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岩谷産業、フッ化カルシウムの合成技術を確立

2014-10-18

<世界初!>フッ化カルシウム(蛍石)合成技術を確立
レンズ用原料として天然資源に依存しない安定供給を実現


 岩谷産業株式会社(本社:大阪・東京、社長:野村雅男、資本金:200億円)は、名古屋工業大学安井晋示准教授の技術指導を受けながら、上田石灰製造株式会社(本社:岐阜県大垣市、社長:上田和男、資本金:1億円)と共同で、デジタルカメラ天体望遠鏡のレンズに使われる光学結晶材料の原料となるフッ化カルシウム(蛍石)の合成技術を確立しました。
 光学結晶材料の原料となる蛍石(フッ化カルシウム:CaF2)は、現在、天然資源として中国から全量輸入に頼っていますが、品質のバラツキや価格変動が激しく光学結晶材料メーカー(光学レンズメーカー)では安定的なフッ化カルシウムの調達が課題となっていました。今回、世界で初めて開発に成功した人工フッ化カルシウムの製造技術を用いると、極めて高純度な製品を安定的に提供することが可能となり、このようなユーザーニーズに応える有望な技術として注目されています。


■開発技術の概要
 今回開発した技術は、粉末の炭酸カルシウム(CaCO3)を、特殊バインダーを用いてφ5mm、長さ10mm程度の円柱形状に造粒し、これをフッ化水素(HF)ガスと反応させ高純度のフッ化カルシウム(CaF2)を人工的に合成する製造方法です。特殊バインダーを用いて炭酸カルシウムを造粒する技術は上田石灰製造(株)が担当し、フッ化水素ガスとの反応プロセスの開発は当社が主となって担当しました。

 CaCO3 + 2HF → CaF2 + CO2 + H2O

 炭酸カルシウム フッ化水素ガス フッ化カルシウム(蛍石)

 開発した技術のポイントは、造粒した特殊バインダー含有の炭酸カルシウムの粒を、表層部のみならず芯部までHFと接触させ完全にフッ化反応させること、および合成したフッ化カルシウムの純度が99.95wt%以上という高純度であることの2点です。特に光学結晶材料は極微量の不純物が存在するだけで、光の吸収特性や結晶強度に大きな影響を与えることから各種不純物濃度が規定されています。例えば、原料となるフッ化カルシウム中に含まれる不純物としては、Si(シリコン)、Mg(マグネシウム)などが挙げられますが、それぞれ数十ppm程度以下に抑えて製造する技術を確立しました。同技術は上田石灰製造(株)と共同で特許を出願中です。
 また、造粒技術はレンズメーカーに納める際の形状としても重要なファクターとなります。粉末の場合、レンズメーカーでは結晶化工程で取り扱いが困難とされ、かさ密度の高い粒状品(造粒品)でなければなりません。この造粒技術を上田石灰製造(株)が保有しており、当社のガス技術と組み合わせることで今回の開発に至りました。
 今回の技術で製造した高純度フッ化カルシウムは、某大手光学レンズメーカーにて評価していただいたところ、天然のフッ化カルシウムを使用した場合と比較して光学特性が良好になるとの結果が得られました。
 蛍石はレンズに加えて、鉄鋼メーカーでも脱リンや脱硫工程にて純度の低い製品を使用しておりますが、近年、通常の鉄より品質の良い高品質鉄鋼の製造に注目が集まっており、この分野でも高純度の蛍石が求められています。
 当社では、今回の開発で人工蛍石の量産化に目途が立ったことから、今後は多くの会社に採用いただけるようレンズメーカーおよび鉄鋼メーカーを中心に同製品のPRおよび需要開拓を行い、早期の事業化を目指してまいります。

 ※参考画像は添付の関連資料を参照


【参考資料】

 ※添付の関連資料を参照



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