イマコト

最新の記事から注目のキーワードをピックアップ!

Article Detail

帝国データバンク、人手不足に対する企業の動向調査結果を発表

2015-02-26

特別企画:人手不足に対する企業の動向調査
正社員、企業の37.8%で人手不足感
〜「金融」や「旅館・ホテル」で急拡大〜


<はじめに>
 人口減少が進み産業構造が変化するなか働き手の奪い合いが生じ、公共事業では入札不調が続くなど円滑な執行ができない状況も生まれている。アベノミクスの成長戦略推進において人手不足がネックとなり、この状態が続くと今後の景気回復の足かせともなりかねない。
 帝国データバンクは、人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2015年1月調査とともに行った。

 ※調査期間は2015年1月19日〜31日、調査対象は全国2万3,402社で、有効回答企業数は1万794社(回答率46.1%)


 <調査結果(要旨)>

 1.企業の37.8%で正社員が不足していると回答。「情報サービス」が6割近くに達しているほか、「建設」や「医薬品・日用雑貨品小売」など専門知識・スキルを必要とする業種で人手不足が深刻となっている。とりわけ、「金融」「旅館・ホテル」「メンテナンス・警備・検査」など、金融緩和による円安の好影響やオフィスビル需要の拡大を受けた分野で不足感が急拡大している

 2.非正社員では企業の24.1%が不足していると感じており、特に「飲食店」「旅館・ホテル」「飲食料品小売」などで高い。訪日海外旅行客数の増加とともに、消費者と接する機会の多い業種で不足感が高まっている

 *表資料は添付の関連資料「表資料1」を参照


1.企業の約4割で人手不足感、金融や旅館・ホテルなど急拡大
 現在の従業員の過不足状況を尋ねたところ(「該当なし/無回答」を除く)、正社員について企業の37.8%が「不足」していると回答し、4割近い企業が正社員の不足を感じている。現在の正社員数が「適正」と判断している企業は49.6%、「過剰」と判断している企業は12.7%となった。
 また、現在の正社員が「不足」していると回答した企業を業種別にみると、「情報サービス」が59.3%で最も高く、前回調査(2013年12月時点)の3位からトップへと上昇した。以下、「建設」(54.6%、前回調査1位)、「医薬品・日用雑貨品小売」(53.6%、同9位)、「放送」(53.3%、同6位)、「旅館・ホテル」(52.8%、同11位)、「人材派遣・紹介」(52.6%、同2位)、「運輸・倉庫」(50.0%、同8位)で不足感が目立った。
 トップの「情報サービス」では、「人材不足が深刻化しており、ITエンジニアが確保できない」(ソフト受託開発、東京都)や「人材不足で仕事を断っている」(ソフト受託開発、京都府)など、年度末の需要期に加えて、マイナンバー制度の導入や金融機関のシステム投資拡大などもあり人手不足が高水準で続いている。「建設」は復興需要に加えて東京五輪に向けたインフラ整備が本格的に始まることもあり、「下請け業者が見つかりにくい」(土木工事、富山県)状況となっている。また、円安や免税品目の拡大などにより外国人旅行客が増加している「旅館・ホテル」の人手不足感が強まっている。
 前回調査と比べて急拡大している業種をみてみると、日経平均が15年ぶりの高値を付けるなど株式市場が活況な「金融」は、20ポイント以上増加し29位から8位に上昇したほか、オフィスビル需要の拡大にともない「人手不足により受注がさばけない」(警備、長野県)など「メンテナンス・警備・検査」が15位から10位に上昇した。
 「情報サービス」や「建設」などITエンジニアや現場における有資格者など専門知識を有する人材のほか、「旅館・ホテル」、「金融」など金融緩和による円安を通じたインバウンド消費や金融市場の活況といった、アベノミクス効果の好影響を比較的受けている分野で人手が不足している実態が表れている。

 <従業員の過不足感>

 *表資料は添付の関連資料「表資料2」を参照

 <従業員が「不足」している上位10業種>

 *表資料は添付の関連資料「表資料3」を参照


2.非正社員、企業の24.1%が不足、娯楽サービスや飲食料品小売、旅館・ホテルで急増
 非正社員は安倍政権発足後におよそ160万人増加した。非正社員が「不足」していると回答した企業(「該当なし/無回答」を除く)は24.1%で4社に1社が非正社員の不足を感じており、前回調査とほぼ同水準だった。しかし、3社に2社が「適正」と考えているほか、「過剰」と回答した企業も約1割にのぼった。
 非正社員について、最も人手が不足していると感じている業種は「飲食店」(55.0%)がトップ。以下、「旅館・ホテル」(54.3%)、「飲食料品小売」(53.9%)、「人材派遣・紹介」(48.9%)、「娯楽サービス」(48.3%)が続いた。
 特に、「娯楽サービス」(前回調査比15.6ポイント増)や「飲食料品小売」(同12.2ポイント増)、「旅館・ホテル」(同8.8ポイント増)などで、人手不足感が大幅に拡大しており、円安にともなう訪日海外旅行客数の増加とともに、消費者と直に接することの多い業種で高かった。企業からは、「インバウンドが好調」(一般食堂、北海道)や「宿泊稼働率が堅調」(旅館、東京都)、「ウェルネス事業が人材不足のため人件費が高騰している」(フィットネスクラブ、宮城県)といった意見が挙がった。


<まとめ>
 「TDB景気動向調査」(帝国データバンク)によると、1月の国内景気は、原油価格急落による好影響の広がりや、円安によるインバウンド消費の拡大で、悪化傾向に歯止めがかかった。しかしながら、消費税率引き上げをめぐる駆け込み需要とその反動減、震災復興、金融緩和による円安効果など、人手不足が深刻化するなかで、業績回復に業界間あるいは企業間で二極化する傾向が表れている。 今回の調査によると、企業の約4割で正社員の不足感を抱いており、とりわけ「情報サービス」では6割近い企業で人手が足りていないほか、「建設」「医薬品・日用雑貨品小売」「放送」「旅館・ホテル」などで人手不足に直面している実態が明らかとなった。特にITエンジニアや、建設や医薬品販売などにおける現場の資格保有者といった専門知識を必要とする人材や、株高など金融関連分野での人手不足が急拡大している。また、円安を通じてインバウンド消費が活発化しているなかで、「飲食店」や「旅館・ホテル」などでは非正社員の不足感も高水準となっている。
 2015年はアベノミクスの成果が問われる1年となろう。その際、人手不足が景気拡大を抑制する懸念もある。現在、企業の約1割が「過剰」と考えているなかで、過剰分野から不足分野への労働力の移転による人手不足解消の進展が期待される。


<調査先企業の属性>
 1.調査対象(2万3,402社、有効回答企業1万794社、回答率46.1%)

 *表資料は添付の関連資料「表資料4」を参照

 2.企業規模区分
  中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

 *表資料は添付の関連資料「表資料5」を参照


Related Contents

関連書籍

  • 死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    死ぬまでに行きたい! 世界の絶景

    詩歩2013-07-31

    Amazon Kindle版
  • 星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    星空風景 (SKYSCAPE PHOTOBOOK)

    前田 徳彦2014-09-02

    Amazon Kindle版
  • ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    ロンドン写真集 (撮影数100):ヨーロッパシリーズ1

    大久保 明2014-08-12

    Amazon Kindle版
  • BLUE MOMENT

    BLUE MOMENT

    吉村 和敏2007-12-13

    Amazon Kindle版