シーメンス・ジャパン、アジア圏２２都市の環境サステナビリティー調査結果を発表

アジア圏２２都市の環境サステナビリティ調査
『アジア・グリーンシティ・インデックス』発表：

「アジアで最も環境にやさしい都市」はシンガポール。
東京、横浜、大阪も高い評価に。


　アジアで“一番環境にやさしい”都市はシンガポール　―　これは、シーメンスがエコノミスト・インテリジェンス・ユニット（本社：英国、ロンドン、以下ＥＩＵ）の協力により実施した調査、『アジア・グリーンシティ・インデックス』の結果です。過去数ヶ月にわたり、ＥＩＵはアジア圏内２２の主要都市を環境サステナビリティ（持続可能性）の観点から比較調査しました。また、都市ごとの環境対策や気候保護への取り組みについて、その手法や達成度も分析しました。
　とりわけシンガポールは環境に対しての意欲的な目標があり、そのアプローチが効率的なことで抜きん出ています。アジアの他の都市においても、環境に対する意識や気候保護に関するガイドラインの重要性はますます高まりを見せています。

　日本から調査・分析の対象となった東京、横浜、大阪の３都市も、すべてのカテゴリーで高い評価となりました。東京は「エネルギーとＣＯ２」のカテゴリーでトップ。アジア初の温室効果ガス排出量取引制度を採用するなど、積極的な取り組みが高く評価されました。また、東京は２２都市の中で、単位ＧＤＰ当たりのエネルギー消費が最も低いことがわかりました。横浜は「大気環境」のカテゴリーで上位に入り、日常レベルにおいて空気中の微粒子物質が平均して低いことがわかりました。大阪は「輸送」のカテゴリーで群を抜き、トップランクに入った唯一の都市です。「水」のカテゴリーでは、漏水率の低さ、使用量、積極的な法整備などの観点から、東京と横浜がシンガポールと並んで高評価を収めました。

　シーメンスＡＧの取締役で、サステナビリティ・オフィサーのバーバラ・クックスは、「アジア・グリーンシティ・インデックスは、サステナビリティの観点から都市のインフラストラクチャーを整備拡大する取り組みをサポートする役割も担っています。
　今後もいっそうアジアの都市が、健全な発展と生活の質の向上を同時に達成できるよう、お手伝いしたいのです」と、述べています。

　アジア・グリーンシティ・インデックスは、「エネルギー供給およびＣＯ２」、「ビルおよび土地活用」、「輸送」、「ごみ処理」、「水」、「公衆衛生」、「大気環境」、「環境ガバナンス」の８つのカテゴリーからアジア圏内２２の主要都市の環境パフォーマンスを調査したものです。
　ＥＩＵは経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）、世界銀行、アジア太平洋都市間協力ネットワークＣＩＴＹＮＥＴの専門家らと共同でメソドロジー（調査方法）を開発しました。ＥＩＵのリサーチ主任ヤン・フリードリッヒは以下のように述べています。「アジアの都市研究で明らかになったのは、収入の高さがいつも資源消費の多さを表しているわけではないということです。
　資源消費は、年間一人当たりのＧＤＰ（国内総生産）が約１万５，０００ユーロになるまでは増加します。しかし、年収がそれを越えると、資源消費は下がるのです」。これはなぜでしょうか。これらアジアの繁栄している都市では、環境に対する意識は高く、インフラもより効率的なものです。
　それらの都市は、天然資源の消費削減に力を入れるようになり、よりサステナブル（持続可能）な成長を遂げているのです。さらに、「このインデックス内で高い評価を収めた都市は、環境関連のプロジェクトを推進・実行するにあたり、関連する制度を確実に実施しているという特徴があります」と、フリードリッヒは述べています。

また、今回の調査では、以下のような興味深い結果も得られました。
　−　環境に関する意識は高まりつつある。アジアの都市の多くが、すでに包括的な環境ガイドラインを取り入れている
　−　調査対象となった２２の都市では、一人当たり年間３７５キログラムのごみを排出しているが、その量はラテンアメリカ（年間４６５キログラム）やヨーロッパ（５１１キログラム）より少ない
　−　アジアの都市では、一人当たり年間で４．６トンのＣＯ２を排出しているが、これはヨーロッパのもの（一人当たり年間５．２トン）と比較して少ない

