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産総研、九大などと共同でひとつの原子からの特性X線測定に成功

2012-07-12

単原子からの特性X線の検出に成功
−原子ひとつからの発光を捉えた−



【ポイント】
 ・電子顕微鏡の性能を向上させて世界で初めて原子ひとつからの発光(特性X線)の測定に成功
 ・原子レベルで白金や金などの貴金属の元素分析が可能に
 ・触媒や抗がん剤の研究への貢献に期待


<概要>
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)ナノチューブ応用研究センター【研究センター長 飯島 澄男】末永 和知 上席研究員と同センター高度化ナノチューブチーム 岡崎 俊也 研究チーム長は、国立大学法人 九州大学【総長 有川 節夫】(以下「九州大」という)超高圧電子顕微鏡室室長 松村 晶 教授、日本電子株式会社【代表取締役社長 栗原 権右衛門】(以下「日本電子」という)奥西 栄治 リーダーと共同で、最新鋭の収差補正型電子顕微鏡を用いて単原子からの特性X線を検出することに成功した。

 この技術はエネルギー分散型X線分析(EDX)の検出効率を飛躍的に向上させることによって、原子レベルでの元素分析を可能にした。貴金属などのこれまで検出の難しかった元素の単原子レベルでの分析にも応用できるため、貴金属を含んだ触媒や抗がん剤の原子レベルでの研究への貢献が期待される。

 なお、この研究の詳細は、Nature Photonicsに2012年7月9日(日本時間)オンライン掲載される。

 〔実験の模式図〕

  ※添付の関連資料を参照


<開発の社会的背景>
 生体や物質に含まれる元素を、原子ひとつひとつの精度で全て分析する技術は、広い範囲の研究分野で望まれている。これまでにも電子線エネルギー損失分光(EELS)など単原子の元素分析ができる技術はあったが、対象となる元素の種類が限られ、特に触媒や抗がん剤に使用される貴金属(白金や金など)単原子の高感度元素分析はできなかった。一方、エネルギー分散型X線分析(EDX)はホウ素(原子番号5)からウラン(原子番号92)まで貴金属を含む広範囲の元素の同定ができる分析手法であるが、これまでは検出効率の低さから単原子レベルでの元素分析は不可能とされてきた。特に極微量の貴金属元素が重要な役割を果たす触媒や抗がん剤の研究では、EDXを用いた単原子レベルの元素分析が待ち望まれていた。


<研究の経緯>
 産総研では、カーボンナノチューブをはじめとするナノ材料の性質を大きく左右する不純物やドーパントを検出するために、単原子レベルの元素分析手法の開発に取り組んできた。一方、九州大学と日本電子では、X線を取り込む立体角をこれまでより一桁程度大きくすることによって検出効率を飛躍的に向上させたEDX用のシリコンドリフト検出器と、それを搭載する最新鋭の収差補正型透過電子顕微鏡の開発を行ってきた。

 なお、本研究開発は、文部科学省「ナノテクノロジーネットワーク(平成19〜23年度)」および独立行政法人 科学技術振興機構の「研究加速プログラム(平成23〜27年度)物質や生命の機能を原子レベルで解析する低加速電子顕微鏡の開発」による支援を受けて行っている。



※以下、「研究の内容」などリリースの詳細は添付の関連資料を参照


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