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生理学研究所、「光沢」を見分ける脳の神経細胞を発見

2012-08-18

"光沢"を見分ける脳の神経細胞を発見



<内容>

 人は、物をみただけで、その“質感”を判別しています。なかでも、「キラキラ」や「ピカピカ」「テカテカ」といった物の“光沢”は、見ただけで脳の中で瞬時に判断していますが、その脳内での仕組みは分かっていませんでした。今回、自然科学研究機構生理学研究所の西尾亜希子研究員、小松英彦教授らの研究グループは、霊長類動物の脳の中に、“光沢”を見分ける特別な神経細胞群があることを世界で初めて発見しました。この脳神経細胞は、物の形や照明によらず光沢を見分けられることができます。本研究成果は、米国神経科学会誌(ザ・ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス、2012年8月1日号電子版)に掲載されました。

 研究グループは、同じ形で33種類の光沢をもつ物体をコンピューターグラフィックで作成。この33種類の物体を、ニホンザルに見せたときの脳の活動を記録しました。その結果から、脳の大脳腹側高次視覚野の下側頭葉と呼ばれる部分に、光沢に応じて反応する神経細胞群があることをつきとめました。神経細胞群の中の細胞は役割分担して、鏡面反射や拡散反射などの度合いに応じて、「鋭く輝くもの」、「ぼやけた光沢をもつ物」、「艶のないもの」、といった物の光沢の違いを判別していました。

 小松教授は、「世界ではじめて、霊長類の脳の大脳腹側高次視覚野にある特殊な脳神経細胞が、“光沢”を見分ける機能を持っていることを明らかにしました。“光沢”は物の質を表す重要な視覚情報で、物の価値判断にも影響を与えます。おそらく進化の過程で獲得された脳の機能だと考えられ、金や銀の美しい輝きを感じる時にも、こうした“光沢”を見分ける脳の仕組みが働いていると考えられます」と話しています。

 本研究は文部科学省科学研究費補助金の補助を受けて行われました。

 ※参考画像は、添付の関連資料を参照


<今回の発見>

 1.霊長類動物の脳の大脳腹側高次視覚野の下側頭葉に“光沢”に反応する神経細胞群があることを発見しました。

 2.鏡面反射や拡散反射の度合いに応じて、「鋭く輝くもの」、「ぼやけた光沢をもつ物」、「艶のないもの」、といった物の光沢の違いを判別していました。


※図1〜5は、添付の関連資料を参照


<論文情報>
 Neural selectivity and representation of gloss in the monkey inferior temporal cortex
Akiko Nishio, Naokazu Goda, Hidehiko Komatsu
 ザ・ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス 8月1日号電子版

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