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富士経済、ネットスーパー・ネット通販など食品ダイレクトセールス市場の調査結果を発表

2011-04-15

通産省推計「買い物弱者」600万人、70代高齢者増でさらに拡大
―ネットスーパー、ネット通販など食品ダイレクトセールス市場*調査を実施―

―2011年見込み―
 ●ネットスーパー   10年比37.3%増   781億円  中長期取り組みで、生鮮品買いの習慣を変革
 ●インターネット通販 10年比16.2%増 3,073億円 名産・産直品中心に拡大し、日常チャネル化へ
 ●生 協         10年比 0.7%減 1兆1,720億円 廃れるライフスタイルとネットスーパー競合


 総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 阿部 界 03−3664−5811)は、ネットスーパーやインターネット通販など急成長する食品ダイレクトセールス12チャネルと、食品13品目の国内市場について調査を行った。その結果を報告書「食品ダイレクトセールス市場トレンドデータ2011」にまとめた。この調査では、市場の現状やユーザー特性を分析し、今後の市場を展望、さらに有望企業や注目企業21社の事例を研究するなど、食品ダイレクトセールス事業を総合的に検証した。

*食品ダイレクトセールス市場:電話、Fax、インターネットなどで受注した食品を宅配(家庭・オフィス)するサービスと、サーバーを設置して水・コーヒー・お茶を宅配するサービスを含めた市場である。またカップ式自動販売機なども含む。


<調査の概要>
 食品ダイレクトセールス市場は、消費者のライフスタイルが変化し、生協に代表される従来型の宅配ビジネスからインターネットを活用した通販へシフトして急成長している。また量販店の大型化によって消費行動が郊外化し、住居の近隣で買い物を済ませられない空白エリアも増加している。経済産業省では買い物に不自由を感じる消費者(=買い物弱者)は全国で600万人にものぼると推計しており(「買い物弱者マニュアル」2010年10月発表)、自治体でもこうした買い物弱者の自宅への配送サービスの普及に力を入れ始めている。
 ネットスーパーはサービスエリアの拡がりと利用者の増加によって急速に成長を遂げており、買い物弱者対策としても注目を集めている。70代以降の高齢者はFAXや電話の注文が多く、インターネットの普及率がまだ低いこともあり、今後の利用拡大にむけて簡易端末など利便性の高いツールの提供も始まっており、利用者の拡がりはさらに進むと見られる。
 インターネット通販は、特に気軽さと豊富な品揃え、関連情報の多さによって大きく成長している。近隣では購入できない名産品や産直品、お得な訳あり商品などが消費者の購買意欲を刺激している。
 弁当宅配も高齢者需要を主体に利便性の高いサービスとして利用者が増加しており、行政が実施する安否確認などの高齢者向けサービスと併せて今後ニーズはさらに拡大すると見られる。
 ウォーターサーバーは、安全な水を求める消費者ニーズが高まり成長を続け、市場も1,000億円に迫る勢いで広がっており、”重たいもの、かさ張るもの”が中心の宅配需要により、利用者が拡大している。


<注目市場>
1.ネットスーパー(食品のみを対象)
 <ネットスーパー>
     2010年:569億円
      前年比:135.8%
  2011年見込:781億円
     10年比:137.3%

