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Cardio Flow Designなど、「心臓血管血流解析シミュレーション」を提供開始

2016-04-19

「心臓血管血流解析シミュレーション」の提供開始
〜スパコンを活用した心疾患の予測医療のための受託解析サービス〜


 株式会社Cardio Flow Design(以下Cardio Flow Design社)は、スーパーコンピュータを活用した循環器画像解析サービス「心臓血管血流解析シミュレーション」の提供を本日より開始します。

 「心臓血管血流解析シミュレーション」は、循環器医学分野の医師や研究者を対象とした受託形式の研究支援サービスで、心臓血管疾患における造影CTやMRIなどの医用画像を用いて、血管内の血流の様相を高精度で再現した動画をレポートとして提供するものです。本サービスでは、血管内の血流を詳細に可視化し、病的な血流が血管内皮へ及ぼす力学的なストレスを計算することで、心臓・血管機能に与える影響を知ることを可能にします。この解析結果により、心筋梗塞や大動脈瘤破裂、心不全などの循環器疾患の予後の予測につなげることができます。

 また、Cardio Flow Design社の血流研究に関する先進的な技術にNECソリューションイノベータのIT技術を組み合わせ、スーパーコンピュータを駆使した流体解析技術を医用画像に適用するシステムを構築したことで、解析の高速化を実現しました。

 本サービスは、研究を目的とした血流解析を行う医療研究機関に向けて、日本全国だけでなく全世界に解析結果を提供していきます。

 CAE(注1)技術およびCFD(注2)技術を用いた血流の解析手法は、心筋梗塞や大動脈解離など循環器疾患の「予測医療」の研究に特に有用とされています。本サービスにより、循環器疾患に関する研究を支援することで、同疾患の「予測医療」の進展に貢献していきます。

 *参考画像は添付の関連資料を参照


■背景
 日本を含む先進諸国において、循環器疾患は主要な死因の一つであるため、循環器領域における心不全や動脈硬化の進行などを予測する医療には、大きな期待が持たれています。近年のコンピュータ技術の進歩に伴い、心臓の大きさや血管の形態だけを評価するのではなく、心臓や血管の中における血液の流れを、わかりやすいカラー動画で見るような血流研究が盛んに行われ始めています。このような状況の中で、医用画像に基づいて血流を可視化する研究である血流解析は、心筋梗塞や大動脈瘤破裂や心不全の進行など生命の予後を予測する医療につながる研究として近年着目されつつあります。

 一方で血流解析は、医用画像をもとに高い精度で血管形状を3次元的に抽出し、生体らしい拍動の流れの条件下で流体物理の方程式を処理するものです。これには、高度な画像処理技術、流体解析技術、コンピュータ技術を必要とするため、アメリカやヨーロッパにおいても限られた先進研究機関でのみ実装できる手法にとどまっていました。

 そこで、血流解析分野の日本におけるパイオニアであり、数々の血流計測機器の開発実績のある板谷慶一氏(医師・医学博士 京都府立医科大学 心臓血管外科/心臓血管血流解析学 講師)の監修の元、同氏が創設した血流解析のためのベンチャー企業Cardio Flow Design社(東京都千代田区 代表取締役社長 西野輝泰氏(医師))がNECソリューションイノベータと組み、国内唯一の産業界専用の公的スーパーコンピュータ「FOCUSスパコンシステム」(公益財団法人 計算科学振興財団)を用いて、膨大な症例の画像データを並列で高速処理を行うためのシステムを構築し、本サービスを開発しました。

 本サービスの開発にあたり、循環器内科医で医工連携研究での豊富な経験を有する山本匡氏(医師・工学博士 北海道循環器病院/心血管研究センター センター長)、流体工学とバイオエンジニアリングの日本を代表する専門家の一人である中村匡徳氏(埼玉大学理工学部 准教授)をアドバイザーとして迎えることで、病態生理学および流体力学理論に基づいた精緻なシミュレーションを実現しました。加えて、製造業等の幅広い工業分野の研究開発に用いられてきた、アンシス・ジャパン株式会社(東京都新宿区)が販売する汎用流体解析ソルバ「ANSYS(R) Fluent(R)」を血流解析用に組み換え、高精度な解析をより短期間に同時並行処理することを可能にしました。


■価格・販売目標
 価格は、1件につき10万円前後です。
 サービス提供開始後3年で、延べ3000件以上、国内外100機関以上への提供を目指します。


■特長
1.予測医療・予測医学のための血流診断研究を支援
 本サービスでは、従来可視化することが困難であった、血管内の3次元的な血流速度や血圧分布を拍動する動画で得られるだけでなく、WSS(注3)や血流のエネルギー損失(注4)など、病的な血流がもたらす心臓や血管にかかるストレスを計測することができ、動脈硬化や心不全の進行を予測する指標を取得できます。虚血性心疾患、大動脈疾患、小児先天性心疾患の研究に応用できます。

2.仮想手術シミュレーションが可能(オプションサービス)
 冠動脈バイパス手術や先天性心疾患手術などに際して、手術前の造影CTやMRIなどの画像をもとにコンピュータ・グラフィックス技術を駆使し、手術後の血管の形状を仮想的に作成して流体解析を行い、手術後の血流の様相をシミュレーションすることができます。患者固有の血管形状を反映したテーラーメイドな解析を行うことで、複雑で特異的な疾患の研究にも貢献できます。

3.スーパーコンピュータ(FOCUSスパコン等)で解析を高速化
 CPU80−120コアを並列使用したスーパーコンピュータで解析を行うことで、計算精度の高い大規模な解析をより短時間で実施できます。例えば、通常の業務用のPCを用いて1週間から10日程度かかる解析を24時間以内に高速化します。ハイスペックな環境で高速演算処理を行うことにより、複数の解析を同時に処理することできます。

4.強固な産学・医工連携体制により生体らしい拍動血流を高精度で再現
 これまで、アメリカやヨーロッパの先進的な研究機関でのみ実装可能であったCAE/CFD血流解析を受託サービスにすることにより、世界中の医療研究機関において同解析を行うことが可能になります。また、密接な産学連携・医工連携体制のもと構築された本サービスでは、医療現場の意見を反映し、高度なIT技術を駆使し、生体らしい拍動血流を高精度で再現しています。


以上


 (注1)コンピュータ支援技術「Computer Aided Engineering」の略。コンピュータを活用した設計や解析などの技術のこと。
 (注2)コンピュータ流体力学「Computational Fluid Dynamics」の略。コンピュータにより流体解析を行う工学分野、またその技術。
 (注3)「wall shear stress」の略。血液の流れによって血管の内皮(壁面)に加えられる、表面を擦るように作用する力。
 (注4)壁面との摩擦や、渦、乱れなどの影響により失われる流体のもつエネルギー。

 ※記載されている会社名および製品名は、各社の商標または登録商標です。
 ※本サービスは、特許出願済の技術を採用しています。


◇本件に関するお客さまからのお問い合わせ先
 株式会社Cardio Flow Design
 E−mail:info@cfd.life



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