大日本印刷、魚眼レンズで撮影した動画をリアルタイムで平面画像に補正する小型モジュールを開発

魚眼レンズで撮影した動画をリアルタイムで平面画像に補正する小型モジュールを開発


　※製品画像は関連資料を参照


　大日本印刷株式会社（本社：東京　社長：北島義俊　資本金：１，１４４億円　以下：ＤＮＰ）は魚眼レンズカメラで撮影した動画をリアルタイムで平面画像に補正・変換する小型の魚眼補正コアモジュールを開発しました。監視カメラ、製造ラインでの製品検査に利用するＦＡ（ファクトリー・オートメーション）カメラ、テレビ会議システムなどの用途に向けて、１２月８日にサンプル提供を開始します。量産開始は、２０１１年春を予定しています。


【背景】
　監視カメラやＦＡカメラなどにおいて、カメラの台数を減らしてコストを削減しつつ、できるだけ広い範囲の画像を取得したいというニーズがあります。このニーズに応えるには、１台で水平１８０°、周囲３６０°を見渡せる魚眼レンズカメラが有効ですが、このカメラで撮影した画像には特有の歪みが生じ、画像の周縁部分の形状が変わってしまうため、高い視認性が求められる製品への活用が困難でした。

　ＤＮＰはこの課題に対して、２００９年６月に、魚眼レンズカメラで撮影した映像をリアルタイムで平面画像に補正・変換する技術を開発し、各種インターフェースとともにＦＰＧＡ（＊１）評価ボードに実装して提供を開始しました。今回、この技術のコアの部分であるＩＣ（ＦＰＧＡ）をモジュール化して提供します。システム会社や監視カメラ、ＦＡカメラのメーカーは、本モジュールの利用により、魚眼レンズカメラの補正・変換機能を手軽に自社のカメラやシステムに組み込むことが可能となります。


【魚眼補正コアモジュールの概要】
　今回開発したモジュールは、縦５５ｍｍ×横５５ｍｍの基板上に、魚眼補正アルゴリズムを搭載したＩＣやメモリーなどの部品を実装したもので、監視カメラなどに組み込んで使用可能です。カメラに接続するモニターやパソコンの画面上で、魚眼レンズカメラで撮影した原画像から任意の点を選択し、任意の倍率で平面画像を表示できるほか、水平方向の視点を維持したまま補正画像を上下させる「オフセット機能」により、人物を垂直に保ちながら表示することも可能です。任意の補正点を１〜９箇所まで選択して同時に表示でき、平面画像や全域を表示するパノラマ画像に変換することも可能です。

　また、補正画像上でより詳しく見たい部分を選択すると原画像の該当部分をその都度平面に補正・変換し、高い精度の平面画像が得られます。そのため、画面上の人物を自動追尾して拡大表示などを行う画像認識技術と併用して利用できます。

　ＤＮＰは、周囲の明るさに応じて画面のコントラストを自動で調整する「コントラスト補正ＡＳＩＣ（＊２）」も提供しており、監視カメラなどで採用実績があります。このコントラスト補正ＡＳＩＣを魚眼補正モジュールに組み合わせることにより、夜間など暗い場所の監視カメラにも利用できます。

　※参考画像は関連資料を参照

■想定用途
　広域を１台でカバーできる監視カメラシステム、製品の内部を全方位で検査できるＦＡカメラシステム、テレビ会議システム、デジタルサイネージ（電子看板）の認識システム、車載バックモニターなど、幅広い用途を想定しています。

■主な仕様
　※添付の関連資料を参照


【価格と今後の取り組み】
　価格は個別に見積もります。参考価格として、サンプルモジュールの価格は５万円（税込み）を予定しています。評価キットの提供も可能です。当モジュールに関連して、２０１３年度に１０億円の売上を見込んでいます。今後ＤＮＰは、当モジュールのさらなる小型化・高機能化に取り組んでいきます。

　なお、１２月８日（水）から１０日（金）にパシフィコ横浜で開催される「国際画像機器展２０１０」のＤＮＰブースで本製品を紹介します。

＊１：　ＦＰＧＡ（Ｆｉｅｌｄ　Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ　Ｇａｔｅ　Ａｒｒａｙ）：製造後にプログラミング可能なＩＣ
＊２：　ＡＳＩＣ（Ａｐｐｌｉｃａｔｉｏｎ　Ｓｐｅｃｉｆｉｃ　Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ　Ｃｉｒｃｕｉｔ）：特定用途に向けて、複数の機能を持つ回路を１つにまとめた集積回路のこと
＊３：　Ｉ２Ｃ（Ｉｎｔｅｒ−Ｉｎｔｅｇｒａｔｅｄ　Ｃｉｒｃｕｉｔ）：１ビットずつ順にデータを転送するシリアルバスで、フィリップス社が開発したもの。低速な周辺機器とマザーボードの接続、組み込みシステム、携帯電話などで使用されている