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神戸製鋼、沖縄での「木材利用を促進する増殖技術開発事業」で試験礁を設置し実証事業開始

2011-03-24

沖縄における「木材利用を促進する増殖技術開発事業」について


 平成22年度より新たに公募された水産庁補助事業である「木材利用を促進する増殖技術開発事業」のうち、「地域で産出される木材を活用した増殖礁の実証事業」において本協議会の提案が選定され、このたび試験礁を設置し実証事業を本格的にスタートするはこびとなりましたので報告いたします。
 尚、昨日までに、対象海域の二か所に試験礁の設置を行いました。


1.事業の目的
 沖縄県は、サンゴ礁、干潟、藻場、漁場等、多様で豊かな海域環境が形成され、水産業及び観光にとって、かけがえのない財産となっています。しかし近年のサンゴの白化現象やオニヒトデによる食害、開発による藻場・干潟やサンゴの喪失などにより、海域環境が傷ついており、その修復、漁場環境の復元など、本県の活性化に不可欠な開発行為と貴重な自然環境への影響緩和・共生が課題となっています。

 一方、全国的に間伐が行われない等管理が放置された森林が増加しており、森林の適切な管理のため、地域で産出される間伐材及び木材の継続的な活用が求められています。
 沖縄においては、松くい虫被害や台風等による倒木材の利用も課題となっています。

 本事業においては、地域で産出される木材や松くい虫の被害木を活用して、水産生物の増殖に効果的な増殖礁の開発を行い、沖縄の気象、海象条件に適した増殖礁の開発を進めるとともに、自然再生型・環境創造型の技術の確立・その普及等に資することを目的としています。


2.木材活用増殖礁沖縄地域協議会の概要
 当協議会は上記の目的に賛同する自治体・漁業協同組合・民間企業により、平成22年6月29日に設立されました。古堅与那原町長を会長とした当協議会の会員ならびに役員は以下の通りです。

 沖縄地域協議会の会員
  与那原町
  沖縄県農林水産部漁港漁場課
  与那原・西原町漁業協同組合
  佐敷中城漁業協同組合
  株式会社仲本工業
  株式会社神戸製鋼所沖縄支店
  神鋼建材工業株式会社

 沖縄地域協議会の役員等
  (1)会長 与那原町長 古堅 國雄
  (2)副会長 与那原・西原町漁業協同組合長 知念 優光
  (3)監事 沖縄県農林水産部漁港漁場課長 増村 光広
  (4)事務局長 (株)仲本工業 代表取締役社長 仲本 豊


3.事業内容
(1)構造物(増殖礁)の概要・・・図−1参照
 今回開発した木材活用増殖礁は、藻場となる鋼製増殖礁のセンターに、虫等が生息して魚類の餌場となりかつ海中に有機物(腐植質)を溶出させる木材ユニットを組み込み、数年での劣化・腐敗が想定される木材部を容易に交換できる設計としました。
 地元の森林組合等とも連携を図り、良好な漁場環境・海域環境の実現と地域で産出される木材の継続的な利活用が図れるよう工夫しています。
 鋼製増殖礁の内部には、琉球石灰岩と鉄分の供給が期待できる鉄鋼スラグを海藻の着生基質として投入しています。(鉄鋼スラグの投入は独自調査として実施)
 また、木材ユニット単体としての構造物も設置し、モニタリングによる増殖効果の比較・検証を行う予定です。

(2)使用木材沖縄県農林水産部森林緑地課ならびに国頭村森林組合の協力・指導を得て、ユニット内部に投入する木材については、広葉樹(イタジイなど)の小径木を使用しました。
 なお、次年度は松くい虫等の被害にあった針葉樹(琉球松など)の使用を予定しており、木材の劣化状況を検証するためのテストピースについては、本年度から広葉樹針葉樹の2種類を礁体に取り付けています。

(3)設置海域対象海域(沖縄県東海岸中城湾 与那原町・西原町・中城村周辺海域)の現況調査を行い、中城湾南部と北部の異なる二か所に試験礁を設置し、モニタリングによる増殖効果の比較検討を行います。
 中城湾南部(与那原町板良敷地先)は、底質が細かい砂で潮通しが緩やかなのに対し、北部(中城村久場地先)は、底質が砂礫で比較的潮通しが良い海域となっています。

(4)モニタリング今回の実証事業では、モニタリング技術の信頼性を高め、開発の対象である木材を活用した増殖礁の効能を、定量的に評価できるようにすることを目指しています。
 増殖礁の機能として、魚類の蝟集状況や海藻類や付着生物、ならびに近傍に生息するプランクトン類のサンプリング調査を行うとともに、木材の劣化・腐食状況についても礁体に取り付けたテストピースを定期的に引き上げ検証していきます。
 また、水質調査によるデータを蓄積し、森林の環境と海水中の腐植質の因果関係や鉄分との相乗効果についての検証も行う予定です。


4.次年度以降の予定
 水産庁の事業実施期間と連動し、本年度から平成26年度まで5カ年での実施を計画しています。
 次年度は本年設置した試験礁のモニタリングとともに、使用木材を変え改良を加えた構造物を設置する予定です。平成24年度以降はモニタリングの継続と木材ユニットの交換を行い、最終的には水産資源増殖効果、コスト面、沖縄地域の木材の使用量、耐久性等を勘案し、沖縄の地域条件、海域条件に適した自然再生型・環境創造型の木材活用増殖礁が提示できるよう注力してまいります。


■図−1<増殖礁の概要>
 ※添付の関連資料を参照

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