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日立、NICTの「宇宙天気予報」に活用するスーパーコンピュータシステムを納入

2012-11-26

情報通信研究機構(NICT)が「宇宙天気予報」に活用する
スーパーコンピュータシステムを刷新し稼働開始
日立のスーパーテクニカルサーバ「SR16000 モデルM1」を採用


 株式会社日立製作所(執行役社長:中西 宏明/以下、日立)は、このたび、科学技術計算分野向けスーパーテクニカルサーバ「SR16000 モデルM1」を中核とするスーパーコンピュータシステム(以下、新システム)を独立行政法人情報通信研究機構(理事長 宮原 秀夫/以下、NICT)に納入し、11月1日から稼働を開始しました。
 今回稼働した新システムは、太陽の活動によって発生する地球周辺の磁気圏の乱れや宇宙放射線を予測する「宇宙天気予報」のための各種データの算出に活用されるものです。

 新システムは、従来システムと比較し理論演算性能(*1)で約16倍となる25.49TFLOPS(*2)の性能を有しているため、宇宙天気シミュレーションの空間精度は、従来システム比で約100倍に向上します。さらに今回の稼働開始とともに、この新システムを最大限に活用し、従来のシステムではスーパーコンピュータの計算能力の限界から実用化が不可能だった「極端現象(*3)」をシミュレートする「極端現象シミュレーションプログラム」を世界で初めて運用を開始するほか、地表から高度500キロメートルの空間の状態をシミュレートする「地球大気圏影響シミュレーションプログラム」も開発を進めていきます。新システムを活用した各種シミュレートにより、太陽の活動を要因とする磁気の乱れが人間の活動圏へ与えるほぼ全ての影響を予測することが可能となります。それらの予測をもとにNICTが作成し公表する「宇宙天気予報」により、影響が予想される期間や地域において、通信関連の設備や電力関連の設備などを持つそれぞれの事業者が、影響を軽減させるための対策を実施したり、万が一の故障の場合の復旧部品を予め用意したりすることで、障害を回避し、安定した電波利用や電力供給へとつながることが期待されます。

*1:理論演算性能:同時に動作可能な全ての演算器が動作したときの理論上の性能
*2:TFLOPS(テラフロップス):浮動小数点演算を1秒間に1兆回実行する能力
*3:極端現象:巨大磁気嵐群の発生や猛烈な太陽風など、「1000年に1度」程度しか発生しないまれで極端な現象

 今後も日立は、これまで長年にわたって培ってきたスーパーコンピューティング技術を結集し、最先端技術を取り入れた、高性能、省電力なスーパーコンピュータシステムの提供を通して科学技術の発展に寄与していきます。


<NICTの「宇宙天気予報」について>
 宇宙空間では太陽の活動によって生じる宇宙放射線や高エネルギー粒子などにより、人工衛星の障害や宇宙飛行士の放射線被曝などが発生する危険性があります。また、太陽風が原因となって発生する磁気嵐は、宇宙空間のみならず、地球上の送電網などに障害を引き起こすこともあり、海外では過去に長時間にもわたる停電が発生した例もあります。
 このような太陽活動によって引き起こされるさまざまな現象を予測し、宇宙開発や地球上のインフラの安定稼働に寄与するため、NICTは独自に開発したシミュレーションプログラムを利用し、アメリカ航空宇宙局(NASA)の太陽観測衛星から提供される観測データをもとにしたスーパーコンピュータによるシミュレーションで、宇宙放射線や地球周辺の磁場の状況などを予測し、「宇宙天気予報」として発表しています。この「宇宙天気予報」は国や民間の人工衛星の運用機関のほか、送電網を運用・管理する電力会社、飛行機を安全に運行させるために、さまざまな情報が必要な航空会社などで活用されています。
 NICTは、これまで、太陽から地上100kmまでの全宇宙空間をリアルタイムにコンピュータ上で表現する「リアルタイム宇宙天気統合シミュレータ」の開発に世界で初めて成功し、有人宇宙活動、衛星の運用、GPSや通信機器などに障害を引き起こす宇宙空間の磁気の乱れに関する予報の高度化を実現するなどの成果を上げています。


<新スーパーコンピュータシステムについて>
 新システムの中核であるスーパーテクニカルサーバ「SR16000 モデルM1」は、1ノード(*4)あたりの理論演算性能980.48GFLOPS(*5)を有し、新システム全体として総合理論演算性能25.49TFLOPSの性能を実現しています。これはNICTにて稼働していた従来システムと比較して、約16倍の性能向上となります。なお、主記憶容量はシステム全体で3.25TB(テラバイト)(*6)を実装しており、NICTで利用される大容量メモリを必要とするシミュレーションプログラムに対して、最適な計算環境となっています。
 また、ストレージシステムには、日立のミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage2500(*7)」が採用され149.61TBの大容量ディスクを備えています。なお、ファイルストレージは、日立の仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform」を採用し、高信頼な環境のもとで、高速なデータの入出力を実現しています。

*4:ノード:スーパーコンピュータシステムを構成する独立した演算処理単位で、サーバを意味する
*5:GFLOPS(ギガフロップス):浮動小数点演算を1秒間に10億回実行する能力
*6:TB(テラバイト):約1兆バイト
*7:現在は後継機として「Hitachi Unified Storage 100シリーズ」を提供しています


 ※以下は添付の関連資料「参考画像」を参照
  ・太陽活動による地球及び、地球周辺への影響
  ・新スーパーコンピュータシステムの外観


<スーパーコンピュータシステムで採用されている日立製品>
 ・スーパーテクニカルサーバ「SR16000 モデルM1」
 ・ミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage 2500」
 ・仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform」


<NICTについて>
 独立行政法人情報通信研究機構(NICT:National Institute of Information and Communications Technology)は、情報通信技術分野における国の唯一の公的研究機関です。「ネットワーク」「ユニバーサルコミュニケーション」「未来ICT」「電磁波センシング」の4つの基盤技術領域を柱として、最先端の研究開発を実施するとともに社会への還元を積極的に推進しています。また、産学官連携の中核的役割を強化するとともに海外の研究機関との連携を推進しています。


<関連情報>
 NICTの「宇宙天気予報」に関するWebサイト
  ・宇宙天気予報 − 宇宙天気情報センター(NICT)
   http://swc.nict.go.jp/forecast/

 「スーパーコンピュータシステム」に採用された日立製品に関するWebサイト
  ・スーパーテクニカルサーバ「SR16000シリーズ」
   http://www.hitachi.co.jp/hpc/
  ・ミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage 2000シリーズ」、仮想ファイルプラットフォーム「Hitachi Virtual File Platform」
   http://www.hitachi.co.jp/storage/


<他社所有商標に関する表示>
 記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。


以上

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