 会員からインターネットや電話などで注文を受け、既存店舗や商品センターから個人宅に配達する食品宅配サービスである。各チェーンとも不況や熾烈な競争で店舗売上が低迷する中、ネットスーパー事業でノウハウを蓄積して、中長期的な収益性を見出せるビジネスを構築したいという機運が高まっている。
 イトーヨーカ堂の成長のほか、イオンが急激にネットスーパーを展開する店舗を拡大するなど、10年は市場全体では前年に比べ35%以上の拡大を遂げている。11年は上位チェーンが引き続き拡大策を採る予定で、特に西友が商品を絞り採算性を重視して効率化を図っていたが、急激に拡大路線に計画を変更しており、また東急ストア、ユアーズ、フジ、ヨークベニマルなど新規参入する有力チェーンが後を絶たないため、当面成長が続くと見る。
 イトーヨーカ堂は地道に消費者のネットスーパーに対する認識を変える育成策と、個々の顧客ニーズに合わせた商品構成で、移り気なネット顧客の囲い込みを図った。07年以降、順調にネットスーパー展開店舗を拡大しており、市場シェアは50%に近く10年末時点で会員数は70万人を超えた。
 西友はネットスーパーを首都圏47店舗に限定して展開していたが、11年には全国的に拡大し3倍の150店舗のネットスーパーの新規開設を計画し、13年末には350店舗体制を計画している。
 イオンネットスーパーのイオンリテールは、08年以降急速に広いエリアで店舗を開設しており、10年末に115店舗にし、東京都心部の無店舗地域ではセンター型(倉庫型)のネットスーパー事業も検討している。センター型は初期投資が嵩むものの、会員数が増えれば作業効率が向上し、規模拡大に伴い収益性も高くなる。当日受注、当日配送を展開しにくく生鮮品などの在庫管理リスクもあるが、前日受注などでリスクを軽減する手法で、11年以降、新たなビジネスとして導入するチェーンが出てくると見る。
 11年以降も上位チェーンが拡大路線を採ることは確実で、市場は拡大し続ける。イトーヨーカ堂の攻勢もあって、ユニー、イオン、オークワ、ダイエー、サミットといった大手企業が次々と参入し、市場が活性化すると見込まれる。ただそ今後は、ある程度の人口密度が伴った地域でないと事業効率からビジネスとして成り立たないことから、遠くない時期に飽和感が漂ってくると見る。いかに顧客の利用頻度を高め、顧客とOne to Oneの関係を築けるかが重要である。生鮮品は消費者によっては、「実際に見てみないと」という感覚の人が多いが、ここをクリアすることが顧客の信頼につながり、事業の継続的な安定成長につながっていくであろう。
 また、スーパーサンシやイズミヤが取り組む小商圏で徹底的に地域密着する戦略は、中長期的な視点で顧客との強い信頼関係が構築できることから安定性が大きな強みとなり、今後1つのビジネスモデルとして、地域スーパーで普及する可能性があると考える。


2.インターネット通販(食品のみ対象)
<インターネット通販>
    2010年:2,645億円
     前年比:120.2%
 2011年見込:3,073億円
10年比:116.2%

 この市場は、インターネットの普及とともに広がっており、中高年層にも利用者が増加し、市場は急成長している。男性、女性ともに20〜30代がメインの利用者となっており、インターネットに触れる機会が多く子育て世代であるため、便利な買い物ツールとして使用する。またスマートフォンなどの利用を通じて商品情報を容易に入手するなど通販環境への優位性が高い。40〜50代でもインターネットの普及率は上昇している。地方産品やこだわり商品など付加価値商品の購入比率も高い世代で、特に食への意識が高い。60代までは比較的インターネットを利用するが、70代は利用者が少ない。買い物に不便を感じ、重たいものやかさばるものなどの通販ニーズが高い世代としては、インターネットのへの慣れが必要である。この年代は”買い物弱者”も多く存在することから、簡便に使えるツールによりインターネットとの接点を多くする必要性が高い。
 インターネット通販は、特に食品分野において、これまで店頭では購入できない希少性の高い商品、産直品や名産品などを中心に市場は拡大して来た。そうした需要は今後もインターネット通販におけるメイン商材であるものの、手軽に利用できるチャネルとして一般食品にまで利用範囲が広がってくると見られる。自宅に居ながら買い物が出来るメリットを感じるユーザーも多く、また、体力的に、時間的に店舗に買い物に行けないユーザーの利便性、即応性を高めて、日常的な買い場の一つとして認識されつつある。ネットでしか購入できない商品に加え、一般食品、特に日配品、調味食品、さらに惣菜の品揃えを強化していくことで、成長を続けると見られる。今後は、”店頭では購入できない”食品を購入する希少性から”気軽に購入できる販売チャネル”の利便性にニーズが広がって、さらに市場は継続的な拡大が見込まれる。
 楽天は、取り扱い品目100万点を超える国内最大の仮想ショッピングモール”楽天市場”を運営し、食品でも圧倒的なシェアを獲得している。産直品を始めスイーツ、アルコール、飲料など豊富に揃えている。10年は節約志向と猛暑により外出を抑制する”巣篭もり消費”により実績が拡大した。サービス内容も強化して、”訳あり商品”などのお買い得商品や、”グルメ旬マップ”などの特集も積極的に展開しており、”ついで買い”や”衝動買い”を促す情報を発信して動機付けをしている。さらに日用食料品の品揃えを強化し実績を拡大していくと見られる。ヤフーは、ポータルサイトとして70万点超のアイテムをラインナップして圧倒的な知名度とアクセス数を誇る。シーズンや話題に応じた特集によって需要を喚起し、”訳あり商品”の低価格品も見られる。同社は09年秋より「あすつく」サービスを導入して、消費者の利便性を向上させている。


