東京商工リサーチ、５月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産動向（速報値）を発表

〔特別企画〕
【５月速報値】
「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産動向（５月３０日現在）
〜５月は１０件４カ月連続で前年同月を下回る〜


　２０１４年５月の「中小企業金融円滑化法」に基づく貸付条件変更利用後の倒産は１０件（速報値：５月３０日現在）。全体の倒産が抑制されていることを反映して、速報値段階では４カ月連続で前年同月を下回っている。また、倒産件数が２０件を下回ったのは２０１２年８月（１９件）以来で、１年９カ月ぶりの低水準だった。中小企業金融円滑化法の終了後も、金融機関がリスケ要請に応じるなど実質的な金融支援が継続されていることが影響した。こうしたなか、負債５千万円未満の小規模・零細企業は、前年並みに推移し、消費税率の引き上げの影響を含めて、今後の動向が注目される。

＜５月の負債総額４カ月連続で１００億円を下回る＞
　５月の負債総額は９７億２，２００万円（前年同月比６３．１％減）で、４カ月連続で１００億円を下回った。
　負債別では、１０億円以上の大型倒産が２件（前年同月６件）にとどまった。

＜５月の従業員数別５人未満が最多＞
　５月の産業別では、製造業が３件（前年同月１７件）、卸売業２件、建設業・小売業・不動産業・情報通信業・サービス業他が各１件と続く。
　５月の従業員数別では、最多が５人未満の６件（前年同月比６６．６％減、前年同月１８件）だった。

＜２０１４年１−５月の負債額別５千万円未満が前年並みに推移＞
　２０１４年１−５月の累計１１５件の負債額別では、最多が１億円以上５億円未満の６０件（前年同期比３８．１％減、構成比５２．１％）だった。また、５千万円未満の小規模・零細企業は前年同期と同数の１８件（構成比１５．６％）で、前年並みに推移している。

＜２０１４年１−５月の原因別販売不振が最多＞
　２０１４年１−５月の原因別では、最多が販売不振の６８件（前年同期比３７．０％減、前年同期１０８件）だった。次に、既往のシワ寄せ（赤字累積）が２６件（同４４．６％減、同４７件）と続く。


　※「円滑化法関連倒産月次推移」は添付の関連資料を参照


＜２０１４年１−５の形態別破産が全体の約７割＞
　２０１４年１−５月の形態別では、事業消滅型の破産が７７件（前年同期比３９．８％減、前年同期１２８件）で最も多く、全体の約７割（構成比６６．９％）を占めた。一方、再建型の民事再生法は６件（構成比５．２％、前年同期１１件）だった。金融円滑化法に基づく貸付条件変更を利用した企業の中では、業績不振から事業継続を断念するケースが依然として多い。

＜２０１４年１−５月の従業員数別１０人未満が過半数＞
　２０１４年１−５月の従業員数別では、５人未満が３４件（前年同期比４８．４％減、前年同期６６件）で最も多く、５人以上１０人未満も３１件（同３２．６％減、同４６件）だった。
　この結果、従業員１０人未満は６５件（構成比５６．５％、前年同期１１２件）にのぼり、小規模・零細企業が全体の過半数を占めた。

＜２０１４年１−５月の産業別製造業が３割を占める＞
　２０１４年１−５月の産業別では、製造業が３７件（前年同期比３８．３％減、前年同期６０件）で最多、全体の３割（構成比３２．１％）を占めた。次いで、建設業２０件（前年同期比５２．３％減、前年同期４２件）、サービス業他１８件（同２８．０％減、同２５件）と続く。


　※以下の資料は添付の関連資料「参考資料」を参照
　　・産業別倒産状況（１−５月）
　　・産業別件数構成比
　　・原因別倒産状況（１−５月）
　　・原因別　件数構成比
　　・形態別倒産状況（１−５月）
　　・形態別　件数構成比
　　・資本金別倒産状況（１−５月）
　　・資本金別　件数構成比
　　・負債額別倒産状況（１−５月）
　　・負債額別　件数構成比
　　・従業員数別倒産状況（１−５月）
　　・従業員数別　件数構成比