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東芝、CMOSを用いた車載用ミリ波レーダー向け周波数シンセサイザーを開発

2011-02-28

CMOSを用いた車載用ミリ波レーダー向け周波数シンセサイザの開発について


 当社は、CMOSを用いた車載用ミリ波レーダー向けに、デジタル・アナログ混載位相同期回路を用いたFMCW方式に対応した周波数シンセサイザを開発しました。高周波基準信号源等を使用することなく、線形性が高いFMCW信号が生成出来るため、車載用ミリ波レーダーの小型化、低価格化が可能となります。

 近年、車両の衝突緩和などを目的とした77GHz帯ミリ波車載レーダーが実用化されていますが、高周波特性に優れた化合物半導体やCMOSを用いた信号処理回路などの複数の部品を組み合わせているため、レーダー装置の小型化、低価格化が難しくなってしいます。そのため、CMOSを用いて1チップに集積化し、低価格化を目指す開発が行われています。

 CMOSに適したレーダーの方式としては、FMCW(Frequency Modulation Continuous Wave 周波数変調連続波)方式があります。これは、送信する信号の周波数を時間と共に線形に変化させ、対象から反射してきた受信信号と送信信号の周波数の差から距離や相対速度を検知する方式です。検出できる距離分解能は変調帯域に、速度分解能は変調周期に、また検出する精度は周波数を変化させる線形性に大きく影響します。従来ではアナログ位相同期回路を用いてFMCW信号を出力していましたが、これらの特性を満たすためにはDDFS(Direct Digital Frequency Synthesizer)や高周波基準信号源等の高価な回路を追加する必要がありました。

 今回、CMOSの利点を活かし、デジタル回路とアナログ回路を組み合わせた位相同期回路を用いてFMCW信号を出力する周波数シンセサイザを開発しました。高い精度が必要となる周波数変調はデジタル信号処理を用い、高い線形性が必要となるスムージング部はアナログ回路を用いることで線形性を改善しました。

 本シンセサイザを用いた試作チップでは、DDFS等を用いた場合と同等の最大1.5GHzの変調帯域、1ms〜10msの変調周期のFMCW信号の出力および0.04%以下の線形性誤差を、安価な26MHzの基準信号源を用いて実現できることが確認できました。試作チップの面積は1.7mm2、電源電圧は1.2V、消費電力は152mWです。

 本シンセサイザを用いることにより、車載用ミリ波レーダーに用いるFMCWシンセサイザ部にかかるコストは、従来のDDFS等の外部回路を用いたシンセサイザと比較して約1/4となり、車載用ミリ波レーダーの小型化・低価格化に繋がります。

 なお、本成果については、米国で開催中の半導体国際学会ISSCCにおいて2月22日(現地時間)に発表します。

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スムージング 信号処理 半導体

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