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岐阜大など、クレージング法を用いたナノ多孔ファイバーを開発

2014-10-25

世界唯一の技術でつくる繊維。
岐阜大学が地域企業・公設試(5社・1県)と連携して
ビタミンCを閉じ込めた肌にやさしい繊維”等を開発。
メッセナゴヤ2014にて試作品の発表を行います。


 国立大学法人岐阜大学(所在地:岐阜県岐阜市柳戸1−1学長:森脇久隆)は世界唯一、クレージング法(※1)を用いたナノ多孔ファイバーの開発に成功したことをご報告致します。また、同技術を用いた繊維を利用した製品を岐阜県下の繊維企業と連携して開発をすすめ、その試作品を2014年11月5日(水)から8日(土)より行われるメッセナゴヤ2014に出展致します。


■当技術を用いた繊維で可能になること
 当技術を繊維製品に応用することで、従来の技術では閉じ込めることが困難であったビタミンCやタンニンを繊維の中に閉じ込め、肌にやさしいシャツや、抗菌・防臭繊維を使った靴下等を作ることが可能になります。また、その堅ろう性からより長時間効果を持続させることが可能になります。

 ※1 クレージングとは
  プラスチックが破壊される直前にナノ多孔構造を形成する現象のこと。この現象が起こると白化するため、通常は抑制するよう材料設計しますが、このクレージングを有効に利用する独自技術を開発しました。クレージングにより生じた領域をクレーズと呼びます。

 *写真は添付の関連資料「写真(1)」を参照


■クレージング法によるナノ多孔ファイバーの特徴
 ・繊維のナノ孔は、製造後であっても孔径を自由に変更できる。これにより以下の特徴がある。
 ・揮発性、熱に弱いなど添加困難な素材を、物理的に孔に閉じ込める(酵素、ビタミンなど)。
 ・孔の径を変えると、薬剤を放出して外部の水を浸入させない。長期利用および洗濯が可能。


■従来技術との比較
 ・コーティング法に比べ耐久性に優れる。
 ・混練法のように高い熱が加わらず、後処理で機能付加ができる。


<人生の3分の1は睡眠だが、97%は繊維と触れている。最も人と接している時間が長い人工素材が繊維。>
〜長い付き合いの相棒(=繊維)が、やさしく、ゆっくりと人の生活を癒してくれることを目指す〜


■メッセナゴヤ2014の出展について
 メッセナゴヤ2014は11月5日(水)から8日(土)に開催され、岐阜大学ではクレージング法を用いたナノ多孔ファイバーを利用した製品の試作品を展示致します。試作品は機能の異なる繊維により、春夏秋冬をイメージしたシーツ等となっております。

 *「メッセナゴヤ2013出展風景」は添付の関連資料を参照


 春:ビタミンCを閉じ込めた肌にやさしい繊維
 夏:メントールを閉じ込めたクールな繊維
 秋:タンニンを閉じ込めた抗菌・防臭繊維
 冬:トウガラシやショウガの成分を閉じ込めたホットな繊維


■クレージング法を用いたナノ多孔ファイバーについて
 破壊をコントロールするクレージング法によるナノ多孔ファイバーは、ナノサイズの袋に素材を詰め込み、口を縛るように孔を閉じることができます。これにより、従来技術では実現不可能だった、素材をそのままナノ空間にパッキングすることが可能となりました。天然素材は、熱や揮発で成分の一部が失われることなく、そのまま閉じ込めることができます。リパーゼを閉じ込めた繊維は、水に洗い流されることなく繊維に付着する脂肪汚れを分解することができます。この技術では、コーティングのように、製品に後から薬剤を付与でき、その薬剤は繊維の中心部まで浸透するため、最後は練り込んだようになります。もうヤスリでこすっても薬剤は落ちません。

 *写真は添付の関連資料「写真(2)」を参照


■ナノ多孔ファイバー研究ストーリー
 通常であれば抑制するように設計されるクレーズを、岐阜大学は制御し故意に発生させることで「覗き見防止フィルム」や「マイクロバブル発生装置」などへの技術移転に成功しました(後者については、メッセナゴヤ2014にて、(株)ナックが別ブースにて展示)。これを技術不況に苦しむ地域繊維産業に応用できないかと考え、2011年に「岐阜大学クレーズナノ多孔ファイバー実用化研究会」を組織し活動を開始しました。以降、岐阜県下の繊維企業数社と共同研究開発を進めております。
 2012年段階では繊維の性質を正確に把握できず、試作品第1号を製作するも、繊維生産が安定しませんでした。その結果、製品化に失敗。2013年の段階ではフィルムを細く切るスリット繊維に切り替え、繊維の生産は容易になりましたが、編・織が難しくコストも高いため、やはり製品化を断念。そして今年に入り、ブレークスルーがありました。フィルムメーカーとの共同開発に成功し、新しいクレージングフィルムの使用が可能となりました。その結果、受注があれば生産できる見通しが立ち、この度のメッセナゴヤ2014では、試作例を公開予定となっております。
 今後の課題は、製品としての耐久性や安全性の検証をすすめ、確認していくことを第一とし、地域貢献の一環としても岐阜県下の企業と連携を取り、地域活性化の一助になればと考えております。


岐阜大学クレーズナノ多孔ファイバー実用化研究会について
 国立大学法人岐阜大学の工学部武野明義准教授を中心とする岐阜大学クレーズナノ多孔ファイバー実用化研究会は、岐阜大学をはじめ岐阜県産業技術センター、神谷マテリアル岐阜(株)、ミワマサニット(株)、(株)旭織物、(株)東洋繊維、(株)八木熊他で構成されている研究会です。
 本研究会は、文部科学省:地域イノベーション戦略支援プログラム(グローバル型「東海広域ナノテクものづくりクラスター」(2013年終了)の成果を活用しています。また、岐阜県研究開発財団の助成により試作・出展しております。

 *参考資料は添付の関連資料を参照


■学校法人概要
 法人名:国立大学法人岐阜大学
 代表者:学長 森脇久隆
 所在地:岐阜県岐阜市柳戸1−1
 URL:http://www.gifu-u.ac.jp/



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