連続で上方修正した。「景気は持ち直しに向けた動きがみられ、足踏み状態を脱しつつある」との指摘のとおり、国内景気は輸出主導で、大企業を中心に緩やかな回復を続けている。しかし、中小・零細企業までその恩恵が行き届いているとは必ずしもいえず、回復の実感に乏しいのが現状だ。先行きも懸念材料が山積しており、楽観はできない。そして今後の倒産件数に大きな影響を与えそうなのが、資源・食料価格の高騰だ。とくに原油価格の上昇は直接間接を問わず、ほぼすべての業界に一定期間を経て影響を及ぼすだけに、中東情勢の緊迫化で価格高騰が長引けば、企業体力に劣る小規模企業を中心に関連倒産が相次ぐおそれもある。円高水準も長期化するなか、円高関連倒産が2月も3件発生、2010年1月以降の累計で68件となるなど、影響は広がりつつある。

■今後、リスケ後倒産増加のおそれも
 金融円滑化法の1年延長に伴い、ほぼすべての返済猶予(リスケ)要請に応じてきた金融機関の対応が厳しくなるおそれもある。金融庁が今後の対応として「リスケ先の経営改善状況」まで金融機関に問う方針を明らかにしているためだ。これにより業況改善の見込みがないままに、金融機関が再びリスケ要請に応じることは事実上難しくなる。そもそも、円滑化法申請時に必要な経営計画の未提出企業も少なくないとの指摘もある。2月のリスケ後倒産は15件判明し、2010年1月以降の累計も140件に達したが、「金融庁の方針変更を受け、消極的ながらリスケ要請に応じてきた金融機関の対応が変わり、4月の統一地方選をひとつの境に倒産が増える可能性はある」(弁護士)との声もあり、今後、返済再開のタイミングで関連倒産の続発が懸念される。政策支援の縮小・終了、雇用・所得低迷、デフレ等のマイナス要因もあるが、当面は現状のほぼ横ばい水準で一進一退の推移が続きそうだ。しかし、倒産全体の30%前後を占める建設業と15%超を占める小売業が件数を押し上げ、再び増加に転じる可能性もある。

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