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富士経済、農業関連システム・機器・資材の国内市場を調査結果を発表

2012-04-03

農業関連システム・機器・資材の国内市場を調査

完全人工光型植物工場:20年予測 67億円(11年比3.2倍)
"食の安心・安全"植物工場産野菜の需要増 "店産店消"など植物工場ならではの展開も後押し



 総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、課題が山積している国内農業の現状を変革するには、従来型の手法から脱却し高度化を図っていくことが必要と考え、その手段である農業関連システム・機器・資材市場の現状を調査・分析し今後を予測した。
 また、多様な技術開発動向や農業関連ビジネス動向について、それぞれ取り組みの概要と事例を調査・分析した。
 その結果を報告書「アグリビジネスの現状と将来展望2012」にまとめた。


<調査結果の概要>
 農業関連システム・機器・資材 国内市場
   2011年     2012年予測     2020年予測     20年/11年比
    697億円     704億円        897億円         128.7%

 農業関連システム・機器・資材の国内市場として、すでに市場が形成されている、あるいは市場形成が見込まれる、養液栽培関連プラント・システム分野(4品目)、養液・施設栽培関連装置・機器・資材分野(5品目)、栽培関連IT・ネットワーク技術分野(3品目)、高付加価値型アグリ資材分野(6品目)、収穫・貯蔵関連分野(2品目)の計5分野20品目を対象とした。これらを採用することが、栽培であれば期間短縮や高収量化、作物の安全性の確保、作業の省力化など、収穫であれば効率化や自動化など、貯蔵であれば長期間の品質保持など、各工程の高度化に寄与する。
 2011年の市場は、前年比1.7%減の697億円となった。2009年、2010年は国などによる植物工場の普及・拡大の取り組みや企業の農業参入の増加などによって新設が進み市場が拡大したものの、2011年はその反動と東日本大震災の影響で前年割れとなった。
 今後、食の安心・安全意識の高まりや農作業の省力化へのニーズなどによって、市場は緩やかに拡大していく見通しである。2012年は前年比1.0%増の704億円、2020年には2011年比28.7%増の897億円が予測される。東日本大震災復興需要や植物工場及びその参入企業の増加も拡大を後押しすると考えられる。一方、コスト面や既存ノウハウとの違いから一般農家への採用が難しいものも多いことが、市場拡大に向けての課題と言える。


<高成長分野と注目市場>
1.養液栽培関連プラント・システム分野
  (完全人工光型植物工場、湛液型栽培プラント、NFT栽培プラント、固形培地栽培プラントの4品目。完全人工光型植物工場に採用されている湛液型栽培プラント、NFT栽培プラント、固形培地栽培プラントは、完全人工光型植物工場の市場に含んでおり重複はしない)

 *参考資料1は添付の関連資料を参照

 養液栽培関連プラント・システム分野は、栽培期間短縮や安全性確保など栽培の高度化、各種植物工場など新たなビジネス展開に繋がるプラント関連の4品目を対象とした。2011年の市場は、前年比5.2%減の73億円となった。ハウス栽培や太陽光併用型植物工場、太陽光利用型植物工場に用いられる「湛液型栽培プラント」、「NFT(Nutrient Film Technique)栽培プラント」、「固形培地栽培プラント」が、これまでの補助金施策による新設需要増の反動と東日本大震災の影響によって前年割れとなった。
 今後、食の安全・安心意識の高まりを受けた植物工場産野菜への需要増加、東日本大震災からの復興による新設、参入企業の増加、栽培可能品目の拡大、ユーザーに対する栽培ノウハウの提供、完全人工光型植物工場による新たなビジネスモデルの確立などに伴って、市場拡大が見込まれる。2020年には2011年比2倍以上となる152億円が予測される。

 【注目市場:完全人工光型植物工場】
 植物工場は、農作物の生育環境を制御することで、周年の計画生産を可能にした施設栽培である。ここでは、人工光のみで栽培する「完全人工光型」を対象とした※。クリーンルームやビル、工場内などに栽培プラントを設置し、規模や設備をユーザーに応じてカスタマイズする「プラント型」と、ユニットハウス、プレハブ庫、コンテナ、業務用冷蔵庫、ショーケースなどに栽培プラントを設置し、周辺設備もセットにした「ユニット型」に大別される。
 ※養液栽培プラント、光源、空調機器、環境制御装置といったシステム・機器を統合しメーカーからユーザーに提供される段階を算出した。建屋を新築する場合の建築費用及び土地代、栽培施設に併設された育苗室や出荷室、事務所などは含まない。

