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中外製薬など、経口BRAFキナーゼ阻害剤「ベムラフェニブ」などの製造販売承認を申請

2014-04-15

「BRAFV600(※)遺伝子変異を有する悪性黒色腫」に対する「ベムラフェニブ」
およびBRAF遺伝子変異を検出するコンパニオン診断薬の
製造販売承認申請について

 ※「BRAFV600」の正式表記は添付の関連資料を参照

 中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/代表取締役会長 最高経営責任者:永山 治](以下、中外製薬)は、BRAFV600遺伝子変異を有する悪性黒色腫を対象として開発を進めておりました選択性の経口BRAFキナーゼ阻害剤「ベムラフェニブ」(開発コード:RG7204)の製造販売承認申請を本日、厚生労働省に対して行いましたのでお知らせいたします。
 また、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社[代表取締役社長 兼 CEO:小笠原 信](以下、ロシュ・ダイアグノスティックス)は、ベムラフェニブのコンパニオン診断薬として、BRAF遺伝子変異を検出する体外診断用医薬品(海外製品名:cobas(R)4800 BRAF V600 Mutation Test)の製造販売承認申請を2014年3月14日に厚生労働省に行いました。ベムラフェニブとの同時承認を目指しています。

 ベムラフェニブの承認申請は、海外で行われた第III相臨床試験[NO25026試験(BRIM3試験)]および国内で行われた第/II相臨床試験(JO28178試験)の成績に基づいています。BRIM3試験は、cobas(R)4800 BRAF V600 Mutation Testを用いてBRAFV600遺伝子変異陽性と診断された化学療法歴のない転移性悪性黒色腫の患者さん675例を対象として、悪性黒色腫の標準治療薬であるダカルバジンを投与する群(対照群)とベムラフェニブを投与する群(ベムラフェニブ群)の比較試験として実施されました。その結果、ベムラフェニブ群では死亡リスクが63%減少しました(ハザード比0.37;p<0.001)。また、病勢進行または死亡(無増悪生存期間:PFS)リスクもベムラフェニブ群で74%減少し(ハザード比0.26;p<0.001)、PFS中央値は対照群の1.6カ月に対しベムラフェニブ群では5.3カ月と、3.7カ月の延長が認められました。
 ベムラフェニブ群で認められた主な有害事象は、関節痛、発疹、疲労、皮膚腫瘍等でした。多くの有害事象は、処置や用量変更または休薬により投与継続が可能であったことから、ベムラフェニブの忍容性が確認されました。

 JO28178試験は、cobas(R)4800 BRAF V600 Mutation Testを用いてBRAFV600遺伝子変異陽性と診断された治癒切除不能・再発悪性黒色腫の患者さん11例を対象として、第I相パートで初期安全性、第II相パートで有効性および安全性を検討しました。その結果、日本人の悪性黒色腫患者さんにおける、ベムラフェニブの有効性と忍容性が確認されました。

 cobas(R)4800 BRAF V600 Mutation Testは、がん組織から抽出したゲノムDNA中のBRAFV600遺伝子変異を検出する遺伝子検査キットです。ベムラフェニブの投与前検査に対して、リアルタイムPCR法を測定原理としたBRAF遺伝子変異を検出する診断薬としては国内初となります。

 個別化医療パイオニアであるロシュ・グループの一員である中外製薬とロシュ・ダイアグノスティックスは、予後不良でアンメット・メディカルニーズの高い「悪性黒色腫」に対する新たな治療選択肢であるベムラフェニブとそのコンパニオン診断薬を、患者さんおよび医療従事者に早期に提供できるよう承認取得に向けて取り組むとともに、患者さん一人ひとりに合わせた治療選択のために、さらなる貢献を続けてまいります。


