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水産総合研究センター、中国水域で大型クラゲの幼体を発見
世界初!中国水域で大型クラゲの幼体を発見
〜出現予測の高度化に向けて前進〜
・2011年5月に東シナ海から黄海にかけての中国の排他的経済水域内において大型クラゲの分布調査を中国水産科学研究院東海水産研究所に委託して実施
・長江河口の外側の水域と江蘇省の沖合において、傘の直径約2mmの大型クラゲの幼体5個体を発見
独立行政法人水産総合研究センターは,水産庁補助事業「大型クラゲ国際共同調査事業」の一環として,中華人民共和国農業部漁業局および中国水産科学研究院の協力を得て,2011年5月に東シナ海から黄海にかけての中国の排他的経済水域内において、大型クラゲ(Nemopilema nomurai)の分布調査を中国水産科学研究院東海水産研究所に委託して実施し(図1),長江河口の外側の水域と江蘇省の沖合において、傘の直径約2mmの大型クラゲの幼体(エフィラ,図2)5個体を発見しました。これまで,傘の直径が1cm程度の幼体は中国の遼東湾奥や韓国西岸の群山沖で見つかっていましたが,これほど小さい幼体が見つかったのは初めてのことです。5個体の幼体は,その形態の発達状態から,いずれもポリプ(*1)から遊離した後10〜15日を経過したものと推定されました。
この発見は,大型クラゲの発生場所とその後の移動経路を海洋モデルによって推定するための基礎資料となり、日本沿岸における大型クラゲ出現予測技術の高度化に向けた調査研究の大きな一歩となることが期待されます。
*1:大型クラゲの発育初期の段階。海底等で固着生活しながら無性的に増殖し、クラゲの幼体(エフィラ)を遊離する。このため、ポリプの生息場所が大型クラゲの発生源と考えられている。
<別紙>(※添付の関連資料を参照)
・図1 2011年5月,東シナ海〜黄海における大型クラゲ分布調査地点と幼体発見場所
・図2 採集された大型クラゲの幼体(エフィラ)