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グリーンブルー、養豚場から出る悪臭・汚水問題を低コストで低減させるシステムを開発

2014-10-15

ナノテクを駆使して目指すは“養豚経営革命”
画期的技術の融合で、養豚場から出る悪臭・汚水問題を低コストで解決
アンモニアガスを自動連続サンプリング、微細気泡で糞尿を浄化・再利用


 環境汚染に関する調査・分析・モニタリングサービスを展開するグリーンブルー株式会社(本社:横浜市神奈川区、東京都大田区、代表取締役社長:谷 學)は、株式会社富喜製作所(本社:埼玉県熊谷市、代表取締役社長:佐藤貴代)と共同で、現在社会問題化している養豚施設から発生する悪臭や汚水を、低コストで大幅に低減させる画期的システムを開発いたしました。

 同システムは、当社が開発した温室効果ガス等を連続で自動サンプリングする装置『アグス』と、富貴製作所のオリジナル製品で、糞尿を高度に浄化する働きを持つファインバブル発生装置『ミクロスター』を組み合わせたもので9月上旬よりラボ実験に着手しており、今年中に基礎データを収集後、来年1月には養豚場での実地実験を開始して各種データを収集・解析し、来春には国内外の大規模養豚業者や地方自治体などへのサービス提供をスタートさせる予定です。


■養豚業者にとって今や“死活問題”となっている「悪臭・汚水対策」
 農林水産省が今年7月にまとめた「畜産環境をめぐる課題」によると、畜産経営の大規模化と宅地との混住化に伴い、近年、悪臭等の環境問題が顕在化し、苦情発生率が増加傾向にあります。また、国が定める「悪臭防止法」の規制基準として、人間の嗅覚を用いて悪臭の程度を数値化した「臭気指数」を導入している自治体(市町村)数も平成16年度の229から平成24年には428まで増加しています。

 さらに、平成25年度における「畜産経営に関する苦情発生総件数」(2156件)の内訳を見ると、約6割が悪臭関連、約2割が水質汚濁関連となっており、8割近くが家畜の糞尿に起因するもの。すなわち、糞尿処理をより効果的に行うことで、近隣住民からの苦情発生をかなりの割合で抑えることができると考えられます。

 これまでに、光触媒脱臭装置や土壌脱臭装置、軽石脱臭装置、ウインドレス畜舎など様々な臭気低減技術が開発・導入されてきました。コストを惜しまなければ、臭気を十分に低減させることは可能です。ところが、こうした“環境に配慮した”家畜排せつ物処理施設に対する設備投資は、競争力アップや生産コスト低減などの面で経営者にとって大きな負担となっているのが現状です。

 たとえば、母豚300頭を飼育する、ある中規模農場の場合、年間8000万円程度の糞尿処理経費がかかり、これは出荷豚1頭当たり約1500円、販売価格の約5%に相当するというデータがあります。さらに、母豚4000頭の大規模農場の場合では、1頭当たり3500円、販売価格の実に12%を占めるというデータもあります。そして、こうした十分な設備投資ができない小規模農場は廃業を余儀なくされているのです。こうした現状は、「食の安全」「自給率向上」といった国内産畜産物の未来を考える上で、極めて問題であると言えます。


ナノテクノロジー『ファインバブル』が、家畜の糞尿による悪臭・汚染を劇的に減らす
 こうした日本の養豚業界の現状を踏まえ、どうすれば低コストで、近隣住民からの悪臭苦情を解消しつつ、より美味しくて安全な豚肉を提供することができるか――我々が目指す『ファインバブルを用いた養豚経営革命』の主眼は、まさにこの点に集約されます。

 微細気泡(ファインバブル)を含んだ水については、これまで多くの技術者・科学者によって研究が進められており、表面の汚れを落とす洗浄力、皮膚の傷口の殺菌効果、汚水の浄化力や生物育成促進など様々な効果があることが指摘されています。さらに、国際的な規格統一を図るために、2013年6月には日本国内に国際標準の専門委員会(ISO/TC281)が設立されました。