 完全人工光型植物工場は、気象の影響に左右される露地栽培とは異なり、年間を通して農産物を安定的に供給できる。2011年の市場は、前年比27.1%減の5,100m2(施設面積)、同5%増の21億円となった。プラント型は大規模案件がほとんど見られなかったものの、数十〜数百株程度(日産)の比較的小規模な工場が多数建設された。このため、施設面積は減少した一方、小規模施設ゆえ単位面積当たりの単価が高く金額は微増となった。ユニット型は、各種植物工場やハウス栽培、露地栽培において苗作りの重要性が認知される中、閉鎖型育苗施設として導入が広がっている。また、小売店や外食店における"店産店消"目的でコンテナタイプやショーケースタイプなどの採用も見られ、ユニット型全体では施設面積、金額とも前年比プラスとなった。
 今後、プラント型は、原発事故による農産物への放射能汚染を始めとした食の安心・安全への関心から植物工場産野菜への需要が高まり、植物工場へ参入している既存企業の規模拡大や新規参入企業の増加が見込まれる。イニシャル・ランニングコストの低下、高機能作物栽培や多品種栽培技術の確立などが進むことも期待されており、完全人工光型植物工場による農業が露地栽培と差別化して一定の地位を築くと考えられる。ユニット型も"店産店消"や移動型など植物工場ならではの展開、また、海外への輸出などが成長を後押しするとみられる。2020年の市場は、2011年比3.7倍の19,000m2(施設面積)、同3.2倍の67億円が予測される。


2.栽培関連ITネットワーク技術分野
  (環境制御装置、農業用フィールドサーバ、栽培管理システムの3品目)

 *参考資料2は添付の関連資料を参照

 農業における課題として、経営面では経費削減、管理効率化・省力化など、栽培面では省力化、高品質化、高収量化、技術伝承など、販売面では販路拡大、ブランド化、安心・安全の訴求などが挙げられる。その解決方法の一つとして農業へのIT導入が期待されている。
 栽培関連ITネットワーク技術分野は、ITを活用して施設栽培や露地栽培の高度化に繋げる関連機器・システムの3品目を対象とした。いずれも既存のノウハウに頼らない・頼れない企業や農業法人などが有望なユーザーとして注目され、2020年は2011年比2.6倍の44億円と予測される。
 農業のIT化には、単に情報を収集するだけでなく、それを管理・分析して意味のある情報として活用する必要があり、データマイニング技術やクラウド技術なども重要と言える。

 【注目市場:農業用フィールドサーバ】
 農業用フィールドサーバは主に屋外に設置され、搭載した各種センサにより環境データを収集する機器である。通信機能やカメラ、電源として太陽電池を備えた機器もある。圃場の環境モニタリングや作物生育状況モニタリングによって、遠隔地から農場の状況把握や収集データの分析・活用、鳥獣害対策など、栽培の省力化と効率化に繋がる。また、収集データやカメラ撮影画像をインターネットなどに公表することで、消費者の目に見える形で食の安全・安心を訴求することが出来る。
 研究機関や先進的な農業法人などへの実験的な導入が中心となっている。一般農家にとってはコストがネックになるほか、これまで蓄積してきたノウハウもあり、導入メリットが少ないのが現状である。一方、フィールドサーバメーカーと大手ITベンダが提携して、ソリューションにおける栽培環境モニタリングツールとして提案されており、認知度は格段に向上している。
 今後は、栽培ノウハウの可視化につながるツールとして、新規農業参入者、企業や農業法人の採用増加が予想される。2020年の市場は、2011年比25倍の20億円が予測される。


<注目ビジネス動向:漢方薬原料の栽培ビジネス>
 甘草は、漢方薬を始め化粧品や甘味料の原料として使用されている。世界的に需要が高まっている一方、最大の生産国である中国の輸出量が減少しており、需給バランスが不安定になることが懸念されている。日本の国土は甘草の生育に適していないと言われている中、栽培システムの開発や、自社の育苗システムの利用、また独自の露地栽培技術の展開など、さまざまな方法で栽培に着手し始めている。
 甘草は、痩せた土地や塩分の多い土地でも良く育つ性質を持つと言われている。東日本大震災による津波で被災した地域においても栽培実験が進められており、復興事業として注目されている。

<調査対象>
 ※調査対象は添付の関連資料を参照

<調査方法>
 富士経済専門調査員による参入企業・周辺企業へのヒアリング調査を基本に、一部電話などによる調査と公的データによる補完

<調査期間>
 2011年10月〜2012年1月


以上


資料タイトル :「アグリビジネスの現状と将来展望 2012」
体   裁   :A4判 231頁
価   格   :97,000円(税込み101,850円)
          電子版セット 117,000円 (税込み122,850円)
調査・編集  :富士経済 大阪マーケティング本部 第三事業部
          TEL:06−6228−2020 FAX:06−6228−2030
発 行 所   :株式会社 富士経済
          〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
          TEL:03−3664−5811(代) FAX:03−3661−0165 e−mail:info@fuji-keizai.co.jp
          この情報はホームページでもご覧いただけます。
          URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/ https://www.fuji-keizai.co.jp/

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