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東レと大鵬薬品など、高分子ナノ薄膜を応用した癒着防止材を開発

2016-02-29

高分子ナノ薄膜を応用した癒着防止材の開発および事業展開について


 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、早稲田大学発のベンチャー企業 ナノシータ株式会社(本社:東京都新宿区、社長:大坪真也、以下「ナノシータ」)と共同で、ナノシータが研究開発したポリ乳酸樹脂製の高分子ナノ薄膜(以下「ナノシート」)を応用し、腹腔内等の外科手術の際に使用する新たな癒着防止材(以下「本材」)を開発しました。今回の開発品は利便性と有用性に主眼を置いたもので、操作時にはガーゼ様で取り扱いやすく、術後には癒着を妨げるバリアフィルムとして癒着防止効果が期待できます。東レとナノシータは2012年10月に事業化基本契約を締結し、共同開発を進めてまいりました。

 また、東レと大鵬薬品工業株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小林将之、以下「大鵬薬品」)は本材について、2015年3月に、日本での共同開発および販売に関する独占的オプション契約を締結しました。
 この度、3社の協業に向けた体制が整い、治験品の製造に関わる設備導入や開発品の基本仕様が固まったことから今後の事業展開に向けて取り組みを加速してまいります。

 本材は、癒着防止層と支持層の2層からなり、癒着防止層にはナノシートを適用しています。ナノシートは生分解性のポリ乳酸系樹脂でできているため、体内で分解・吸収されます。また、支持層は水溶性樹脂からなるガーゼ様構造体で、薄くて扱いにくい数百nm厚の癒着防止層を補強します。さらに支持層は患部送達後に水で溶解するため、回収の必要がありません。このように本材はユニークな構成となっており、手術時の操作性の向上が期待できます。

 今後、東レは本材の治験開始に向けて治験品製造技術を確立し、治験終了後、医療機器としての承認および事業化を目指します。大鵬薬品は、東レが実施する非臨床試験の結果に基づくオプション権の行使により、治験の共同実施、国内の販売権を獲得します。

 東レ、ナノシータ、および大鵬薬品は、本材の提供を通じて患者さんの治療への貢献を目指します。


以上


【ナノシートについて】
 強力な密着性を持つシート状の材料で、DDS(※)、医療機器および化粧品用途として、ナノシータが開発したポリ乳酸樹脂製の高分子ナノ薄膜です。数百nm厚のナノ薄膜にすることで柔軟性と密着性が増し、複雑な形状をした臓器や患部へ接着剤を使わずに物理的な力で臓器への密着を可能としたシートです。
 ※:Drug Delivery System 医薬品を必要な場所に、必要な時間、必要な量だけ送達する技術。


【癒着防止材について】
 手術で組織同士を縫合すると、その組織同士が結合し自然治癒するのが正常ですが、治癒過程で本来離れている組織同士が癒着してしまうことがあります。これを術後癒着といいます。術後癒着による合併症は、小腸閉塞、続発性不妊症、慢性骨盤痛が知られています。癒着防止材は術後癒着を防止するために、手術後に患部に貼付して使用します。


(ご参考)3社の概要

 *添付の関連資料を参照




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