 専門委員会では微細気泡の名称を『ファインバブル』に統一することを決めています。通常気泡が水中から直ちに上昇して表面で破裂するのに対し、マイクロバブル(直径60μm〜1μm程度)では通常気泡より若干長く水中に留まります。ウルトラファインバブル(1μm以下)になると長期間滞留し、気泡径がさらに収縮を重ねるといわれています。これによって酸素がより保たれ、好気性菌が活性化され、泡の表面積が大きいことから水中における気体の溶解能力も高まり、浄化処理内の生物処理効果が高まります。また、マイナス電位を帯びていることからプラス電位と出会うことで殺菌・浄化にもつながります。

 このファインバブルを効率よく発生させる装置が、富喜製作所が開発した『ミクロスター』です。ナノサイズのバブルを均一に発生させることができ、水中への混入率も高く、気体の安定供給量が向上。24時間365日フル稼働が可能でメンテナンスフリーという特長も持っています。すでに水耕栽培(工場野菜)や魚介類の殺菌・洗浄処理、養殖養魚における酸素補給などで同装置の導入が進められていますが、我々は養豚施設における糞尿処理、豚舎環境の改善・保持、飲料水への利用、設備費用・ランニングコスト低減などに同システムを活用していきます。

 現在、ミクロスターを導入して養豚業を行っているのが、最大規模、8万1400頭の豚を飼育する秋田県の「ポークランドグループ」です。ここでは1日当たり1頭5.9kgの排泄物が出ますが、これを糞とシ尿に分離し、シ尿は浄化槽内でミネラルと腐植土が加えられ、ファインバブルで循環・混合されます。これによって臭いが十分にとれ、ミネラルがたっぷり含まれた『生物活性水』と呼ばれる処理水を作り出し、再利用しています。

 同処理水は真水で100倍に薄められて、豚の飲み水として使用されるほか、豚舎の天井部から霧状噴射して施設内の洗浄にも利用されています。これにより、抗生物質が含まれない飼料を摂取した“薬剤汚染を受けていない豚”の飼育を可能としているほか、豚糞にバイオベッド(木チップ)、生物活性水を合わせた良質な堆肥を製造・販売しています。さらに、従来の排泄物処理作業に比べて、電気消費量を75%に抑えることができたといわれています。


■悪臭のもととなるアンモニアガスを『アグス』で自動連続サンプリング
 上記のような効果的な排泄物処理を行うためには、まず悪臭を正確に測定・解析する装置が不可欠です。グリーンブルーが共同開発した『AGSS(アグス)』は、温室効果ガスアンモニア系物質の長期間かつ高頻度のサンプリングを完全自動で行うことにより、悪臭の発生実態を把握するとともに、悪臭を削減する技術の開発にも寄与します。野外のサンプリングサイトに設置できる可搬型で、設定した時間に任意の頻度での自動採取を可能とし。これまでバイアル瓶カセットから1本1本注射器で採取していたサンプリング業務を連続自動サンプリングすることで、10倍以上の生産性効率を実現しました。

 もともとアグスは「可搬型温室効果ガス自動採取装置」として、2009年8月に独立行政法人農業環境技術研究所」との共同研究で開発した装置です。今回、同装置を養豚場向けに改良しました。アグスをミクロスターと組み合わせることで、悪臭・汚水問題を効率よく、かつ低コストで大幅に改善することができます。

 国際的に見ても、ファインバブルが豚などの家畜排泄物の処理や悪臭・汚水の改善にどれだけ効果があるかを連続モニターし、数値化している企業や機関はまだ存在しません。我々グリーンブルーでは世界に先駆け、9月上旬より自社ラボラトリーでの実験に着手。来年1月には茨城県内の養豚場で実地調査を開始し、来年3月までに収集データを解析し、同4月から大規模養豚業者や地方自治体向けに同システムのサービスを提供していきたいと考えております。

 ※参考資料は添付の関連資料を参照



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