イマコト

最新の記事から注目のキーワードをピックアップ!

Article Detail

田中貴金属、造幣局と銀分析技術に関する共同開発を開始

2011-01-21

田中貴金属工業、銀分析技術の世界標準化に向け
造幣局との共同開発を開始
〜現在、困難とされる銀分析技術を最適化し、ISO/IEC17025認定取得を目指す〜



 田中貴金属工業株式会社(※1)(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岡本英彌)は、独立行政法人造幣局と共同で、銀分析技術に関する開発を開始します。
 今回の共同開発は、実験データを共有しながら技術協力を行い、分析方法及び分析値の妥当性を相互確認することで、両者固有の分析技術をより強化することが目的です。一般的に銀は品位によって分析方法が異なります。田中貴金属工業は工業製品に使われる高純度の銀の分析に対応するため、銀中の不純物として分析するべき24の重要元素(※2)の分析技術を開発します。
 一方、造幣局は記念貨幣に使われる高純度の銀の分析に加え、昨今の多様な装飾品用銀合金の分析に対応するため、銀自体の純度を測定する分析技術を開発します。
 共同開発の期間は1年間を予定しており、2013年中に田中貴金属工業造幣局はそれぞれ、開発する銀分析技術においてISO/IEC17025:2005(※3)の認定取得もしくは当該技術水準習得を目指します。これにより、現在、貴金属分析の中でも困難とされる銀分析の世界標準化に貢献することが期待できます。


■銀分析方法の現状
 銀分析の為の溶解には、他の貴金属の溶解に一般的に使われる王水(※4)ではなく、硝酸を使用します。これは、銀を王水で溶解すると塩化銀が生成して、銀の品位を確定する為の操作に支障をきたすからです。しかし、硝酸による溶解は、例えば金のような元素が含まれている場合、未溶解物として溶け残るため、銀の分析は他の貴金属に比べ困難とされています。
 高純度の銀を必要とする高性能の工業製品は、製品中に特定の元素が微量でも含まれると、その製品の機能に影響を及ぼすことが確認されており、銀分析に関する顧客の要望並びに市場の要求は高まってきています。そのため、こうした工業製品を多く扱う田中貴金属工業では近年、LBMA(※5)のガイドラインに基づいて、銀に含有している24の重要元素を硝酸で溶解してICP発光分光装置(※6)により評価し、差数法により銀の純度を確定する方法を用いております。
 これは硝酸により未溶解の不純物元素も塩酸と硝酸からなる混酸により溶解して、2液を評価することで個々の不純物元素の濃度を算出するもので、高純度の銀の分析に適しています。しかし、不純物の濃度が低い場合には誤差が大きくなることが課題となっており、個々の元素の含有量を確定するには分析技術の更なる改良が必要です。
 一方、造幣局では、JIS H 6311(※7)に準じ、銀を硝酸で溶解して、塩化ナトリウム液による滴定により銀自体を測定する方法(電位差滴定法)を用いています。この分析方法は、装飾品などで使われる銀合金の分析に適しています。しかし、昨今の銀装飾品のデザインや組成などの多様化により、硝酸による溶解過程で未溶解物が生成する場合もあることや、JIS H 6311の適用範囲(75〜95%)外の銀装飾品や高純度の貨幣に対する分析も必要であると考えられ、分析技術の更なる強化が課題となっています。


■銀の分析技術向上の需要
 銀は現在、接点材料やスパッタリングターゲット、太陽電池用電極などの工業製品から、装飾品などの一般消費向けや地方自治法施行60周年記念貨幣のような収集用まで用途に応じて様々な品位の銀が使用されています。こうした状況の中、近年、貴金属市場の価格高騰により、鉱山だけでなくリサイクル品からの銀の供給も増加しており、より正確で迅速な分析方法の開発・確立が急務となっています。
 田中貴金属工業は現在、世界で5社あるLBMAの公認審査会社の1社として銀地金の審査業務を受託して、市場における銀の適格品の維持・向上に務めています。他方、造幣局は、従来から国内唯一の貨幣製造業務として金・銀を含む貨幣の分析を行うとともに、国内唯一の公的な貴金属の品位証明(検定)業務を行い、国内の貴金属装飾品の品位を分析・保証することを通じて、消費者保護に貢献しています。今回の共同開発にあたり、田中貴金属工業がこれまで培ってきた貴金属地金の調達から製造、回収までの多岐にわたる貴金属分析の実績と研究設備に加え、造幣局が長年積み重ねてきた国内外の顧客の要望に対する客観的な分析技術とその実績を持ち合わせることで、現在、困難とされている銀分析方法を最適化し、更なる銀分析の信頼性向上を目指してまいります。
 両者は今後、銀に関する分析の共同開発を進めながら、他の元素や分析方法についても両者の知見を融合し、更なる情報交換を通して国内外の業界における標準化を進めてまいります。



*以下、用語解説など詳細は添付の関連資料を参照


Related Contents

関連書籍

  • 死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    詩歩2013-07-31

    Amazon Kindle版
  • 星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    前田 徳彦2014-09-02

    Amazon Kindle版
  • ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    大久保 明2014-08-12

    Amazon Kindle版
  • BLUE MOMENT

    BLUE MOMENT

    吉村 和敏2007-12-13

    Amazon Kindle版