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ポーラ化成、メラノサイト活性化因子ADMが新たなメラノサイト活性化因子であることを発見
遺伝子研究からシミの一因を発見
メラノサイト活性化因子ADMがメラニン産生量を増加させることを確認
ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社(本社:東京都品川区、社長:岩崎 泰夫)は、「Adrenomedullin(ADM)」(参考:資料1)が新たなメラノサイト活性化因子であることを見いだしました。
ADMは紫外線を浴びると表皮細胞からの分泌が促進され、メラノサイトを刺激しメラニン産生量を増加させます。
人の皮膚で起こる色素沈着(いわゆるシミ)では、α−メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)やエンドセリンなど様々な因子が表皮細胞から過剰に分泌され、メラノサイトを刺激してメラニンを過剰に産生させることが知られています。したがってこのようなメラノサイトを刺激するメラノサイト活性化因子を研究することは、シミができる詳細な機構を知る上で、また過剰なメラニンの産生をコントロールする上で大変重要です。
ポーラ化成工業では、これまでにも遺伝子解析研究によって、α−MSHが紫外線による色素沈着やシミの発生に重要な役割を果たすことを明らかにしており、さらにこの研究技術を新たなメラノサイト活性化因子を見いだす研究へと発展させ、検討をすすめてきました。
本解析に際しては、皮膚を構成する細胞を使い色素沈着のモデルを作製しました。その色素沈着モデルに対してマイクロアレイ(参考:資料2)技術を用い、45000を超える遺伝子の発現量(動き)を解析、メラノサイトを活性化する可能性のある因子を見いだすとともに、それら因子がメラノサイトを活性化するかどうかをsiRNA(参考:資料3)技術を用いて確認してきました。その結果見つかったのがADMです。現在、ADMに関してはさらに詳細な研究を行なっており、メラノサイトに対するメラニン産生以外の新たな作用の発見が期待されます。
なお、この結果は、フランス・ボルドーで開催されている、国際色素細胞学会International Pigment Cell Conference(IPCC)にて9/21に口頭発表いたします。
細胞(メラノサイト)にADMを添加した際のメラニン量と細胞(メラノサイト)数への影響。細胞数に変化はなかったため、ADMがメラニン産生のみを活性化していることが分かる。
※ 関連資料参照
(参考:資料1)
Adrenomedullin (ADM)
1993年、ヒト褐色細胞腫より発見された、血管を広げて血圧を下げる作用を示す物質。ヒト皮膚での存在は知られていましたが、メラニン産生に関与することを見いだしたのは世界初です。
(参考:資料2)
マイクロアレイ
細胞内の数多くの遺伝子の発現を一度に解析できる技術。今回は45000を越える遺伝子の動きを解析しました。
(参考:資料3)
siRNA
small interfering RNA。細胞内のターゲットとする遺伝子の発現(動き)を抑制することができる技術。今回は、遺伝子の発現を抑えることで色素沈着が出来なくなるか否かを確認することにより、各遺伝子の色素沈着に対する重要性を確認しました。
※マイクロアレイとsiRNAは、医学の領域でも用いられている最先端の技術です。