3.ウォーターサーバー
ウォーターサーバー
    2010年:708億円
     前年比:117.2%
 2011年見込:839億円
     10年比:118.5%

 サーバーを有料貸出し、ミネラルウォーターを販売するサービスを対象とする。世界的に見て水道水をそのまま飲用できる13ヵ国のひとつ日本は、このところ東京電力の福島原発事故の影響から、”水を買って飲む”という消費者意識が拡大しようとしている。総務省10年の統計世帯数から推計してウォーターサーバーの普及は3%程度である。消費者の安全に対する意識の高まりや、買い物弱者による購入の増加で市場は急拡大しており、10年には700億円を突破した。飲料メーカーでは1993年からサントリーフーズが宅配水事業を開始しており、飲料、食品メーカーも新規参入の動きがあり、12年には1,000億円に達すると見る。家庭用が60%強で、安全性、利便性を重視するユーザーがさらに増加すると見られる。シェア上位は、アクアクララとナック合わせて40%強である。
 日本のミネラルウォーター市場は成長過程であり、今後の伸び代は非常に大きく、大手を中心にしばらくは拡大が続くと見る。宅配水では海外の上位企業が日本への市場参入を検討しているとも聞かれ、上位企業と提携して参入するケースが考えられる。また飲料や食品メーカーが宅配水事業に参入すると、既存企業が淘汰される可能性がある。


4.生協(宅配事業のみ)
<生     協>
    2010年:1兆1,800億円
     前年比:99.3%
 2011年見込:1兆1,720億円
     10年比:99.3%

 リーマンショックの08年以降の本格的な景気低迷は、生協の業績に大きく影を落とし、10年は店舗事業が前年比約4%のマイナス、宅配事業は同0.7%減を強いられた。生協の成長を支えた宅配事業では、伝統的な共同購入がライフスタイルの変化から徐々に廃れ、代わって宅配事業の中心となった個配も本格導入から10年が経過し、伸び悩みが鮮明となって来た。低迷要因のひとつはインターネットの普及である。2000年あたりからネット注文に対応したが、生協は高齢利用層が多くネット注文が普及せず、宅配利用者の20%程度に留まった。もう一つは、ネットスーパーの普及で急拡大するネットスーパーと利便性の面で劣勢に立たされ、新規需要の獲得に苦慮しているという点である。生協の宅配は週に一度であるのに対して、ネットスーパーは顧客の希望日時に配達される上、注文する時間帯によっては当日配送も可能である。また、配送料の面でもネットスーパーは一定の購入金額に達すれば無料のチェーンが多い。
 11年も、ネットスーパーとの競争が熾烈となるが、生協宅配の明確な優位性は見られず、緩やかなマイナス推移が続くと見込まれる。ネットスーパー市場は当面拡大していくと予想され、展開する量販店も生協の宅配事業の需要をターゲットとしていることから、厳しい競争が続くと予想される。
 生協の宅配事業の復権にはインターネット注文の普及が不可欠であり、NTTグループと組んで各生協の組合員向けの独自の基盤を確立するなどインターネット環境を確実に進化させつつある。こうした動きが活発化して競争力を高めて行けば生協は勝機を見出せるであろう。


以 上


<調査方法>
 富士経済専門調査員による調査対象企業及び関連企業・団体等へのヒアリング調査及び関連文献、社内データベースを併用

<調査期間> 2010年12月〜2011年2月
 資料タイトル :「食品ダイレクトセールス市場トレンドデータ 2011」
 体   裁   :A4判 268頁
 価   格   :120,000円 (税込み126,000円)
           CD−ROMセット価格 :140,000円 (税込み147,000円)
 調査・編集  :富士経済 東京マーケティング本部 第一事業部
           TEL:03−3664−5831  FAX:03−3661−9778
 発 行 所  :株式会社 富士経済
           〒103−0001東京都中央区日本橋小伝馬町2−5 F・Kビル
           TEL03−3664−5811 (代) FAX 03−3661−0165
           e−mail:info@fuji-keizai.co.jp

 この情報はホームページでもご覧いただけます。
 URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/
     https://www.fuji-keizai.co.jp/


※目次は添付の関連資料を参照

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