イマコト

最新の記事から注目のキーワードをピックアップ!

Article Detail

清水建設、既存吊り天井の耐震性能を短期間・低コストで診断できる天井耐震診断手法を開発

2012-12-22

短期間・低コストで既存吊り天井を耐震診断
〜診断方法を平準化〜



 清水建設(株)<社長 宮本洋一>は、東日本大震災で数多く発生した吊り天井の崩落事故を踏まえ、既存吊り天井の耐震性能を短期間・低コストで診断できる天井耐震診断手法「ラッカノン」を開発、今後、全国展開を図ります。1万m2程度の施設なら、1日で診断が終了し、報告書・提案書の作成を含めても1〜2週間で一連の作業が終了します。診断費用は、天井面積の平方根×1万円が目安となります。当社は今後、本評価手法により年間100棟程度を診断するとともに、地震被害が予想される施設については天井落下防止策を提案することで改修工事の受注を目指します。

 東日本大震災では、少なくとも2千件の天井崩落が発生したとされています。国土交通省はこうした被害を踏まえ、吊り天井を採用している全国の大規模物件1万9千件を本年3月に調査したところ、その2割超で構造的な問題が見つかったと発表しています。吊り天井は、体育館や学校、生産施設、展示場など様々な用途の施設に採用されており、大地震による人的・物的被害の発生が懸念されています。そこで当社は、吊り天井の耐震改修工事の促進を目的に「ラッカノン」を開発したものです。

 開発に当たっては、東日本大震災後に当社が実施した1,500棟に及ぶ天井落下被害調査や耐震吊り天井の振動実験で得た、吊元の構造や吊ボルトの接合状況、部材接合部の耐力、天井部材と設備との干渉による影響等に関する知見を集約・データベース化。それらを基に、診断担当者による差異が出ないように、診断結果を記入する診断シートならびに、診断シートに記入する数値データ等を現地収集するための調査シートをそれぞれ作成し、診断手法を確立しました。

 調査シートは、診断担当者の現地携行用(1枚/部屋)です。担当者は、シート上の絵解きされた天井のチェック部位を参照しながら調査・実測結果を記入していくことで、必要な数値データ等を漏れなく収集できます。調査・実測項目は、ブレースの形状や設置間隔、接合方法、天井の吊り方など、最大32項目です。

 一方の診断シートは、施設所有者への提出用です。調査シートから転記する項目と天井の重量や面積、形状等の図面をチェックして記入する項目の計22項目からなります。各項目の記入結果が、「A:天井耐震改修不要」から「J:落下防止の応急対応要」にいたる10種類の対策メニューに直結するようになっているので、担当者による評価結果の差異が生じることはりません。

 従来の診断では、国土交通省監修の手引きや日本建築センター発行のガイドライン建築学会指針などにもとづき適否判断をしていましたが、基準が統一されていなかったこと、東日本大震災を経て基準の見直しが行われていたことから、最新の知見にもとづく診断方法の提案が求められていました。また、国土交通省が本年7月に示した建築物における天井脱落対策試案では、対象天井が高さ6m以上かつ200m2以上と極めて限定的になっているものの、東日本大震災ではそれ以外の天井も多く落下していることから、天井の規模を問わず診断を行う必要があります。こうしたニーズを踏まえて開発したラッカノンによる診断を推進し、天井の耐震化、人的・物的被害の防止に努めていく考えです。


以上

この記事に関連するキーワード

ガイドライン 国土交通省 清水建設 平方根 カノン 建築学

Related Contents

関連書籍

  • 死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    詩歩2013-07-31

    Amazon Kindle版
  • 星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    前田 徳彦2014-09-02

    Amazon Kindle版
  • ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    大久保 明2014-08-12

    Amazon Kindle版
  • BLUE MOMENT

    BLUE MOMENT

    吉村 和敏2007-12-13

    Amazon Kindle版