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ノエビアグループ、東大などとシルクワーム(カイコ)による動物実験代替法を開発
〜シルクワーム(カイコ)による動物実験代替法を開発〜
ノエビアグループは、無脊椎動物であるシルクワーム(カイコ)により、化学物質や
製品等の毒性評価が可能であることを見出しました。
日本動物実験代替法学会 第26回大会」(京都)にて発表
ノエビアグループは、東京大学大学院薬学系研究科(関水和久 教授)と株式会社ゲノム創薬研究所との共同研究において、シルクワーム(カイコ)(※1)を用いた動物実験代替法の開発を行っております。
このたび、従来行われてきた、げっ歯類を用いた急性経口毒性試験の代替法として、無脊椎動物であるシルクワームを用いた試験法を開発し、化学物質や製品の毒性評価が可能であることを見出しました。
この研究成果を、2013年12月19日〜21日に京都で行われる「日本動物実験代替法学会 第26回大会」にて発表いたします。
また、学会会期中の12月20日に、(株)ノエビア主催のシルクワームに関するランチョンセミナーを開催いたします。これにより、本分野の研究者を増やし、将来的には世界標準の代替法としての確立や、商品開発における原料や製品の評価への応用を目指します。
※1 シルクワーム(カイコ):養蚕分野において日本で長い歴史がある昆虫(無脊椎動物),飼育しやすい
【研究の背景と目的】
動物実験は動物福祉への配慮が国際原則となっており、特に脊椎動物を用いた実験に対して、化粧品業界を中心として動物実験代替法の開発が盛んに行われています。
しかし、医薬品や化学物質の安全性評価の項目の一つである急性経口毒性試験については、様々な生体反応を含めた動物個体に対する毒性を評価する必要があることから、in vitro系での代替法は確立されておらず評価が難しいのが現状です。そこで、ノエビアグループではシルクワームの、養蚕分野における長い歴史や知見が蓄積されていること、飼育や実験が低コスト・省スペースで簡単に行えることなど様々な利点に着目しました。また、東京大学大学院薬学系研究科の関水和久教授らによって、各種病態モデル動物として応用した学術文献が報告されています。本研究では、関水教授らと共同で、シルクワームを用いた急性経口毒性試験代替法の開発を目指して研究を行いました。
【研究の成果】
1)50以上の化合物についてシルクワームにおけるLD50(◇)値(動物の半数が死亡する薬物投与量)を算出し、これがラットにおけるLD50値(文献値)とよく一致することを示しました。これによりシルクワームを用いて化合物の毒性評価が可能であることを明らかにしました。
*「LD50」の正式表記は添付の関連資料を参照
*参考画像と【ランチョンセミナー詳細】は添付の関連資料を参照