エプソン、多種多様なデータ計測が可能な高精度・小型の水晶加速度計を開発

高精度・小型の水晶加速度計（振動・傾斜）「M−A３５１」を開発
―わずかな振動や傾きなど多種多様なデータ計測が可能―

　＊製品画像は添付の関連資料を参照

　セイコーエプソン株式会社（社長：碓井　稔、以下エプソン）は、このたび、産業分野向けに、高精度・小型の水晶加速度計（振動・傾斜）「M−A３５１AS」（SPI　出力モデル）、「M−A３５１AU」（UART　出力モデル）を開発しました。本製品は３軸の水晶加速度センサーを内蔵し、振動や傾きなど多種多様なデータ計測が可能で、サンプル出荷は２０１５年７月中旬を予定しています。

　エプソンでは、これまで３軸の水晶加速度センサーを内蔵した振動計「M−A３５０A」、傾斜計「M−A３５０T」を商品化・量産し、高精度・小型化により、お客様からご好評をいただいていますが、本製品は以下のとおり計測性能などを大幅に向上させた後継機になります。


【高分解能】
　従来機１uG／LSBの約１６倍となる分解能０．０６uG／LSBでの高精度な計測が可能です。


【広帯域】
　従来機１５Hz（固定）から１００Hz（可変）に向上しているため、より速い動きの計測が可能です。


【出力レート（UART）】
　従来機１００Spsから１，０００Spsに向上したことで、動きのデータをより細分化して取得できます。


【出力単位の選択が可能】
　本機種は、従来の振動計、傾斜計がそれぞれ有していた機能を、１機種で担える汎用性の高い製品です。
　お客様は、本機種が３軸（x，y，z）の各軸で計測するデータの単位を、加速度、傾斜角、傾斜角速度の３種類から、任意で設定できます。したがってお客様は、さまざまな用途に応じて、測定したいデータを取得することが可能になります。


　水晶デバイス事業と半導体事業を展開するエプソンは、両事業の強みを活用し、独自のセンシング製品を開発・製造しています。本製品には、精度・安定性に優れる水晶素材に、独自技術QMEMS（※１）で微細細加工を施し実現した、高精度で優れた安定性能を持つ水晶加速度センサーを使用しています。さらに自社開発の高性能かつ低消費電力のマイコンを用い、設計を最適化することで、本加速度計を実現しました。

　建築・土木業界をはじめとした産業分野では、高層建築物・大型構造物などの水平・垂直の監視や、微小な揺れによる構造物の経年変化や地震による歪み・損傷などの計測が行われています。従来、これらの計測に使用される高精度な振動計・傾斜計は、高額でサイズ・重量が大きいことが導入の障壁となっていました。エプソンの本製品は、長期間にわたり高精度・高安定で計測できる機械サーボクラスの性能を持ちながら、シリコンMEMSクラスの小型・低消費電力を実現し、さらにモニタリングシステムを構築する際のトータルコストも抑えられるため、お客様がより容易に高精度センサーを活用することを可能にします。

　エプソンは、２０１５年度における会社としてのありたい姿を定めた長期ビジョン「SE１５」において、時間や圧力、角速度などを計測するセンシングを成長が見込める重要な事業領域と位置付けています。今後も、水晶デバイスと半導体の技術を融合した、高精度なセンシングシステムの提供により、お客様の安心・安全・快適を実現してまいります。
　
■想定しているお客様・主な用途
　（１）建築・土木
　　・建築構造物のヘルスモニタリング
　　・土木現場での安全監視用途モニタリング、周辺環境の振動計測など

　（２）大型機械・大型構造物
　　・船舶・大型機械の挙動計測、大型構造物の保全用途モニタリングなど（取得データは、機器やシステムの異常感知、改善に活用可）

　（３）地震
　　・地震に伴う対象物の振動（強震・微振動・長周期振動）計測など


■本製品の仕様

　＊表資料は添付の関連資料を参照


　（※１）QMEMS：安定・高精度などの優れた特性を持つ水晶素材である「QUARTZ」と、「MEMS」（微細加工技術）を組み合わせた造語。半導体を素材としたMEMSに対して水晶素材をベースに精密微細加工を施し、小型・高性能を提供する水晶デバイスを「QMEMS」と呼んでいます。「QMEMS」は、セイコーエプソン株式会社の登録商標です。


以上