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富士通セミコンダクター、9キロバイトFRAM搭載のHF帯RFIDタグ用ICを発売
業界最大9キロバイトFRAM搭載のHF帯RFIDタグ用IC新発売
〜大容量メモリとシリアル・インターフェース搭載で、RFIDタグの利用シーンを拡大〜
富士通セミコンダクター株式会社(注1)は、高速書込みと高頻度書換え、放射線耐性、低消費電力などを特長とする強誘電体メモリFRAM(注2)を搭載したRFIDタグ用IC「FerVID Family(R)」(ファービッドファミリー)のラインナップに、9キロバイト(以下、KB)のFRAMを搭載したHF帯RFIDタグ用IC「MB89R112」を加え、2012年8月よりサンプル出荷を開始します。
「MB89R112」は、HF帯のRFIDタグでは業界最大のメモリ容量を有する上、シリアル・インターフェースSPI(注3)を搭載することから、組込み・産業分野での新たなRFIDの利用シーンを提供します。
当社は、高機能RFIDタグ用ICとしてHF帯(13.56MHz)とUHF帯(860〜960MHz)の2つの周波数帯のFRAM製品を開発し、「FerVID Family」として2004年より提供しています。FRAMの高速書込み性を活かした大容量メモリ搭載のデータキャリアタグとしてFAやメンテナンス分野、ガンマ線・電子線耐性を活かして医療・医薬品分野へ、また、シリアル・インターフェース搭載による組込み用途へと、幅広く提供しています。
なかでも、自動車、電気製品の製造管理や、航空機、道路、建築、土木などのメンテナンス用途では、さらなる大容量メモリの要求があります。さらに、RFIDをマイコンやセンサーとつなげて、製品の動作設定を無線で設定したり、あるいは流通過程での環境履歴を無線で取得したりするなど、新たなニーズが生まれています。
当社はこうした要求に対応し、HF帯では他社にない9KBの大容量メモリ、およびシリアル・インターフェースSPI搭載したRFIDタグ用IC「MB89R112」を開発しました。「MB89R112」は業界標準のISO/IEC15693(注4)に準拠した近傍型パッシブRFIDを構成します。本製品は、2012年8月よりサンプル出荷を開始します。
「MB89R112」が「FerVID Family」に加わることにより、HF帯は256バイトから9KB、UHF帯は4KBから64KBと製品ラインナップが拡充します。また、シリアル・インターフェース搭載の組込み用製品としても、4KBのUHF帯と9KBのHF帯と2つの周波数帯製品が揃います。当社の豊富なマイコン製品とともに、お客様のニーズに合わせてご提案いたします。
*製品画像は添付の関連資料を参照
<サンプル出荷時期>
製品名:MB89R112
出荷時期:2012年8月中旬
※サンプル価格に関しては、担当営業にご確認ください。
■販売目標
・100万個/月
■「MB89R112」の特長
1.HF帯RFIDとして業界最大の大容量メモリ搭載
本製品はISO/IEC15693に規定されるHF帯のRFIDにおいて、最大の9KBのFRAMメモリ容量を有します。9KBのメモリのうちユーザーメモリ(注5)として使用できる8KBのメモリは、32バイトのブロックを256個有する構成で、ISO/IEC15693に規定されるリード・ライトコマンドで8KBの全領域にアクセスが可能です。8KBのデータの書込み時間は約4秒で、E2PROMを用いた製品の6倍以上の高速書き込みを実現しています。RFIDタグに記録できる情報量が増えることにより、製品の製造から物流、使用から廃棄までのライフサイクルのトレーサビリティ管理や、メンテナンス記録を現場で残すデータロガーとしての用途への利便性が向上します。
2.シリアル・インターフェースSPI搭載による組込み用途への拡張性
本製品はシリアル・インターフェースSPIを搭載しており、マイコンとの接続が可能です。マイコンからFRAMの8KBユーザーメモリへSPIを介してアクセスが可能なので、共通のメモリ領域をデータロガーとして使うことや、マイコンの動作設計を変更するパラメータ領域として使うことができます。例えば、物流の環境ログや装置の異常検知、電子表示の変更、さらにはセンサーの閾値変更、ファームウェアの設定変更など、これまでにない革新的な利用方法にも対応します。
■商標について
・FerVID Family(R)は富士通セミコンダクターの登録商標です。
・記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。
■添付資料
・「MB89R112」の主な仕様
*「MB89R112」の主な仕様は添付の関連資料を参照
■注釈
注1 富士通セミコンダクター株式会社:
本社 神奈川県横浜市、代表取締役社長 岡田 晴基。
注2 FRAM:
Ferroelectric Random Access Memory
強誘電体メモリ。強誘電体膜をデータ保持のキャパシタに利用したメモリ。電源を切っても内容を保持する。データの高速な書込み動作、低消費電力、書換え回数が多いといったROMとRAMの長所をあわせ持つ。FeRAMとも呼ばれる。当社では、1999年より量産開始。
注3 SPI:
Serial Peripheral Interface
基板上のIC間で使用される通信規格の一つで、3線式の同期シリアル・インターフェース。本製品は、スレーブとしてホストであるマイコンに接続します。
注4 ISO/IEC15693:
ISOで国際標準化されたHF帯の近傍型RFIDタグの通信規格。
注5 ユーザーメモリ:
RFIDタグのユーザーが自由に読み書きできるメモリ領域。安価なタグではユーザーメモリを持たないものもある。これまでのHF帯RFIDタグのユーザーメモリ容量は、標準的には数百バイト程度。
■関連リンク
・「FRAM」紹介サイト
・富士通セミコンダクター
■お客様お問い合わせ先
富士通セミコンダクター株式会社
マイコンソリューション事業本部
システムメモリ事業部マーケティング部
電話:045−755−7035(直通)
お問い合わせフォーム http://edevice.fujitsu.com/jp-qform.html
以上