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東京商工リサーチ、「2010年 業歴30年以上の企業倒産」調査結果を発表

2011-02-14

2010年「業歴30年以上の企業倒産」調査
構成比は2006年以来、4年ぶりの29%台
〜倒産企業の平均寿命は22.4年〜



 2010年に倒産した業歴30年以上の『老舗』企業の構成比は29.4%で、2008年の31.2%から2年連続で減少した。一方、業歴10年未満の企業倒産の構成比は06年以降、4年連続上昇している。
 都道府県別では、老舗企業の構成比トップは青森県(構成比51.8%)が前年から4.8ポイントアップ、宮崎県(同50.7%)と徳島県(同50.0%)も50%以上の高水準だった。また、2010年の倒産企業の平均寿命は22.4年で前年より0.5年短縮し、2年連続平均寿命が縮まっていることがわかった。
 東京商工リサーチが集計した2010年の倒産企業、1万3,321社(負債1,000万円以上)のうち、詳細な創業年月が判明しない個人企業を除く、1万1,611社(構成比87.1%)を対象に分析した。
 ※業歴30年以上を本文中では『老舗』企業と定義した。業歴対象は法人企業が設立年月、個人企業は創業年月。


<老舗企業の倒産構成比29.4% 2年連続で縮小>
 2010年に倒産した企業で業歴が判明した1万1,611社のうち、業歴30年以上の老舗企業は3,420社(構成比29.4%)だった。構成比は前年比1.0ポイント減と2年連続で縮小し、2006年以来、4年ぶりに29%台に低下した。一方、業歴10年未満は2,717社(同23.4%)で前年より1.1ポイント増加。2007年から4年連続で上昇し、2000年以来、10年ぶりに23%台に上昇した。
 老舗企業は、これまで長年培ってきた独自のノウハウ、事業基盤、資産背景で金融機関や取引先の信用を得てきた。だが、借入金に依存した経営や市場ニーズに対応した商品開発などに欠ける側面も強い。こうした老舗体質が2000年以降、裏目に出てきた。バブル期の負の遺産を清算するため、金融機関は本格的に不良債権処理を進め、業績や財務内容など定量・定性分析による客観的な貸出姿勢に変化した。2007年3月末に適用された新BIS規制も金融機関の与信姿勢に影響を与える一要因になった。
 こうした状況を背景に、柔軟性に欠ける老舗企業はリーマン・ショック以降、急激な景気悪化に対応できず倒産に追い込まれ、2008年の構成比は31.2%とこの15年間で最高を記録した。
 また、業歴10年未満の企業も、長引く景気低迷で深刻な経営不振から脱却できず、政府の資金繰り支援策も限界に達する企業が増加。2006年を底に4年連続で構成比が上がっている。

 〔業歴別企業倒産件数構成比〕

  *表資料は添付の関連資料を参照

 〔業歴別 企業倒産件数構成比推移〕

  *グラフ資料は添付の関連資料を参照


【産業別】老舗企業では製造業がトップ業歴10年未満は金融・保険業
 老舗企業の産業別構成比で、最も高かったのは製造業の38.2%(前年41.3%)だった。
 次いで、農・林・漁・鉱業36.9%(同25.3%)、運輸業35.1%(同37.7%)、卸売業34.3%(同35.7%)、不動産32.1%(同26.3%)の順。
 これに対し、業歴10年未満の構成比では、金融・保険業が47.6%(前年43.7%)でトップ。
 次いで、情報通信業44.6%(同44.9%)、サービス業他33.1%(同34.2%)、小売業27.5%(同25.8%)、不動産業23.7%(同26.8%)と続き、製造業は15.9%(同13.1%)にとどまった。
 製造業は高度経済成長期の“モノづくり”を支えてきたが、技術革新やメーカーの海外進出への対応に乗り遅れた老舗企業で脱落が増えた。業歴10年未満では、リーマン・ショックの余波を受けた金融・保険業や2000年前後のITバブル期に起業した情報通信業の倒産件数が2001年の1.5倍(357社→538社)に増加し、構成比を引き上げた。


【都道府県別】老舗企業倒産の構成比トップは青森県の51.8%
 老舗企業の都道府県別の構成比は、青森県が51.8%(前年47.0%、4位)でトップだった。次いで、宮崎県50.7%(同32.4%、29位)、徳島県50.0%(同36.6%、18位)と上位3県が50%を上回った。以下、新潟県49.2%(同41.9%、9位)、鳥取県46.8%(同31.7%、31位)と続き、全国平均29.4%以上は34道県だった。一方、老舗企業の構成比が最も低かったのは、沖縄県の16.3%(同16.0%、47位)。次いで、奈良県21.8%(同25.7%、42位)、福岡県22.4%(同28.7%、37位)、埼玉県22.5%(同25.0%、43位)、東京都23.8%(同24.6%、44位)の順。
 地区別の老舗企業の構成比で最も高かったのは、四国の40.7%(前年40.3%)。次に、中国39.9%(同38.3%)、東北37.9%(同39.5%)と続く。これに対し、老舗企業の構成比が最も低かったのは、近畿地区の26.4%(前年28.7%)だった。「大坂商人」、「近江商人」などの言葉があるように、『商人の街』として生き抜く知恵を長年に亘り引き継いでいるようだ。
 老舗企業の構成比が前年より上昇したのは23県で、宮崎県(前年比18.3ポイント増)をトップに、鳥取県(同15.1ポイント増)、徳島県(同13.4ポイント増)、秋田県・山梨県(同10.5ポイント増)と地方で目立った。昔ながらの商売のやり方が時代にマッチせず、環境の変化に対応できなかったことも一因となっているようだ。

 2010年の倒産企業の平均寿命は22.4年(法人1万1,034社の平均寿命22.2年、個人企業577社の平均寿命25.9年)で、2009年(22.9年)以降、22年台で推移している。90年代以降、3度の景気拡大期を経ながらも、経営体質の強化遅れやリーマン・ショックによる深刻な景気低迷が業歴の若い企業に影響、平均寿命の引き下げにつながっている。
 業歴を問わず、目まぐるしく変化する経済状況の中では、時代ニーズを的確に掴む柔軟な経営が求められている。

 〔倒産企業の平均寿命〕

  *表資料は添付の関連資料を参照

 〔倒産企業の平均寿命推移〕

  *グラフ資料は添付の関連資料を参照


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