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基礎生物学研・慶大・九大など、アサガオの全ゲノムを解読

2016-11-11

アサガオの全ゲノム解読
アサガオの学術研究100年目のイノベーション―


 基礎生物学研究所の星野敦助教、慶應義塾大学理工学部の榊原康文教授、九州大学大学院理学研究院の仁田坂英二講師らは、日本独自の研究資源であるアサガオの全ゲノム配列をほぼ完全に解読することに成功しました。アサガオが約43,000個の遺伝子をもっていることや、その多彩な品種を生み出すもとになった動く遺伝子(トランスポゾン)のゲノム上の分布状況、「渦」と呼ばれる変異の原因遺伝子なども新たに判明しました。アサガオは日本伝統の園芸植物であり、花色や形態形成などの分子遺伝学的な解析材料としての重要性から、活発に研究されています。今回の成果によりゲノム情報基盤が整備されたことで、アサガオがモデル植物として世界中のより多くの研究者に活用されることが期待されます。本研究成果は2016年11月8日に国際学術誌“Nature Communications”(ネイチャー・コミュニケーションズ)に掲載されます。本研究は文部科学省科学研究費新学術領域研究「ゲノム支援」(代表:小原雄治 国立遺伝学研究所)の一環として実施されました。

 ※図1は添付の関連資料を参照

【研究の背景】
 アサガオは、日本の夏を代表する植物です。夏の朝を彩る涼やかなその花は、古くから日本人に愛されてきました。江戸時代には、アサガオとは思えないような奇妙な花と葉のかたちをした「変化アサガオ」を鑑賞することが流行り、風変わりな見た目に価値を見いだすという、世界にも類を見ない日本独自の文化の一部になりました。もともとアサガオの野生型(原種)は、青く小ぶりな花を咲かせます。観賞用として品種改良が進んだアサガオは色彩豊かで、花も大きいなど、野生型とは違う性質が見られます(図1)。このような性質や、変化アサガオの奇妙なかたちは全て、遺伝子のDNA配列が変化した「突然変異」によるものです。
 ところで、今年はアサガオの学術研究が始まって100周年にあたります。これは遺伝学によるアサガオの研究が、はじめて学術論文(日本育種学会会報第1巻第1号「一二のMENDEL性質に就いて」(外山亀太郎)、「朝顔の遺傳」(竹崎嘉徳))として発表された1916年から数えたものです。遺伝子の突然変異によって生じる「突然変異体」は、遺伝学に欠かせない材料です。アサガオの遺伝学は、数多くの突然変異体があるという恩恵のもと、日本国内で精力的に行われました。現在、1,000をこえる突然変異体が国の重要な生物資源として九州大学で保存され、研究に活用されています。
 このような、日本生まれの研究資源であるアサガオを学術研究でさらに活かすために、全ゲノムのDNA配列を解読することが研究者のあいだで期待され続けてきました。ゲノムとは、ある生物がもつ全ての遺伝情報のセットのことで、生物の設計図にもたとえられます。2010年の秋、国内の研究者が集まり、アサガオの設計図を入手する共同研究がスタートしました。

 ※研究の成果などリリース詳細は添付の関連資料を参照



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