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MonotaRO、被災地の復興住宅支援でプロジェクト「K−engine Project」の趣意書を発表

2011-05-14

東北地方に美しい村を復興するための応急仮設住宅に代わる
“地場工務店による『村』再生”プロジェクト(K−engine Project)に関する
趣意書



 このたびの東日本大震災では、多くの被災者がその住居を失いました。現在政府はこの緊急対応として大量の仮設住宅を建設中ですが、仮設住宅は居住性も美観も優れたものとはいえず、それは応急措置に過ぎません。被災者の本格的な生活再建のためには、新たな恒久住宅を建設する必要があり、仮設住宅はそれにあわせて将来的に撤去されることになります。そのため、仮設住宅の建設と恒久住宅の建設という二度にわたる支援を公共が負担しなければなりません。
 一方、仮設住宅のメリットである安さと建設の速さは、三陸地方では平地が限られていることから必要な公有地が不足しており、かつ、東北地方の合板工場が被災したことから合板を中心とする資材が不足しており、十分に実現されておらず、今後もその順調な建設が可能かどうか疑問視されています。
 K−engine Project(以下、本Project)では、この問題を解決するために、美しい恒久住宅を伝統工法で安く速く建設する計画を建てました。計画の価値を出来る限り早く理解して頂く為に、民間の篤志家からの寄付で一つのコミュニティの建設を開始します。7月には住民の方の入居が可能です。将来的には現在政府が計画している仮設住宅への予算をはじめとする復興支援策を活用して、同様のコミュニティ建設がされることを期待しています。以下に趣意を記載します。





1 本Projectが企画する復興住宅の利点
 (1)美観
   世界が注目している東北で伝統工法による美しい街を再建することは日本人の誇りとなる。
 (2)居住性
   東北の冬は厳しく、被災者には暖かく合理的な広さの家が必要。
 (3)公的支援の効率性
   仮設住宅はいずれ恒久住宅にとって代わられる存在であり、最初から恒久住宅を建設することで、仮設と恒久に二重に公的支援を行うのでなく、効率的な公的支援となる。
 (4)土地
   三陸地方は平地に乏しく、そもそも住宅建設に適した平地が少ない。そこに仮設住宅を建設すれば常設住宅を建設するスペースがなくなるので、最初から常設住宅を建設することは合理的。また、民間の地主からも数年間のみ使用される仮設住宅よりもコミュニティ建設への土地の貸与のほうが理解を得やすい。
 (5)地域経済への貢献
   主にプレハブメーカーが建設する仮設住宅とは違い、今回の復興住宅は地元の工務店を使用する事を前提としており、地域経済に貢献出来る。
 (6)日本の林業の再建
   輸入木材ではなく、地元の木材を使用することを前提としており、日本にとって懸案であった国産林業の振興に役立つ。
 (7)新たなコミュニティの建設
   今回の計画は集落そのものの建設をめざしており、そこには1軒孤児や身寄りのない老人が生活の出来る共同住宅も含めている。この共同住宅の建設によって、
   1)その浴室・便所を共同利用しながら、2階建の住宅に2世帯が当分の間居住すること
   2)身寄りの亡くなった孤児や高齢者が共同で居住すること
   が可能になり、東北地方に旧来からあった互助精神のある共同体を保護・維持出来る。


2 なぜ速く効率的に常設住宅を建設することが可能か
 (1)株式会社MonotaROが開発した建築デザインから資材の指定までを一気通貫で行えるパソコンソフトK−engineの使用により、従来煩雑であった管理コストおよび物流コストを削減。資材も復興住宅への協力の精神から中間流通を省き、メーカーから直接購入することを可能にしたため。
 (2)伝統工法の使用およびK−engineの融通性の高さから現在不足している合板などの特定資材に頼ることなく、家屋を建設出来るため。
 (3)上記通り、民間の土地の使用も視野においており、新たな土地収用や限られた公有地の使用だけに頼らずに素早く建設が可能なため。
 (4)多くの実践的技術者OBを要し日頃から地域社会と関係を持っている工学院大学建築学部の情報力と技術力によって地域の実情や資材にあわせた提案が可能なため。


3 我々が提案する大規模復興住宅のスキーム
 (1)今回のプロジェクトでは、民間からの寄付によって学校法人工学院大学がそれを原資に試験施設として村の再建を行う。この寄付を国庫の負担等に、大学を住宅公社等に置き換えれば、公共による同種のプロジェクトのモデルとなるものと考える。
 (2)仮設住宅は建設から廃棄までのコストを加えると1軒あたり500万円が必要になる。これに災害救助法で規定されている全壊家屋再建の1世帯あたり300万円の補助金を足せば最初から常設住宅を建設する場合、1世帯あたり800万円の補助が可能と考える。今回はこの1世帯あたり800万円の補助金を寄付に置き換えて計画を実行する。
 (3)復興住宅の建設コストは20坪の木造住宅でインフラ費用の300万円を含めて1軒あたり1200万円。この1200万円と上記の補助金相当の800万円の差額である400万円を25年間の定期借家契約として年間16万円ずつ徴収、想定借地料の年間4万円を足しても年間20万円の家賃であり、年金生活者でも支払い可能な範囲と判断した。
 (4)実際に公的スキームが出来る場合は、土地を公有地として事業を開始することや、入居後の借地や借家の買い取りオプションも有り得る。


4 計画の詳細
 敷地:宮城県石巻市北上町十三浜白浜45他/都市計画区域外・宅地(約600坪)
 建物:住宅10棟(約20坪2階建と約13坪平屋を想定)、共同住宅1棟
     構造:木造・伝統工法/合板は使用しない
 施工:株式会社イトックス
     宮城県登米市迫町北方字壇ノ浦33−1 代表取締役伊藤秀夫
 居住者:白浜地区の皆さん/同地区は震災により家屋が壊滅しました
 家賃:月1万7千円/定期借地・定期借家
     ※家賃等の収入は石巻市又は地区自治会に寄付する予定


 なお、このプロジェクトは仮設住宅の建設そのものを否定するものではなく、仮設住宅と常設復興住宅のバランスの良い供給こそが被災者の生活再建と地域復興に必要との信念から提案されるものである。



以上



※以下、参考資料などリリースの詳細は添付の関連資料を参照


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