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総合企画センター大阪、国内OTC事業大手15社の海外事業戦略調査結果を発表

2011-07-19

(株)総合企画センター大阪は、国内OTC事業大手15社の海外事業戦略を調査し、その結果を発表。

◆2010年度の世界のOTC市場は7兆5,831億円。経済成長著しいアジアを中心として市場規模は年々拡大している。これに伴い、国内OTCメーカーは海外進出を積極的に行っている。

◆具体的には、2007年にライオンが「EYEMILE」、2008年に第一三共ヘルスケアが「ユンゲオール3」、2010年にゼリア新薬工業が「ヘパリーゼ」、2011年にエーザイが「チョコラBB」の海外販売を開始するなど、近年、国内OTCメーカーの海外進出が加速している。

◆なお、進出先では、中国・台湾・韓国など東アジアが中心となっており、今後もアジア地域で事業基盤の強化を図るメーカーが多い。


<調査結果>

●世界のOTC医薬品市場の市場規模
 世界のOTC医薬品市場は、2010年度で前年比2.2%増の7兆5,831億円規模であった。これを地域別でみると、欧州が全体の34.9%を占める2兆6,500億円で最大市場となっている。以下、アジアが32.7%の2兆4,831億円、米州が27.3%の2兆700億円、その他(アフリカ州、オーストラリア他)が5.0%の3,800億円となっている。

 欧州は前年比1.1%増であった。同地域ではフランス、ドイツ、イギリスが主要な市場となっている。同市場はここ数年、年率1〜2%増と拡大傾向にある。

 アジアは同3.1%増。同地域では中国(約13%)と日本(約10%)の2カ国が大きなシェアを占めている。特に、中国は、高い経済成長とセルフメディケーション意識の高まりを背景に急拡大している。一方、日本市場は2000年頃から市場が縮小傾向ある。この要因としては、特定保健用食品サプリメントなどの健康食品との競合によるところが大きい。この他、タイやシンガポール、マレーシアといった東南アジアが順調に拡大。アジアの中でも年々存在感を高めている。

 米州は同2.0%増となった。同地域は米国のシェアが大きく、米州全体の約74%を占める。米国では、リーマンショックなどの経済不安などの影響から2009年に足踏みを強いられたが、その後は順調に市場が拡大している。その他の国では、カナダやブラジルのシェアが大きくなっている。


●国内大手15社のOTC海外事業展開動向

1)海外進出状況
 OTCメーカー大手15社の海外展開時期をみると、森下仁丹、久光製薬、龍角散、大幸薬品、湧永製薬の5社は1900年代前半と早い時期から海外事業に取り組んでいる。これらのメーカーは、大衆薬の基幹ブランドをアジア地域に輸出することで海外展開に乗り出している。
 1990年代後半に入ると、大正製薬と佐藤製薬がドリンク剤の海外展開を開始した。当初は、海外で生活する日本人への販売を想定していたが、現地人にも受け入れられ、急速に需要が拡大した。なかでも、大正製薬はアジア地域を中心に、“エナジードリンク”という新市場を創出した。
 2000年代に入ると、ライオン、第一三共ヘルスケアゼリア新薬工業、エーザイなどが新たな販路を求めて海外へ進出。この背景としては、国内のOTC市場が成熟化し、今後の成長を見込むことが難しいとの判断からであり、中国や韓国・台湾など東アジアに進出する動きが目立っている。

