Article Detail
帝国データバンク、2011年度の賃金動向に関する企業の意識調査結果を発表
<TDB景気動向調査2011年1月 特別企画>
2011年度の賃金動向に関する企業の意識調査
2年連続で賃金改善の見込み
〜しかし個人消費回復への見通し厳しく、内需回復に不透明感漂う〜
政府による家計支援策が相次いで縮小・終了予定となっているなか、雇用確保とともにベースアップや賞与(一時金)の引き上げなど賃金改善の動向が注目されている。また、今後の景気動向にとって個人消費の行方が注視されており、その点からも2011年度の賃金動向に関心が集まっている。
そこで帝国データバンクでは、2011年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施した。調査期間は2011年1月19日〜31日。調査対象は全国2万3,356社で、有効回答企業数は1万1,017社(回答率47.2%)。なお、賃金に関する調査は2006年1月以降、毎年1月に実施し今回で6回目。
<調査結果のポイント>
●2011年度の賃金改善、「ある」と見込む企業は37.5%で2年連続増加
賃金改善が「ある」企業は37.5%と、2010年度見込み(31.8%)を5.7ポイント上回る。厳しいながらも2年連続で改善する見込み。
●具体的内容、ベア31.2%、賞与(一時金)21.0%がともに2年連続で上昇
賃金改善の具体的内容は、ベア、賞与(一時金)ともに2年連続で上昇。ただ、成果主義の導入などにより賞与(一時金)が先行して改善。
●賃金改善の理由、「労働力の定着・確保」が最多、「業績拡大」も5割超に
賃金改善をする理由は「労働力の定着・確保」が56.2%で最多。「自社の業績拡大」も前年度比9.6ポイント増加し50.5%に。
●労働条件に関する方針決定、賃金への割合高まり、雇用との両面で決定
労働条件の焦点は「賃金および雇用」が33.6%で最多になるも、「賃金」が大幅増、「雇用」が大幅減となり、賃金と雇用との両面を考慮する形に。
●2011年度の個人消費、半数近くが「横ばい」を見込む、縮小懸念は大幅減
2011年度の個人消費は46.4%が「横ばい」、39.9%が「縮小」の見込みで縮小懸念は2年連続で大幅に減少。ただ「拡大」は依然5.3%にとどまる。
<2011年度の賃金改善、「ある」と見込む企業は37.5%で2年連続増加>
2011年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引き上げ)が「ある(見込み)」と回答した企業は1万1,017社中4,131社、構成比37.5%となり、前回調査(2010年1月度)の2010年度見込み(同31.8%)を5.7ポイント上回った。一方、「ない(見込み)」と回答した企業は同35.8%(3,942社)となり、賃金動向は厳しいながらも2年連続で改善すると見込まれている。
「ある(見込み)」を地域別にみると、『南関東』(同39.1%、1,429社)や『北関東』(同39.0%、269社)、『近畿』(同38.9%、710社)、『北陸』(同37.5%、196社)など全10地域で3割を上回った。また、2010年度見込みと比べるとすべての地域で前回を上回っている(5ページ参考表(1)参照)。
業界別では、『農・林・水産』(同46.3%、19社)や『製造』(同42.5%、1,315社)、『卸売』(同41.0%、1,417社)が4割を超え、とりわけ『製造』は前回を8.7ポイント上回った。一方、『金融』(同15.0%、20社)は唯一、前回を下回った。
企業からは、「2年にわたり緊縮体制をとってきているため、モチベーションアップのための改善が必要」(土木建築サービス、東京都)や「デフレ状況であり、賃金の大幅な上昇は見込めない」(燃料小売、岩手県)といった声のほか、「リスケをしており、賃金は体質改善後となる」(自動車・同部品小売、愛知県)などの意見もみられた。
2010年度実績では、賃金改善が「あった」企業は同47.2%(5,204社)と2009年度実績(同39.5%)から7.7ポイント上昇し、2009年度より賃金環境が改善したことを示している。2007年度実績と比較すると依然として低いものの、リーマン・ショック後の急激な低下からは緩やかに改善している様子がうかがえる。
【正社員の賃金改善】
※添付の関連資料を参照
※以下、リリースの詳細は添付の関連資料を参照