以上


<ベムラフェニブについて>
 ベムラフェニブは、第一三共グループのPlexxikon社が創製したがんの成長を促進させるBRAF蛋白の変異型を選択的に阻害する低分子の経口BRAFキナーゼ阻害剤です。海外では、2006年に締結されたF.ホフマン・ラ・ロシュ社[本社:スイスバーゼル市/CEO:セヴリン・シュヴァン](以下、ロシュ社)とPlexxikon社のライセンスおよび業務提携契約に基づき、共同開発が開始されました。ベムラフェニブは、米国では2011年、欧州では2012年に、成人におけるBRAFV600遺伝子変異を有する治癒切除不能または転移性悪性黒色腫に対する治療薬として承認されています。
 国内では、中外製薬が2011年にロシュ社と導入契約を締結し、日本における独占的開発・販売の実施権を許諾されています。

<ベムラフェニブと個別化医療
 ロシュ社は、早期から個別化医療に供する薬剤に取り組んできた世界有数の企業です。ベムラフェニブが悪性黒色腫の患者さんの治療に適格か否かを判定するために、ロシュ社が開発したcobas(R)4800 BRAF V600 Mutation Testが用いられます。cobas(R)4800 BRAF V600 Mutation Testは、PCR法をベースとした診断薬であり、米国ではコンパニオン診断薬として承認されており、欧州でもCEマークを取得しています。ベムラフェニブは、バイオマーカーや診断薬を用いて効果が見込める患者さんに適切な薬剤を選択する個別化医療に基づいた薬剤です。

悪性黒色腫について>
 国内において、悪性黒色腫の全てのステージにおける新規年間罹患数は1,300〜1,400人(Globocan2012)と報告されており、年々増加傾向にあります。このうち、26.7〜41.8%の患者さんでBRAF遺伝子の変異が認められると報告されています1,2)。
 BRAF蛋白は、正常細胞の増殖と生存に関与するRAS−RAF伝達系の重要な構成要素です。BRAF遺伝子の変異は、BRAF蛋白の活性化をもたらし、伝達系に異常を生じさせることによって細胞増殖と生存が制御不可能となります。

 1.Uhara H.,et al.:Journal of Dermatological Science 66:240−242,2012
 2.Yamazaki N.,et al.:ESMO poster presentation:Presented at the 17th ECCO−38th ESMO−32nd ESTRO European Cancer Congress;Amsterdam,The Netherlands,September27−October 1,2013

<中外製薬について>
 中外製薬は、医療用医薬品に特化し東京に本社を置く、バイオ医薬品をリードする研究開発型の東京証券市場一部上場の製薬企業であり、ロシュ・グループの重要メンバーとして、国内外で積極的な医療用医薬品の研究開発活動を展開しています。
 特に「がん」領域を中心に、アンメット・メディカルニーズを満たす革新的な医薬品の創製に取り組んでいます。
 国内では、御殿場、鎌倉の研究拠点が連携して創薬研究活動を行う一方、浮間では工業化技術の研究を行っています。海外では、2012年1月、革新的な抗体創製技術を駆使し新規抗体医薬品の創製に特化した研究を行うことを目的とした中外ファーマボディ・リサーチ社をシンガポールに設立、米国と欧州における臨床開発活動は中外ファーマ・ユー・エス・エー、中外ファーマ・ヨーロッパにて行っています。
 2013年の連結売上高は4,237億円、営業利益は799億円でした[IFRS(Coreベース)]。2014年はIFRS(Coreベース)で連結売上高4,510億円、営業利益710億円の達成を目指しています。
 中外製薬に関するさらに詳しい情報はhttp://www.chugai-pharm.co.jp/をご覧下さい。

<ロシュ・ダイアグノスティックスについて>
 スイス・バーゼルに本社を置く世界有数のヘルスケア企業であるF.ホフマン・ラ・ロシュの診断薬事業部門の日本法人です。2014年2月現在、従業員783人、全国9都市に支店、物流センターを有し、体外診断薬・機器事業、研究用試薬・機器事業、血糖測定関連事業などを幅広い領域で事業を展開しています。私たちは、医療従事者の皆さまが最適な治療選択や意思決定が行えるよう、臨床検査の医学的価値および効率性を高めるソリューションをお届けします。
 詳細は、http://www.roche-diagnostics.jpをご覧ください。

 cobas(R)は、F.ホフマン・ラ・ロシュ社(スイス)の登録商標です。





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