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ヤクルト、乳酸菌「L.カゼイ・シロタ株」の継続摂取が乳がん発症リスクを低減

2013-07-24

乳酸菌「ラクトバチルス カゼイ シロタ株」の継続摂取が乳がん発症リスクを低減
〜週4回以上の摂取で乳がん発症リスクが35%低減〜


 株式会社ヤクルト本社(社長 根岸 孝成)では、乳酸菌摂取と乳がん発症との関連を検討する目的で実施された疫学研究の結果、子どもの頃も含めた過去の食習慣で乳酸菌「ラクトバチルス カゼイ シロタ株」(以下、L.カゼイ・シロタ株)を習慣的に取り入れていた人に、乳がん発症リスクの低減効果が認められましたので、お知らせします。

 これまでに行われてきた乳がんの予防に関する研究では,子どもの頃も含めた過去の食習慣との関連を調べたものは数例しかありません。今回の結果は、食行動パターンを決める重要な時期である成長期の頃や、乳がん罹患者が増加し始める20歳代から30歳代に乳酸菌を摂取することが乳がんの発症リスクの低減に影響することを示す有用な成果です。
 また、本研究からは、大豆イソフラボンの摂取との相加効果も示されています。
 本研究は、公益財団法人パブリックヘルスリサーチセンター(所在地:東京都新宿区、理事長:奥島 孝康)のがん臨床研究支援事業の一環として実施された研究者主導・疫学研究「乳酸菌摂取と乳がんの関連を検討するケース・コントロール研究」(研究代表者:戸井 雅和、京都大学医学部付属病院乳腺外科(教授)、統計解析責任者:大橋靖雄、東京大学大学院医学系研究科健康科学看護学専攻(教授))の結果です。当社は、このがん臨床研究支援事業に賛同し、協力してきました。
 なお、本研究成果は、科学雑誌「Current Nutrition and Food Science」誌(9(4):194−200,2013)に掲載されます。


■試験の背景
 我が国の乳がん罹患率は急激に増加しており、既に女性のがんの1位となっています。死亡者数も1950年には2,000人以下でしたが、2004年には1万人を超え、今後も罹患者数、死亡者数ともに増え続けると予想されています。増加の要因としては、女性ホルモンの分泌が盛んな時期の長さに影響を受けることが知られていますが、生活習慣、特に食習慣の関わりも大きいことが示唆されています。これまでの疫学研究で、乳がん発症を抑制する食品因子として大豆イソフラボンが報告されていますが、最近ではL.カゼイ・シロタ株をはじめとするプロバイオティクスのがん予防効果(※)についても関心がもたれています。

 ※L.カゼイ・シロタ株については、臨床的研究において表在性膀胱がんの再発抑制効果や大腸ポリープを切除した患者における大腸ポリープの発生抑制効果が明らかにされています。また、疫学研究においては膀胱がんの発症予防効果が明らかにされています。


■試験の方法および結果
 乳がん罹患者(ケース群)と非罹患者(コントロール群)との間で過去の生活習慣を調べ、L.カゼイ・シロタ株および大豆イソフラボンの摂取と乳がん発症の関連性を調べました(このような研究手法をケース・コントロール研究と言います)。
 具体的には、ケース群として国内14の病院から選定した40〜55歳の女性の初期乳がん患者(術後1年以内)306名、コントロール群として非罹患者662名(ケース群1名に対して年齢および居住地域が似通った人2名)を選定し、面接調査を実施しました。面接調査では、過去((1)10〜12歳、(2)20歳、(3)10〜15年前)のL.カゼイ・シロタ株および大豆イソフラボンを含む飲食物の摂取状況を聞き取り、これら因子と乳がん発症リスクとの相関性を調べました。結果は以下のとおりです。


1.乳がん発症とL.カゼイ・シロタ株の摂取頻度との関係

 L.カゼイ・シロタ株の摂取頻度を週4回以上と週4回未満で比較した結果、週4回未満の乳がん発症リスクを1とすると、週4回以上のオッズ比(注)は、0.65(p<0.05)で、L.カゼイ・シロタ株の摂取頻度が高いほど、乳がん発症のリスクが低減することが示された。(図1)

 注):オッズ比とは、ある疾患などへの罹りやすさを2つの群で比較して示す統計的な尺度であり、基準を1としてオッズ比が1より小さいことは疾患に罹りにくいことを意味する。

2.乳がん発症と大豆イソフラボンの1日あたりの摂取量との関係

 大豆イソフラボンの1日あたりの摂取量を4群に分けて(Q1:18.76mg/日未満、Q2:18.76〜28.81mg/日、Q3:28.81〜43.75mg/日、Q4:43.78mg/日以上)比較した結果、大豆イソフラボンの摂取量が多くなるに従って乳がん発症率は、有意に低下した(p<0.01)。また、「Q1群」を1とした時の各群のオッズ比はそれぞれ、0.76、0.53、0.48となり、大豆イソフラボンの摂取量が多いほど乳がん発症を低減することが示された。(図2)

3.乳がん発症とL.カゼイ・シロタ株および大豆イソフラボンの摂取の関係
 L.カゼイ・シロタ株の摂取頻度4回未満/週かつ大豆イソフラボン摂取量「Q1群」の発症リスクを1とした時、L.カゼイ・シロタ株の摂取頻度4回以上/週かつ大豆イソフラボン摂取「Q4群」のオッズ比は、0.36となり、L.カゼイ・シロタ株大豆イソフラボンの摂取による相加的な効果が示された。(図3)


<統計解析責任者のコメント>
 統計解析責任者である東京大学の大橋靖雄教授は「後ろ向きのケース・コントロール研究ではあるが、過去の食生活、特に乳酸菌および大豆イソフラボンの摂取が乳がんの発症を抑制することが示唆されたのは興味深い。今後、更なる検証研究が必要と考えられる。」とコメントしています。


ヤクルト本社にとっての本研究の意義>
 ヤクルト本社中央研究所長 石川文保は、「L.カゼイ・シロタ株は、これまでに表在性膀胱がんの再発予防効果や大腸がん発症リスクの低減など、がん予防に対して有用であることが種々の臨床試験で明らかにされてきました。今回、疫学研究で乳がん予防の面でもL.カゼイ・シロタ株が役立つ可能性が示されたことは大変意義あることです。」とコメントしています。


 *図1〜3は添付の関連資料を参照

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