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丸紅情報システムズ、量産対応高硬度DLCコーティング「ULFコート」の受託販売を開始
量産対応高硬度DLCコーティング
「ULFコート」の受託サービスを開始
プリント配線板用超硬ドリルのトップメーカー「ユニオンツール」と提携
丸紅情報システムズ株式会社(略称:エムシス/MSYS、本社:渋谷区渋谷3−12−18 社長 小川 和夫)は、プリント配線基板用超硬ドリルのトップメーカーであるユニオンツール株式会社(本社:品川区南大井6−17−1 社長 片山 貴雄)が提供する、炭素被膜材料DLC(Diamond Like Carbon/ダイヤモンド ライク カーボン(*1)で金属製部品等をコーティングするサービス「ULF(ウルフ)コート(*2)」の受託販売を5月23日から開始します。ダイヤモンドに近い高硬度(ビッカース硬さ(*3):6,500Hv)のDLCコーティングを、大量生産部品に対応できることが特長です。自動車や機械、精密機器、金型などの製造業向けに、耐久性や耐摩耗性、耐腐食性、生体親和性の向上、摩擦抵抗の低減などの品質向上を実現するDLCコーティングを提案します。
※製品画像は添付の関連資料を参照
ULFコートは、お客様よりお預かりした超硬、鉄系金属を素材とする部品を、ユニオンツールが開発したDLCでコーティングするサービスです。2009年より稼働しているユニオンツール所有の設備でコーティング処理を行います。ユニオンツールの自社製品向けには、すでに累計約1,000万本の量産実績があります。
ULFコートにより得られる効果をユニオンツールが自社製品を用いたプリント基板用材料の穴あけ加工で検証したところ、コーティングしていないドリルでは約4,000穴の穴あけ加工で達した折損寿命が、ULFコートで処理したドリルでは約20,000穴に延び、耐久性が約5倍に向上しました。複数の条件で検証した結果、2.5倍から10倍以上に耐久性が向上することが確認されています。
自動車のエンジン部品へのULFコートは、耐久性の向上のほか、摩擦抵抗の低減による燃費の向上が期待できます。金型の場合は離型性や耐磨耗性の向上効果が得られます。機械部品(摺動部品等)では、耐磨耗性向上や低摩擦化、接触する他の部品への攻撃性低減などに効果があります。
ULFコートは水素を含有しない高硬度のDLCです。100度以下の低温でコーティング処理できるため、他のDLCコート受託サービスと比べ、コーティングする母材の変形や変質を抑えることができます。また、価格も2〜3割程度安価に提供可能です。
今回開発のDLC膜技術は、2012年1月12日に超硬工具協会より『PCB工具用DLC皮膜「ULF」の開発』で技術功績賞を受賞し、高い技術が評価されています。
また、ユニオンツールではULFコートに関する特許も取得しております。
ユニオンツール株式会社では2010年1月より工具メーカー向けにULFコートを提供していましたが、さらなる事業の拡大をめざし、自動車部品メーカーや機械部品メーカー等に多数のCADCAMシステム、検証・検査システム、三次元造形装置等の販売実績を持つMSYSと営業活動に関する業務提携を行うことになりました。
MSYSでは、自動車部品関連、機械部品関連、金型関連、切削工具、その他部品などに、販売開始から3年間で約15億円の受注をめざします。
※以下、リリース詳細は添付の関連資料を参照
<注釈>
*1:"DLC"とは、Diamond Like Carbon(=ダイヤモンドの様なカーボン)の略で、ダイヤモンドに近い特性を持つカーボン硬質膜の事を指します。DLC膜は非常に硬く耐摩耗性に優れ、摩擦係数を低減させる特性を持ち、各種素材の表面改質に大きな効果があると言われています。
*2:ULFとは、Uniontool Lubricant FilmおよびUltra Long−life Filmの略で、ユニオンツール独自の潤滑膜でコートすることにより耐折損性が向上し長寿命化を実現すると意味が込められています。
*3:"Hv"とは、ビッカース硬さ(=Vickers hardness)の略で、工業材料の硬さを表す尺度の一つです。
天然の物質の中で最高の硬度を持つダイヤモンドが、9,000Hvから10,000Hvと言われています。なお市場に出回っているDLC膜の硬度は800Hvから7,000Hvです。
*文中の製品名および会社名は、各社の商標または登録商標です。