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島津製作所、目的化合物を高い回収率で粉末化できる自動精製粉末化システムを発売
世界初の技術を導入 高純度・フリーベース・短時間で目的化合物を粉末化
自動精製粉末化システムCrude2Pureを発売
*製品画像は添付の関連資料を参照
島津製作所は、新開発のトラップ濃縮(※1)カラムを用いた自動精製粉末化技術により、未精製の有機合成品や天然物等から目的化合物を精製、高純度な粉末として回収できる世界初の自動精製粉末化システム「Crude2Pure」を発売しました。製薬業界を始め、化学、食品、公的研究機関における有機合成や天然物の化合物測定など、幅広い分野での利用が期待されます。
本システムは、トラップ濃縮後の精製・粉末化工程を自動化することで、作業者の負担を大幅に減らすとともに、誰でも簡単に粉末化作業ができる環境を提供します。本システムの発売によって、当社は、分取LC(液体クロマトグラフ)システムを組み合わせた一連の分取、精製、粉末化工程の全てにソリューションを提供し、お客様の分取精製業務の効率改善に大きく貢献します。
なお、本システムは、3月2日から6日まで米国シカゴで開催されている世界最大の分析機器展示会「Pittcon 2014」に参考出展しています。
【開発の背景】
有機合成分野、特に創薬探索部門では、合成した目的化合物の精製に分取LCシステムが用いられています。しかし、得られた目的化合物の分画液を粉末化するにあたり、従来の蒸発乾固では、(1)複数の工程をそれぞれ異なる装置で行なわなければならず操作が煩雑である(2)逆相分取LCシステムを用いた場合、水の比率が高い分画液中の目的化合物の粉末化には長時間を要する(3)分取LCシステムで使用した移動相由来成分による粉末化の阻害や目的化合物の純度低下を招くといった問題があります。
Crude2Pure(以下C2P)システムは、世界初の画期的な自動精製粉末化技術により、分画液中に含まれる移動相由来成分や水を効果的に除去し、短時間で目的化合物の高純度粉末を得ることができます。
【新製品の特長】
1.オープンアクセス環境で自動粉末化
シンプルなインターフェースの専用ソフトウェアOpen Solution Crude2Pureにより、複雑な操作なしで自動精製粉末化が行なえます。トラップ濃縮および粉末化操作をそれぞれ3ステップで設定でき、かつシステム稼働状況の確認が容易に行えます。また本ソフトウェアは、複数の分析者がC2Pシステムを共同機器として使用するオープンアクセス環境に対応しています。他の分析者が使用中の場合でも、システムの動作を止めずに新たな試料をC2Pシステムにセットすることができ、順次、自動で粉末化処理が行えます。さらに、ラボから離れた場所にいる分析者に粉末化作業の終了を知らせるe−mail機能も備えています。
2.「高回収率」「短時間」で目的化合物を粉末化
本システムは、独自の技術により目的化合物を高い回収率で粉末化できます。精製・粉末化工程は自動化されており、従来の蒸発乾固では8時間以上を費やしていた作業でも、半分以下の3〜4時間程度に短縮できます。得られた粉末の保存容器への移し替えは不要です。
3.世界初!「高純度なフリーベース」として目的化合物を回収
逆相分取LCシステムで分画した試料中には目的化合物以外に移動相に由来する成分が含まれるため、目的化合物の純度が低下していました。新開発したトラッピングカラム「Shim−pack C2P−H」は、カラム内で目的化合物を強力に保持するため、移動相由来成分除去を容易に行うことができ、試料を高純度に精製することができます。さらに、移動相由来成分の洗浄・除去後にアンモニア水などをカラムへ送液することで、目的化合物をフリーベース(遊離塩基)(※2)として回収できます。フリーベースの目的化合物を用いることにより、医薬品候補の薬効スクリーニングや薬物動態試験など、新薬の探索研究のクオリティを大幅に改善します。
※1 トラップ濃縮
比表面積が大きい逆相系樹脂充填剤を用いた新開発のトラッピングカラム内に、分画液中の目的化合物を強力に保持させ、カラム先端で目的化合物を濃縮する技術。
※2 フリーベース(遊離塩基)
塩基性化合物の水酸化物。医薬品の製剤開発において、目的化合物の対イオン種により、安定性、体内における吸収性、薬効に差異が生じるため、対イオンの影響を受けない水酸化物として化合物を回収することは重要な要素となっている。
名称:自動精製粉末化システムCrude2Pure
価格:2,270万円〜(税別)
・詳しい製品説明についてはこちら
http://www.an.shimadzu.co.jp/hplc/prominence/prep-lc/c2p/index.htm