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デンカ生研、北大とエボラウイルス抗原検出迅速診断キットの試作品開発に成功
エボラウイルス抗原検出迅速診断キットの開発に関するお知らせ
電気化学工業株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:吉高紳介(◇)、以下「デンカ」)の主要グループ会社であるデンカ生研株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:前田哲郎、以下「デンカ生研」)では、インフルエンザ、ノロウイルス、RSウイルスなどの迅速診断キット製品群を有しており、かねてより国立大学法人北海道大学(北海道札幌市、総長:山口佳三、以下「北大」)人獣共通感染症リサーチセンターの高田たかだ礼人あやと教授と共同でエボラウイルス迅速診断薬の開発を行っておりましたが、このたびその試作品開発に成功したことをお知らせいたします。
◇社長名の正式表記は添付の関連資料を参照
本診断薬は、デンカ生研が製造・販売を行う感染症迅速診断キット「クイックナビ(TM)」シリーズのプラットフォームをベースとするもので、血清を検体とした測定を行います。毒性の高いウイルスを扱うことの出来る米国のBSL4施設(※注1)において、エボラウイルスに感染したサルの血清を用いた試験を行い、約15分でエボラウイルス感染の有無が判定できることを確認しました。
エボラウイルス感染の判定には、主にELISA法(※注2)やRT−PCR法(※注3)などの測定法が使用されており、特別な装置と長い測定時間を必要としています。デンカ生研の「クイックナビ(TM)」シリーズが採用するイムノクロマト法(※注4)は、特別な器具や装置を必要としないため、簡便且つ迅速な検査が可能で、電源などが十分でない地域においても活用が期待されます。今後、本法を採用したエボラウイルス迅速診断キットの実用化に向けて、開発を進めてまいります。
北大とデンカ生研は、インフルエンザウイルス診断キットなどの共同研究をとおして、さまざまな疾病の予防と制圧に取り組んでまいります。
以上
・参考資料は添付の関連資料を参照
[注釈]
※注1BSL4:
バイオセーフティーレベル4(biosafety level4)
細菌・ウイルス等の微生物・病原体等を取り扱う専用実験施設のうち、最高度の安全レベルが保証された実験施設
※注2ELISA法:
エライザ法(Enzyme−linked immuno−sorbentassay)
抗原抗体反応を利用して、特定物質を測定する免疫学的測定法
※注3RT−PCR法:
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction)
RNA(リボ核酸)から逆転写酵素によってcDNA(相補的デオキシリボ核酸・遺伝子情報を継承する物質)を合成し、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を行うことで、目的の遺伝子を増幅する方法
※注4イムノクロマト法:
クロマトとはクロマトグラフィーの略語で、固定相の一端から多成分試料を移動させ、各成分の固定相に対する吸着や、分配の差異による移動速度の大小によって分離する方法。イムノクロマト法は、この原理と抗原抗体反応を組み合わせたもので、検出方法としては、酵素抗体法と凝集法(金コロイドや着色ラテックスなど)がある
*デンカ生研は、インフルエンザ診断キット「クイックナビ(TM)−Flu」を中心に、感染症迅速診断キットの国内マーケットにおける高いシェアを有しており、世界的な感染症拡大のリスクの高まりを受けて、アジア・アフリカなどでの積極的な事業展開を進める方針です。現在このエボラウイルスのほか、デング熱やHIV等など、多様な感染症診断薬の研究開発を進めております。
デンカは、経営計画「DENKA100」を推進し、その成長戦略のひとつに『成長ドライバーへの資源集中と、次世代製品開発』を掲げております。デンカ生研が製造、販売する迅速診断キットは、成長ドライバーの「健康」分野の一翼を担う重要な製品群です。
デンカグループは、引き続き経営資源の選択と集中を図るとともに、社会における課題解決を目指して、市場からのニーズに応えてまいります。