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神戸製鋼とダイヘン、「亜鉛めっき鋼板用溶接プロセス」の溶接材料・機器を販売

2012-04-02

亜鉛めっき鋼板用溶接プロセスの溶接材料・機器の販売について



 溶接材料メーカの株式会社神戸製鋼所(以下、神戸製鋼)と、溶接機、ロボットメーカの株式会社ダイヘン(以下、ダイヘン)は、「亜鉛めっき鋼板用溶接プロセス」の開発を2010年度よりスタートさせ取り組んでまいりました。
 この度開発が完了し、来月開催が予定されております溶接学会、国際ウエルディングショーにて本技術を発表するとともに、プロセス用の材料と機器につきまして販売することと致します。

 自動車分野では、亜鉛めっき鋼板での溶接性の向上に対するニーズは高く、特に溶接時に発生するピットやブローホール、スパッタの発生を抑えることが長年の課題でありました。亜鉛めっき鋼板の溶接では、ピットやブローホールなどの気孔欠陥や、スパッタを同時に抑制することは非常に難しく、ユーザーでは溶接能率を落とした溶接施工を行い、発生したピットを手直しするなど、生産性の低下、コストアップや作業環境悪化の要因となっていました。
 国内の溶接材料、溶接電源メーカは長年独自に開発を行ってきましたが、メーカ単独での取り組みではこれらの課題解決を実現することが難しいことから、神戸製鋼とダイヘンでは、両社の技術を結集し開発を進めてまいりました。
 開発の基礎研究段階においては、大阪大学 接合科学研究所にもこの取り組みに参画いただき、亜鉛めっき鋼板での溶接の現象を極限まで可視化するなど徹底した解析を行いました。その解析結果に基づき、神戸製鋼の溶接材料設計技術、ダイヘンの波形制御技術と、シールドガスの組成の最適な組み合わせにより、ピットやブローホールの気孔欠陥の極小化と、スパッタの抑制を同時に図ることができました。
 この亜鉛めっき鋼板用溶接プロセスは、最大効果として「ピットによる手直しゼロ」、「スパッタ発生量60%減」を発揮することができ、ユーザーの品質、生産性の向上、コスト低減効果といった競争力強化に貢献できる新たな溶接プロセス技術として、日本および世界へ発信するものであります。
 尚、この溶接プロセスにつきましては、名称を「J−Solution Zn」として販売致します。

 溶接を通じて世界の産業への貢献を目指す神戸製鋼とダイヘンは、今後とも両社の技術面での連携を強化し、新たな溶接技術、プロセスを開発、提案し続けてまいります。


<用語説明>

 ・亜鉛めっき鋼板
  錆を防止する機能を持つ自動車用の主力鋼板。溶融した亜鉛槽に浸漬してめっきを施した溶融亜鉛めっき鋼板が主に用いられる。優れた防錆性を持つ一方、溶接の熱で亜鉛が気化し、様々な不具合を生じる溶接性の悪さが短所。

 ・ピット
  溶接部の表面に生ずる小さなくぼみ穴。ピンホールとも呼ばれる。

 ・ブローホール
  溶接部に内在する空隙(穴)。原因はピットと同一であり、両者合わせて気孔欠陥とも称される。

 ・スパッタ
  アーク溶接時に飛散する金属粒。製品品質の劣化、溶接機器の損傷、ガス噴出口の閉塞、火傷など様々な悪害をもたらす。

 ・波形制御技術
  アーク長、ワイヤ溶融およびワイヤ先端の溶滴の状態を溶接電源が高速に監視し、溶接状態が安定かつ一定になるよう電流、電圧波形を最適に制御する技術。本プロセスでは、溶接中のアークなどの熱によってできた溶融金属のたまりをダイナミックに振動させ、ピットやブローホールを極小化するとともに、溶滴移行を安定させスパッタを抑制するための制御を行っている。

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神戸製鋼所 大阪大学 神戸製鋼 亜鉛

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