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第一三共、「エドキサバン」の第3相臨床試験でがん患者対象のサブグループ解析結果を発表

2013-12-13

抗凝固剤「エドキサバン」の第3相臨床試験(Hokusai−VTE試験)におけるがん患者を対象としたサブグループ解析結果について


 第一三共株式会社(本社:東京都中央区、以下「当社」)は、当社が創製した抗凝固剤(経口FXa阻害剤)エドキサバン(一般名:エドキサバントシル酸塩水和物)の深部静脈血栓症(DVT)、肺塞栓症(PE)患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の治療および再発抑制に関する第3相臨床試験(Hokusai−VTE試験)に登録されたがん患者に対するサブグループ解析の結果が、米国・ニューオリンズで開催中の米国血液学会議(American Society of Hematology:ASH)2013において発表されましたので、その概要をお知らせします。

 本サブグループ解析は、Hokusai−VTE試験に参加した、がんに罹患している患者(208名)とがん既往歴のある患者(563名)、合計771名を対象に、エドキサバンを1日1回経口投与したときの有効性と安全性をワルファリンと比較したものです。有効性の主要評価項目であるVTEの発現率は、エドキサバン群で3.7%、ワルファリン群で7.1%であり、エドキサバン群で低値でした(HR 0.53、95% CI 0.28−1.00)。また、安全性に関して、臨床的に重要な出血(重大な出血、もしくは重大ではないが臨床的に重要な出血)の発現率は、エドキサバン群で12.4%、ワルファリン群で18.8%であり、エドキサバン群で低値でした(HR 0.64、95% CI 0.45−0.92)。8,292名の患者を対象としたHokusai−VTE試験では、エドキサバンは1日1回経口投与によりワルファリンに対して、有効性で非劣性、安全性において優越性を示しましたが、がん患者を対象としたこのサブグループ解析においても、Hokusai−VTE試験の全体で見た結果と同様の有効性と安全性が示されました。

 Hokusai−VTE試験の運営委員会メンバーであるオクラホマ大学ヘルスサイエンスセンターのGary Raskob博士は、「VTEはがん患者によく見られる合併症であり、再発リスクも高いことが知られています。今回のがん患者を対象としたサブグループ解析において、エドキサバンは、1日1回経口投与によりワルファリンと比較して、VTEの再発率および臨床的に重要な出血の発現率を低減させることが示されたことに満足しております。エドキサバンのがん患者のVTEの治療および再発抑制に関するベネフィットが示唆されました。」と述べています。

 Hokusai−VTE試験の運営委員会議長であるアムステルダム・アカデミックメディカルセンター内科教授のHarry Buller博士は、「VTEは、がん患者における死亡および機能不全の主な要因となっております。がん種、患者固有のリスク、診断後の経過時間にもよりますが、がん患者におけるVTEの年間の発現率はおおよそ20%になります。本サブグループ解析の結果、エドキサバンががん患者におけるVTEの再発リスクを低下させる有望な結果が得られました。」と述べています。

 がんに罹患している208名の患者におけるVTEの再発率は、エドキサバン群で3.7%、ワルファリン群で7.1%であり(HR 0.55、95% CI 0.16−1.85)、臨床的に重要な出血の発現率は、エドキサバン群で18.3%、ワルファリン群で25.3%でした(HR 0.72、95% CI 0.40−1.30)。

 当社グローバル研究開発責任者の専務執行役員グレン ゴームリーは、「Hokusai−VTE試験は、広範囲のVTE患者が登録されました。VTEはがん患者によくみられる合併症であり、本試験に登録されたVTE患者の9.3%が現在がんに罹患している患者、または、がんの既往歴のある患者でした。本解析結果は、がんの合併症を有するVTE患者へあらたな治療法を提供できる可能性をもたらすと考えております。」と述べています。


<Hokusai−VTE試験について>
 Hokusai−VTE試験は、国際共同、無作為化、二重盲検、第3相臨床試験であり、急性症候性の深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)患者、または、肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)患者における症候性静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)の治療および再発抑制に関するエドキサバンを1日1回経口投与したときの有効性と安全性を評価する臨床試験であり、37ヶ国の439の医療機関において8,292人の患者が登録されました。本試験では、実医療を反映して、がん患者を含む広範囲のVTE患者に対し、標準治療法であるヘパリンの初期治療に続き、エドキサバン、または、ワルファリンが、3〜12ヶ月間投与されました。
 Hokusai−VTE試験の結果については、オランダ・アムステルダムで開催された欧州心臓病学会2013において発表されると共に、New England Journal of Medicineに掲載されました。有効性の主要評価項目であるVTEの発現率は、エドキサバン群で3.2%、ワルファリン群で3.5%であり、エドキサバンのワルファリンに対する非劣性が検証されました(HR 0.89、95% CI 0.70−1.13;P<0.001[非劣性])。再発性症候性VTEは、12ヶ月間の試験期間における、再発性症候性のDVTと、非致死性の症候性PEおよび致死性のPEの複合と定義されています。
 また、安全性に関して、臨床的に重要な出血(重大な出血、もしくは重大ではないが臨床的に重要な出血)の発現率は、エドキサバン群で8.5%、ワルファリン群で10.3%であり、エドキサバンのワルファリンに対する優越性が示されました(HR 0.81、95% CI 0.71−0.94;P=0.004[優越性])。
 本サブグループ解析は、Hokusai−VTE試験に登録された患者のうち、低分子ヘパリンの長期投与が予定されていない、がんに罹患している患者(208名)とがん既往歴のある患者(563名)、合計771名を対象に実施されたサブグループ解析です。低分子ヘパリンの長期投与が予定されている患者は、本試験から除外されました。


<がん患者における静脈血栓塞栓症(VTE)について>
 VTEは、DVTとPEの総称です。DVTは、脚、骨盤、腕などの深部静脈に血栓が形成される疾患です。PEは、深部静脈で形成された血栓の一部が遊離して肺に流れ、肺動脈を閉塞し、致死的状況をもたらす疾病です。
 がん患者においては、凝固促進タンパク質が腫瘍組織から分泌されることにより、VTEの発現率が統計学的に有意に高くなることが知られています。これまでの研究によれば、原発不明の膵臓がん、肺がん、胃がん、および腺がん患者では、がん組織より分泌されるムチンというタンパク質により血小板凝集を通じて血液凝固が引き起こされるために、VTEのリスクが非常に高いことが示されています。化学療法剤、免疫調整剤、および、血管新生阻害剤による治療でも、VTEリスクが高まることが知られています。
 VTEを発症したがん患者では、がんに罹患していない患者に比べて急性の血栓イベントによる死亡リスクが、4−8倍高くなるとされています。さらに、VTEを発症したがん患者は、VTEを発症していないがん患者と比べて、生存率が低いとされています。


以上


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