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産総研、単層カーボンナノチューブの孤立分散状態と凝集状態を容易に制御できる分散剤を開発

2011-07-29

単層カーボンナノチューブの分散状態を光で制御する新技術
−分散状態と凝集状態を容易に制御できる分散剤を開発−



<ポイント>
 ・分散剤の分子構造を検討し、光照射による構造変化を利用して分散能制御を実現
 ・紫外光照射によって光反応を起こすため、選択的に分散剤を取り除くことができる
 ・カーボンナノチューブを基材とするさまざまな材料への適用が期待される


<概要>
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)ナノシステム研究部門【研究部門長 八瀬 清志】スマートマテリアルグループ 吉田 勝 研究グループ長、松澤 洋子 研究員は、分子構造を検討し、紫外光照射によって単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の孤立分散状態と凝集状態を容易に制御できる新しい分散剤を開発した。

 SWCNTをはじめとする各種のカーボンナノチューブ(CNT)は、ナノ炭素材料の一つとして大きな注目を集めているが、溶媒に溶解しない点が応用上の制約となっている。近年、SWCNTを溶媒中に分散させる分散剤の開発が内外で活発に行われているが、SWCNTの分散状態を精密に制御する技術は確立されていなかった。今回新たに合成した分散剤は、高効率のSWCNT分散能を持つとともに、クロモフォア(光反応性の部位)を持つため、紫外光照射による光反応で、構造が変化し容易にSWCNT表面から脱離させることができる。このような非接触の刺激で分散剤の除去が可能となる技術は、SWCNTの精製法の改良や、各種CNTを基材とするさまざまな材料への応用が期待される。

 なお、この技術の詳細は、2011年7月26日付で、「Advanced Materials」誌にオンラインで発表される。

 〔光で脱離する分散剤の概念図〕

  ※画像は添付の関連資料を参照


<開発の社会的背景>
 近年、ナノテクノロジー分野の発展とともに、その基幹材料として単層、多層を含む各種のカーボンナノチューブ類の産業応用が注目されている(経済産業省「技術戦略マップ2010」)。その応用の鍵となる技術の一つとして、半導体SWCNTや金属SWCNTの分離に代表される、高度精製技術がある(2011年5月11日産総研プレス発表)。多くの精製技術では、溶解性を持たないSWCNTに対して適切な分散剤を用いてSWCNTを孤立分散状態にした溶液の調製が極めて重要である。このような分散剤は多数知られているが、分散状態を精密に制御する技術は確立されておらず、一旦調製した分散溶液から選択的に分散剤を取り除く技術は、SWCNTだけでなく各種CNTの応用に向けて大きな課題となってきた。


<研究の経緯>
 産総研では、新しい分散剤の研究を進め、カチオン性電解質構造をもつ有機化合物が高い分散能を発揮することを発見した(2007年5月25日産総研プレス発表)。また、新しい光機能材料の開発にも精力的に取り組み、加熱することなく光を照射するだけで、固体から液体へと融解し、さらに元の固体状態に戻すこともできる有機材料を開発した(2010年12月2日産総研プレス発表)。今回、このような異種研究を融合させて、新たな分子設計に基づいて有機電解質化合物に光反応性基を導入することにより、これまで知見の乏しかったSWCNT分散能の光制御について取り組んだ。

 なお、本研究開発の一部は、独立行政法人 日本学術振興会の科学研究費補助金「基盤研究(C)(平成22〜24年度)」による支援を受けて行ったものである。



※以下、「研究の内容」などリリースの詳細は添付の関連資料を参照


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