2)拠点動向
 OTC大手15社の海外拠点数は49拠点。地域別ではアジアが33拠点で最も多く、全体の67%を占める。
 以下、米州が9拠点、欧州が6拠点、オーストラリアが1拠点となっている。海外に最も多くの拠点を構えているのは大正製薬であり、その数は13拠点となっている。次いで、ロート製薬が11拠点、佐藤製薬が7拠点、小林製薬と久光製薬が各5拠点で続いている。
 大正製薬は13拠点中11拠点がドリンク剤の生産拠点となっており、アジア・米・欧の3極に生産・販売拠点を置いて活動を行っている。ロート製薬は、自社の拠点に加え、子会社のメンソレータム社の拠点も活用することでグローバルな生産・販売体制を構築している。
 佐藤製薬は台湾・米国に生産拠点を構えており、これら2拠点でドリンク剤や大衆薬の製造を行っている。
 小林製薬は上海を主要拠点にしてアジアを中心に展開。また、久光製薬はインドネシア・ベトナムなど東南アジアを中心に展開している。

3)OTCメーカーの事業規模
 OTC大手15社の国内外を合わせたOTC製品の売上規模は、2010年度で前年度比0.3%増の4,884億円であった。世界のOTC医薬品市場に占める割合は6.4%となっている。
 国内企業のうち、OTC医薬品のトップメーカーは大正製薬であり、売上高は1,497億円となっている。以下、ロート製薬が1,123億円(一部スキンケア関連等の部外品含む)、第一三共ヘルスケアが401億円、ライオンが337億円で続く。以下、興和、佐藤製薬、小林製薬、エーザイが200億円台、ゼリア新薬工業と久光製薬が100億円台となっている。
 トップの大正製薬は、2010年度、国内市場は好調だったことに加えて、海外は米ブリストル社の大衆薬事業が通年で寄与したことにより、順調に拡大している。
 ロート製薬は、中国の売上増が牽引役となり、拡大推移となった。同社は中国においてリップクリームや点眼薬などの市場開拓に注力している。以下、第一三共ヘルスケア、ライオン、興和、佐藤製薬については、日本市場の伸び悩みにより規模がやや減少した。
 なお、2010年度時点で海外売上比率が最も高い企業は龍角散であり、その割合は55.6%となっている。以下、河合製薬が47.8%、ロート製薬が28.4%、大幸薬品が17.6%、湧永製薬が16.3%、久光製薬が13.2%となっている。


●今後の世界市場の予測
 世界のOTC医薬品市場は、2011年度で7兆8,436億円規模、2012年度で最大8兆3,700億円規模に拡大する見通しとなっている。世界市場の牽引役となっているのがアジア。同地域は、2011年度には欧州を抜いて世界最大の市場となる見込み。

 OTC大手15社の今後の戦略としては、ほとんどの企業がアジアを有望な市場であると見ており、中国をはじめ、韓国、台湾、東南アジアにおいて事業拡大を図る意向を示している。

<調査要綱>
 調査期間:2010年10月〜2011年6月
 調査対象地域:アジア、米州、欧州、アフリカ州、太平州の5地域
 調査対象品目:第1〜3類医薬品(大衆薬)、医薬部外品(ドリンク剤)
 調査対象企業:エーザイ、興和、河合製薬、小林製薬、佐藤製薬、ゼリア新薬工業、大幸薬品、大正製薬
 第一三共ヘルスケア、久光製薬、森下仁丹、ライオン、龍角散、ロート製薬、湧永製薬

<資料体裁>
資料名:「2011年 製薬企業のOTC海外事業戦略調査」
      http://www.tpc-osaka.com/detail.php?prod_code=mr110110028
 発刊日:2011年6月29日
 体裁:A4判 101頁
 定価:製本版 91,350円(税込)/CD−ROM版 10,500円(税込)
 注)CD−ROM版は製本版をご購入いただいた方に限り提供させていただきます。

<会社概要>
 ■会社名:株式会社総合企画センター大阪
 ■所在地:大阪市西区新町2−4−2 なにわ筋SIA ビル
 ■TEL:06−6538−5358
 ■FAX:06−6538−6531
 ■URL:http://www.tpc-osaka.com
 ■E−Mail:info@tpc-osaka.com
 ■事業内容:マーケティングリサーチおよび調査レポートの出版


 ※ 参考資料は、関連資料参照

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