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ポーラ化成、皮膚の温度センサーTRPV4を活性化する化粧品素材開発に成功
皮膚の温度センサーTRPV4を活性化する化粧品素材開発に成功
バナバエキスが美しい肌を保つ皮膚温と同じ状態をつくることを確認
ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社(本社:東京都品川区、社長:岩崎 泰夫)はこの度、世界で初めてTRPV4を活性化させる素材を見出し、化粧品への応用に成功しました。この素材を化粧品に活用することで、肌が低温にさらされる環境においてもバリア機能の回復力を正常化し、乾燥肌や敏感肌を改善することが期待できます。ポーラ化成工業では、従来より温度と皮膚機能の関連性に着目し、温かい温度(30℃〜)で活性化し、皮膚のバリア機能に重要な役割を果たす温度センサータンパク質TRPV4(トリップ・ブイフォー)(参考:資料1)の研究を行ってきました。また、これまでに紫外線や湿度だけではなく、「温度(気温・体温)」が、皮膚のバリア機能に重要な役割を果たしていることを明らかにしてきました。
ポーラ化成工業と岡崎統合バイオサイエンスセンター(生理学研究所)生命環境研究領域 細胞生理研究部門の富永真琴教授(参考:資料2)の研究グループでは、TRPV4を活性化する化粧品素材を探索した結果、「バナバエキス」(熱帯地方の植物:参考:資料3)にその作用を発見しました。人工的にTRPV4を作らせた細胞を使用し、エキス添加によるTRPV4の活性度合いを調べた結果、添加前に比べて活性が高まることが確認されました(実験1)。また、表皮細胞におけるバリア機能をその電気抵抗値を用いて調べた実験では、エキス添加によって約1.3倍の機能向上を示す結果が得られました(実験2)。TRPV4を活性化する化粧品用素材を見出したのはこの領域でも初めてのことです。
この一連の研究から、皮膚を「温かい」温度に保つことによってだけではなく、例え肌が冷たくても化粧品によってTRPV4を活性化することでバリア機能の恒常性を維持し、美しい肌を実現することができると考えられます。この研究成果は9月24〜25日に東京で開催される日本生薬学会第58回年会において発表されます。さらに本研究での知見や今回見出した植物エキスは今秋、株式会社ポーラより発売予定のスキンケア商品に活用されます。
※実験結果詳細などは、添付の関連資料を参照