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ポーラ化成、皮脂由来の遊離脂肪酸がシミ発生の原因になる可能性を発見
シミの原因は紫外線などの外部刺激だけではなかった
皮脂由来の遊離脂肪酸がシミ発生の原因になる可能性を発見
メラニン産生を刺激する炎症性物質(GM−CSF)の増加を確認
ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:三浦卓士)は、
1)皮脂成分のひとつである遊離脂肪酸の作用により、メラニン産生を上昇させる炎症性物質のGM−CSF(※1)が、表皮細胞内で増加すること
2)トラネキサム酸とエンメイソウエキス(ポーラ化成工業オリジナルエキス)が、GM−CSFの増加を抑制すること
を見出しました。
これらの研究成果は、化粧料に応用することでシミの改善につながることが期待され、ポーラ・オルビスグループの株式会社ポーラから今夏発売される化粧品に活用される予定です。
※1 GM−CSF:顆粒球マクロファージコロニー刺激因子と呼ばれる炎症性物質のひとつ(Granulocyte Macrophage Colony−Stimulating Factor)
○遊離脂肪酸による炎症性物質(GM−CSF)の発生について
紫外線や物理的刺激などにより表皮細胞は炎症性物質を分泌します(プロスタグランジン、インターロイキン類など)。これらはメラニン産生細胞を刺激し、メラニン産生を上昇させ、色素沈着やシミを生じさせると考えられています。これら炎症性物質のうちのひとつがGM−CSFです(図1)。
一方、肌の表面に潤いと柔軟性を与え肌を保護する役割の皮脂は遊離脂肪酸、トリグリセリド、スクワレン等を主成分としますが
特に夏場には
1)気温が上昇し、皮脂そのものの分泌が増加すること
2)遊離脂肪酸の発生に関与する皮膚常在菌が増加すること
から、遊離脂肪酸の量が増加します。過剰な遊離脂肪酸は肌に刺激を与え、乾燥性の肌荒れを起こし、キメを悪化させること等が報告されています。
今回、遊離脂肪酸の表皮細胞への影響を研究した結果、炎症性物質のひとつであるGM−CSFの産生を増加させることを見出しました(図2)。
*図1・2は添付の関連資料を参照
○トラネキサム酸、エンメイソウエキスが増加したGM−CSFを抑制
遊離脂肪酸の刺激により増加するGM−CSFを抑制できれば、メラニン産生が減少しシミの改善につながると考えました。そこで、増加したGM−CSFを抑制する素材を探索した結果、トラネキサム酸とエンメイソウエキスの組み合わせにその作用があることを見出しました(図3)。
このことから、トラネキサム酸とエンメイソウエキスを配合した化粧料を使用することで、遊離脂肪酸によって増加するGM−CSFを抑制することができ、シミ改善につながることが期待されます。
*図3・参考資料は添付の関連資料を参照