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三菱レイヨン、炭素繊維新工場の商業生産を開始
炭素繊維新工場の商業生産開始に関するお知らせ
三菱レイヨン株式会社(本社:東京都港区、社長:鎌原正直)は、昨年8月に建設を再開した炭素繊維生産設備が完成し、本年6月に商業生産を開始したことをお知らせします。
炭素繊維事業は、中長期的には風力発電翼、圧力容器、自動車をはじめとした各種産業用途での成長が見込まれることから、当社は本格的な需要拡大に応えるために新工場の建設をすすめてきました。6月に稼動を開始した新工場では、従来にない新タイプの炭素繊維である高性能ラージトウ「P330シリーズ」を生産し、風力発電翼を始めとする産業用途顧客向けに供給を開始しました。今後は稼働率を高め、早期にフル生産への移行を目指します。同時に、高性能ラージトウの特性を最大限に活かした風車用プリプレグや自動車構造材料用織物などの付加価値中間材料の開発に取り組み、順次市場に投入していきます。
記
1.新工場の概要
稼動開始 :2011年 6月
建設場所 :大竹事業所(広島県大竹市)
生産能力 :2,700トン/年
生産品 :産業用途を主体とした高性能ラージトウ「P330シリーズ」
投資額 :約120億円
2.「P330シリーズ」の概要
「P330シリーズ」は、当社の高強度炭素繊維TR50S/TRH50と同等の性能を保有し、かつフィラメント数を大型化(5〜6万フィラメント)させた製品です。従来の2.4万フィラメント(24K)以下のスモールトウと比較して、大型成形品に適した加工性を持ち、かつ高強度、高弾性の特性を実現したもので、これまでのPAN系炭素繊維の概念を変える新しい炭素繊維です。新工場は高性能ラージトウを本格生産する世界最初の工場であるばかりでなく、ラージトウの工場あたり生産能力としても世界最大規模(2,700トン/年)となります。
3.ラージトウについて
炭素繊維の2010年の世界需要は30,000トン前後と推定されますが、このうち約8,000トンがラージトウです。現在需要が拡大中の風力発電翼の材料や自動車構造材料の多くがラージトウを採用しています。産業用途の拡大と共に、ラージトウ需要の伸びはスモールトウの伸びを上回ると予想されています。