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富士フイルム、脳疾患などの機能診断に役立つPET検査用の放射性医薬品市場に参入

2014-11-08

PET(陽電子放射断層撮影)検査用の放射性医薬品市場に参入
約60億円を投資し、神奈川・大阪に研究開発拠点を新設
「T−817MA」の治療薬と合わせ、アルツハイマー型認知症の診断から治療まで幅広く貢献


 富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、脳疾患や心臓疾患、腫瘍などの各種疾病の機能診断に役立つPET(陽電子放射断層撮影)(※1)検査用の放射性医薬品市場に参入します。今後、約60億円を投資し、国際戦略総合特区(※2)に指定されている彩都西部地区(大阪府茨木市)と殿町地区(神奈川県川崎市)に研究開発拠点を新設します。

 PET検査は、18F(フッ素)などポジトロン(陽電子)を放出する核種(※3)を化合物に標識した放射性医薬品をヒトに投与して断層撮影する検査で、各種疾病の機能診断に役立ちます。また、従来の核医学検査と比べて高い感度と空間分解能を有しており、より診断に適した機能画像が得られることから、各種疾病の診断、治療方針の決定や予後の判定などに大きな役割を果たします。
 現在、脳疾患領域においては、高齢化社会の進展に伴って、アルツハイマー型認知症が増加しています。アルツハイマー型認知症の原因の一つとして、アミロイドβというタンパク質の脳内への異常な蓄積が考えられており、この蓄積はアルツハイマー型認知症が発症する15〜20年前から始まっていると解明されつつあります。また、アルツハイマー型認知症の診断精度向上は、放射性医薬品を用いたPET検査でアミロイドβを検出する手法が有効であると期待されています。これまで、富士フイルムは、100%子会社の富士フイルムRIファーマ株式会社を通じて、放射性医薬品分野ではSPECT検査(※4)領域で事業を展開してきましたが、今後、アミロイドβ検出用薬剤の研究開発に取り組み、PET検査領域にも事業拡大を図ります。

 富士フイルムRIファーマは、本年10月14日に、大手製薬企業のイーライリリー・アンド・カンパニー(※5)と、同社のPET検査用放射性医薬品「florbetapir(18F)注射液)」(以下、「florbetapir」)の日本国内における共同開発契約を締結しました。「florbetapir」は、イーライリリー・アンド・カンパニーが世界で最初に承認を取得した、脳内アミロイドβプラーク(※6)を可視化できる放射性医薬品です。既に、米国、EU諸国及びスイスにて承認され、アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者に対して、診断的評価を補助する目的で使用されています。
 今後、富士フイルムRIファーマは、日本イーライリリーとの共同開発体制の下、「florbetapir」の国内承認取得を目指します。また「florbetapir」を用いたPET検査による認知障害の診断精度向上に取り組んでいきます。

 現在、富士フイルムグループでは、アルツハイマー型認知症の治療薬「T−817MA」の開発を行っています。「T−817MA」は、強力な神経細胞保護効果、神経突起進展促進効果を有し、病態動物モデルにおいて高い治療効果を示すことが確認されており、アルツハイマー型認知症に対して高い治療効果が見込める革新的な薬と期待されています。今後、治療薬「T−817MA」と診断薬「florbetapir」の開発を進め、アルツハイマー型認知症の診断、治療に貢献していきます。さらに、アルツハイマー型認知症の予防手法の開発にも.げ、アルツハイマー型認知症の予防から診断・治療まで幅広くカバーすることを目指します。

 富士フイルムは、アンメットメディカルニーズが高い「がん」「アルツハイマー」及び「感染症」を重点領域と捉え、研究開発を積極的に推進して事業展開を図るとともに、革新的な医薬品の提供を通じて世界の医療の発展に貢献していきます。

 ※1:Positron Emission Tomographyの略。
 ※2:国際戦略総合特区とは、産業構造及び国際的な競争条件の変化、急速な少子高齢化の進展等の経済社会情勢の変化に対応して、産業の国際競争力の強化及び地域の活性化に関する施策を総合的かつ集中的に推進することにより、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図ることを目的として設置された総合特区制度の一つであり、我が国の経済成長のエンジンとなる産業・機能の集積拠点の形成を目的とした国際戦略総合特区として、平成23年12月に7つの地域が第一次指定されました。
 ※3:原子核中の陽子の数、中性子の数等によって規定される特定の原子の種類のこと。
 ※4:SPECT検査は、単一光子を放出する核種(例えば、99mTc、123Iなど)を化合物に標識した放射性医薬品をヒトに投与して断層撮影する検査で、PET検査同様、各種疾病の機能診断に役立ちます。SPECTとはSingle Photon Emission Computed Tomographyの略。
 ※5:イーライリリー・アンド・カンパニー(米国本社)の他、日本イーライリリー株式会社(イーライリリー・アンド・カンパニーの日本子会社)、Avid Radiopharmaceuticals,Inc.(イーライリリー・アンド・カンパニーの子会社)も含みます。
 ※6:アミロイドβプラーク(老人斑)は、アミロイドβが凝集(重合)したものが沈着してできるもので、神経細胞を障害します。一般に、アルツハイマー型認知症患者の脳では、アミロイドプラークが同年齢の健康な人の5〜10倍あるといわれています。

<PET検査用放射性医薬品の研究開発拠点の概要>

 *添付の関連資料「概要」を参照



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