　また、調査によると、アジアの都市における大きな課題には以下のようなものが挙げられます。
　−　調査対象となったすべての都市において、収入に関係なく大気汚染レベルは比較的高い。多くの都市の平均値がＷＨＯの基準値を大幅に超えている
　−　アジアの大都市は、再生可能エネルギーの分野で注力できることが少なからずあると言える。２２都市において再生可能エネルギーによる電力生産は平均１１％であった。水力発電の割合が高いラテンアメリカでは６４％で、ヨーロッパでは７％だった

　シーメンス・ジャパン株式会社　代表取締役社長兼ＣＥＯの織畠潤一は、次のように述べています。「日本に住むと、都市のインフラ整備が非常に優れていることがわかります。また、サステナブルな環境を創りあげるためのさまざまな成果が見られます。この調査に取り上げられている事例、特に東京、大阪そして横浜の個別の事例は、他のすべての都市にとって何かを学ぶことができるベストプラクティスであると確信しています。
　今回、調査にご協力いただいた関係者の皆様には、心より御礼申し上げます」。

　エネルギー消費や資源の効率化を基盤としたサステナブルな都市の発展に対して、シーメンスは独自の環境ポートフォリオでお手伝いしています。環境にやさしいインフラ整備のために、たとえば高効率でクリーンな発電、送電から公共交通機関や水処理システムに至るまで、もっとも多様で広範なグリーンテクノロジー製品を取り揃えています。２０１０年度、シーメンスの環境ポートフォリオからの売上は２８０億ユーロでした。その中には、鉄道網の拡張および近代化、都市の電力供給システム、ビルオートメーションなど、アジアでのプロジェクトも含まれます。

　この種の研究において、グリーンシティ・インデックスは世界初のものと言えます。シーメンスとＥＩＵが共同で行うのは、今回のアジアで３回目です。
　２００９年には『ヨーロッパ・グリーンシティ・インデックス』が発表され、デンマークのコペンハーゲンがもっとも環境にやさしい都市として挙げられました。続いて２０１０年には『ラテンアメリカ・グリーンシティ・インデックス』が発表され、ブラジルのクリチバがトップに着きました。
　今後も、同様の調査・研究を他の地域において行う予定です。


＜アジア・グリーンシティ・インデックスの総合結果＞

・平均を大きく上回る：
　シンガポール

・平均を上回る：
　香港、大阪、ソウル、台北、東京、横浜

・平均：
　バンコク、北京、デリー、広州、ジャカルタ、クアラ・ルンプール、南京、上海、武漢

・平均を下回る：
　バンガロール、ハノイ、カルカッタ、マニラ、ムンバイ

・平均を大きく下回る：
　カラチ

　（カテゴリー内の並びはアルファベット順）

　インデックスの詳細はこちらをご覧ください（英語）：
　　http://www.siemens.com/press/greencityindex


以上


【シーメンスＡＧについて】
　シーメンスＡＧ（ベルリンおよびミュンヘン）は、電気・エレクトロニクスにおけるグローバル企業で、インダストリー、エナジー、ヘルスケアの３つのセクターで事業を行っています。シーメンスは１６０年以上の間、卓越したテクノロジーやイノベーション、品質と信頼性、そして国際性を象徴する企業であり続けています。また、シーメンスは世界でもっとも多くの環境に配慮した技術を提供している企業でもあります。
　売上総額の３分の１を超える２８０億ユーロが、グリーン製品およびソリューションによるものです。２０１０年度（２０１０年９月末）の売上高は約７６０億ユーロ、営業利益は４１億ユーロでした。
　２０１０年９月末現在、従業員数は約４０万５千人です。
　詳しい情報は　http://www.siemens.com　にてご覧いただけます。


■日本におけるシーメンスグループ
　シーメンスは、１８８７年に日本オフィスを創業以来、日本のお客様から信頼を寄せられるパートナーとして尽力してまいりました。
　海外のシーメンス同様、インダストリー、エナジー、ヘルスケアの３つのセクターで、都市化、人口動態の変化、気候変動、グローバル化といったメガトレンドから生じる難問に「Ａｎｓｗｅｒｓ」を提供しています。シーメンスはすべてのセクターにおいて最新の製品、サービス、ソリューションで、お客様に競争優位性をご提供しつづけるとともに、昨今の環境問題に対応してまいります。２０１０年度の日本のシーメンスの売上高は、およそ１，７３２億円、社員数は約２，５００人です。