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日本イーライリリー、AD/HD当事者対象のインターネット調査結果を発表

2011-11-08

成人期のAD/HD(18歳以上)当事者が最も望む支援は「医療(医療機関・治療選択肢など)の充実」

〜社会生活で困難を抱え、自尊心が低い可能性〜 


 日本イーライリリー株式会社(本社:神戸市、社長:アルフォンゾ・G・ズルエッタ)は、日常・社会生活において、18歳以上の注意欠陥/多動性障害(以下、AD/HD)1)当事者の現状や社会生活上の困難を明らかにすることを目的に、全国で18歳以上男女100名のAD/HD当事者を対象としたインターネット調査を実施致しました。同時に、AD/HD当事者やご家族の相談・支援を行っている6都道府県11施設の発達障害者支援センターへのアンケートも実施、成人期AD/HD(18歳以上)当事者(以下、当事者)を取り巻く現状が明らかとなりました。

 AD/HDは小児期の障害であると考えられてきましたが、小児期のAD/HD 当事者の30〜70%は成人期(18歳以降)にまで症状が持続することが示唆されています2)。また、適切な治療や支援が受けられない場合、AD/HDが当事者の心身の健康や社会生活に深刻な影響を及ぼす可能性を示す報告もあります。日本イーライリリーでは、注意欠陥/多動性障害(AD/HD )治療剤「ストラテラ(R)(一般名アトモキセチン塩酸塩)」について成人期のAD/HD への適応症の追加承認申請中です。

 主な調査結果は以下の通りです。


■63%の当事者は18歳以上で診断。約7割の当事者が「うつ病」など併存障害を抱える
 アンケートの対象となった100名の成人期AD/HD当事者において、成人前に診断を受けたのは20%に過ぎず、当事者の63%は18歳以上でAD/HDと診断を受けており、初めて診断を受けた平均年齢は28歳でした【グラフ(1)】。多くみられる症状は、「忘れ物が多い」、「集中力がない」、「片付けができない」で、AD/HD特有の『不注意』による症状でした【グラフ(2)】。また、72%の当事者が併存障害を抱えており、最も多い疾患は「うつ病」でした【グラフ(3)】。

■頻繁な転職と低い収入、自尊心が低い可能性を示す
 就労経験のある当事者のうち33%が「5回以上」転職を重ねていました【グラフ(4)】。また、約4割の当事者が収入を「100万円以下」と回答しました【グラフ(5)】。自分自身に対する気持ちについては、60%が「自分が好きだ」と思わず、62%は「(自分に)自信がある」とは思っていないことが判明し、自尊心が低い可能性が示唆されました【グラフ(6)】。

■成人期AD/HD当事者が、最も望むのは「医療(医療機関、治療選択肢など)の充実」
 当事者自身が自分らしく暮らしていくために必要だと思われる支援として、72%が「医療(医療機関、治療選択肢など)の充実」と回答しました【グラフ(7)】。医療面で困難があると感じている当事者において、最も困っていることとして、「成人向け(18歳以上)のAD/HD治療薬がない」(41.9%)、「治療を受ける病院がない・診断できる先生がいない」(39.2%)があげられました【グラフ(8)】。

■発達障害者支援センターへの成人期AD/HD当事者からの相談が増加
 発達障害者支援センターへの成人期当事者からの相談件数が近年増加しています【グラフ(9)】。成人AD/HD当事者からの相談で、医療面で最も多いのは「医療機関の紹介をして欲しい」【グラフ(10)】、就労面で最も多いのは「仕事が長続きしない」【グラフ(11)】となりました。また、発達障害者支援センターが当事者支援を行う上で、「紹介する医療機関がない、少ない」ことに最も困っている現状も明らかとなりました【グラフ(12)】。

■東京都立小児総合医療センター 顧問 市川 宏伸 先生 コメント
 一般的にAD/HDは、成長に伴い多動性が目立たなくなるものの、同じミスを繰り返す、忘れ物が多いなどの不注意や、感情のコントロールが難しい衝動性などの症状は一部の患者において持続することがあり、良好な人間関係構築や就労などの社会生活において困難に直面している当事者が多数存在しています。AD/HDにより生じる様々な支障を減らし、当事者がその人らしい生活をおくるためにも、成人AD/HD当事者への適切な治療が非常に大切です。

北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター 教授 田中康雄 先生 コメント
 適切な診断・治療が提供されないなかで、それぞれが生きづらさを感じながら日々を送っていることがわかります。そのうえで、収入が少なく、仕事が継続しにくい実情も明らかとなり、結果的に約6割の当事者の方々の自尊心が低下していることが、調査から判明しました。当事者の方々が少しでも豊かな日々を送るためにも、すべての年代の方への適切な医療的関与と途切れない支援こそが、もっとも求められています。

NPO法人えじそんくらぶ 代表 高山 恵子さん コメント
 AD/HDの障害の最大の課題は自尊心の低下と言われていますが、今回調査対象になった成人のAD/HDの方のQOLの低さ、特に自尊心の低さから、日本における成人ADHDの理解と具体的な支援が貧弱であることが推察されます。多くの当事者はAD/HDの特性から人間関係をうまく築くことが出来ず、周囲から孤立するなど日常・社会生活に支障をきたしています。ひらめき、行動力などAD/HDの特性を活かすことが可能になるように今後、成人AD/HD当事者に対しても家族や職場、大学での理解と適切な支援が広がることを期待しています。


以上

1)AD/HD(Attention Deficit/Hyperactivity Disorder:注意欠陥/多動性障害):不注意・多動性・衝動性を特徴とする発達障害のひとつ。米国では学童の3〜7%にAD/HDが存在すると示されており、日本では2002年に文部科学省が小中学校の教師を対象に3)行った調査では、2.5%(40人学級で1クラスあたり1人)が不注意・多動性・衝動性といった行動上の問題を抱えているとされた。小児特有の障害だと思われがちであるが、AD/HDと診断された子どもの30〜70%は成人期(18歳以降)にまでAD/HD特有の症状が持続することが示唆されている。一般的にAD/HDの治療は、ソーシャルスキルトレーニングなどの行動療法と薬物治療を組み合わせて行う。AD/HDに対する認識は少しずつ進んでいるものの、特に成人AD/HDに関する一般社会の正しい理解や適切な対応策は未だ十分に浸透していないのが現状。早期の気づき、周囲の理解や支援、専門医による適切な治療が重要で、そのためにはAD/HDへの正しい理解の促進が必要。詳しくは http://www.ADHD.co.jp をご参照下さい。

2)精神科治療学 19(5) : 563−569,2004.

3)医師による診断ではない


日本イーライリリーについて
 日本イーライリリー株式会社は、イーライリリー・アンド・カンパニーの子会社で、革新的な医薬品の輸入・開発・製造・販売を通じて日本の医療に貢献しています。統合失調症、うつ、双極性障害、注意欠陥・多動性障害(AD/HD)、がん(非小細胞肺がん、膵がん、胆道がん、悪性胸膜中皮腫、尿路上皮がん、乳がん、卵巣がん)、糖尿病、成長障害、骨粗鬆症をはじめとする、ニューロサイエンス領域、がん領域、糖尿病領域、成長障害領域や筋骨格領域における治療法を提供しています。詳細はホームページでご覧ください。
 http://www.lilly.co.jp


※ 調査結果詳細は、関連資料参照

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