太陽誘電、高周波積層Ｈｉｇｈ−ＱチップインダクタＨＫＱ０６０３Ｗシリーズを商品化

太陽誘電：業界最高のＱ値を実現した高周波積層Ｈｉｇｈ−Ｑチップインダクタ商品化
−スーパーハイエンド商品でスマートフォンなどの高機能化に貢献−



　太陽誘電株式会社（代表取締役社長：綿貫　英治、本社：東京都台東区）は、業界最高のＱ値（注１）を実現した高周波積層Ｈｉｇｈ−ＱチップインダクタＨＫＱ０６０３Ｗ（０．６ｘ０．３ｘ０．３ｍｍ）シリーズを商品化します。
　この商品は、ＬＴＥ（注２）と呼ばれる次世代通信規格の採用やマルチバンド化が進んでいるスマートフォンなど高性能な小型モバイル機器の高周波回路で、インピーダンスマッチング（注３）用途に使用されます。内部構造や外部電極構造をＬ字状にするＬ字型端子など最先端の技術を駆使しました。それにより、「ＨＫＱ０６０３Ｗ　２Ｎ７」では、１．８ＧＨｚという高周波域でＱ値を４８（ｔｙｐｉｃａｌ）と、当社従来品「ＨＫＱ０６０３Ｕ　２Ｎ７」（同Ｑ値４１）と比較して１５％以上改善させることができました。
　太陽誘電では、高周波積層Ｈｉｇｈ−Ｑインダクタにおいて、０４０２サイズへの展開など更なる小型化やラインアップ拡充を進め、機器の小型化、高性能化に貢献します。
　この商品は２０１２年７月より、当社国内拠点および「太陽誘電（フィリピン）」（セブ州ラプラプ市）にて、月産３億個体制で量産を開始します。サンプル価格は１５円です。

　スマートフォンやタブレットＰＣなどの小型モバイル機器では、ＬＴＥと呼ばれる次世代通信規格の搭載が本格化しており、高品位な通信を確立するため、高周波回路には従来以上に高い性能が求められます。特にＲＦフロントエンド部に代表される高周波回路では、インピーダンスマッチングによるノイズ抑制、高効率化が求められます。
　このようなインピーダンスマッチング回路に使用されるインダクタは、高周波域でも特性を保持することが求められると同時に、機器の小型化・薄型化に伴い小型薄型な形状も求められます。一般にインダクタは、小型化すると直流抵抗が増加してＱ値が低下してしまうため、高周波回路の性能向上を十分に果たすことができませんでした。
　太陽誘電では今回、内部構造や外部電極構造などを最適化することで、業界最高のＱ値を達成したＨＫＱ０６０３Ｗシリーズの商品化を実現しました。
　今後も市場からのニーズに応え、更なる小型化やラインアップ拡充を進め、スーパーハイエンド商品の開発に注力してまいります。

　　※商品画像は添付の関連資料を参照


■用途
　スマートフォン、タブレットＰＣなどの小型モバイル機器の高周波回路向けインピーダンスマッチング用途など。


　今回商品化した積層インダクタの主な特性は以下の通りです。（全４８品番）

　　※主な特性は添付の関連資料を参照


■用語解説
（注１）Ｑ値（Ｑｕａｌｉｔｙ　Ｆａｃｔｏｒ）
　　品質係数。インダクタにおいてＱ値とは損失が少なく、理想的なインダクタの特性を表わす。

（注２）ＬＴＥ（Ｌｏｎｇ　Ｔｅｒｍ　Ｅｖｏｌｕｔｉｏｎ）
　　現在、多くの国でサービスが開始されている次世代の携帯電話通信規格。現在主流の３Ｇと比較して高速な通信を実現し、スマートフォンなどで大量のデータの送受信を容易に実現することができる。

（注３）インピーダンスマッチング
　　高周波回路では、回路自体がもつコンデンサ成分やインダクタ成分によって、ノイズが発生してしまう。それらの成分を打ち消すためのコンデンサやインダクタを載せた回路をマッチング回路と呼ぶ。