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東京商工リサーチ、「東日本大震災」関連倒産(10月5日現在)の調査結果を発表
「東日本大震災」関連倒産(10月5日現在)
〜 9月は35件震災発生から1年半を経て累計920件〜
9月の「東日本大震災」関連倒産は35件だった。前年同月比では5カ月連続で減少したが、前月比では6カ月ぶりにプラスに転じた。東北は3月と並び今年最多タイの9件が発生、増勢の兆しもうかがえる。震災から1年半を経て累計は920件(10月5日現在)となった。
このほか、事業停止や法的手続準備中の「実質破綻」は31件を数え、震災関連の経営破綻(倒産+実質破綻)は累計951件に達している。
<9月の倒産事例>
水産加工の鮫不動産管理(株)(青森県)は、旧商号の(株)ダイマルで「しめ鯖」を中心とした水産物加工を手がけていたが、津波で工場が被災。企業再生支援機構に支援を要請し、関連会社との統合や事業譲渡で再建策を策定。事業を譲渡後に現商号に変更し、特別清算を申請した。
自動車部品製造の(株)小野寺製作所(宮城県)は、津波で事務所・工場が被災し事業を停止したが、事業再開のめどが立たず破産を申請した。
非鉄金属スクラップ販売の(株)吉中商事(千葉県)は、国内と中国に販路を構築し、中国の急速なインフラ整備による需要拡大で急成長していた。しかし、福島第一原発事故による放射性物質の汚染問題から中国の輸入規制で急速に業績が悪化、民事再生法の適用を申請した。
震災関連倒産の発生ペースは鈍化しているが、事業再開を模索しながら継続を断念するケースが後を絶たない。被災地の東北では弁護士一任などの「実質破綻」が10月に入り、すでに6件発生している。こうした事情から、当面は月間30件前後の推移が見込まれる。
*「東日本大震災関連倒産」「東日本大震災関連倒産 震災後月次推移」は、添付の関連資料「参考資料1」を参照
9月の地区別では、関東20件、東北9件、北海道3件・北陸・近畿・九州が各1件だった。このうち、東北は今年最多タイの件数で、宮城3件、青森と福島が各2件、秋田と山形が各1件だった。
「震災関連」倒産の累計920件を都道府県別にみると、最多は東京の262件(9月12件)。次いで、北海道64件(同3件)、福岡46件(同ゼロ件)、宮城41件、神奈川39件、大阪と福島が各34件、千葉32件、岩手と石川31件、愛知29件、群馬と静岡が各28件、栃木27件と続く。直接被害を受けた東北6県の倒産件数は139件(構成比15.1%)となった。
「震災関連」倒産の累計920件を産業別にみると、最多は製造業の228件(9月12件)だった。
次いで、宿泊業・飲食店などを含むサービス業他が217件(同5件)、卸売業が173件(同9件)、建設業が140件(同7件)、小売業が68件(同ゼロ件)と続く。
累計920件を被害型で分類すると、「間接型」856件(構成比93.0%)に対し「直接型」は64件(同6.9%)と1割弱にとどまり、「間接型」中心は変わらない。
*以下の資料は添付の関連資料「参考資料2」を参照
・東日本大震災関連倒産 産業別倒産状況(産業別 件数構成比)
・東日本大震災関連倒産 原因別倒産状況(原因別 件数構成比)
・東日本大震災関連倒産 形態別倒産状況(形態別 件数構成比)
・「東日本大震災」関連破綻状況(2012年10月5日現在)
・東日本大震災関連倒産 地区別倒産状況(地区別 倒産件数構成比)
・東日本大震災 都道府県別倒産状況