不動産経済研究所、首都圏マンションの大手不動産会社供給シェア調査結果を発表

首都圏マンション市場、大手不動産会社のシェアが拡大
２００２年の２０％から２０１３年には４１％、リーマンショックが転機


　株式会社不動産経済研究所（本社　東京・新宿）は、首都圏マンション市場における大手不動産会社の供給シェアを暦年ごとに調査しました。大手不動産会社の代表として、新築マンションポータルサイト「メジャーセブン」を共同で運営する住友不動産株式会社、株式会社大京、東急不動産株式会社、東京建物株式会社、野村不動産株式会社、三井不動産レジデンシャル株式会社、三菱地所レジデンス株式会社の７社の供給戸数をピックアップして調べたものです。マンション市場においては大手のシェアが年々高まっていると言われていますが、それを裏付ける結果となりました。詳細は以下の通りです。


＜大手シェアの拡大と供給社数の減少＞
　首都圏マンション市場の供給戸数が最高を記録したのが２０００年です。この年、総計９万５６３５戸のマンションが首都圏で供給されました。このうち、メジャーセブンの供給戸数は２万２９４３戸でシェアは２４％でした。その後、メジャーセブンのシェアは２００１年２４％、２００２年２０％、２００３年２３％と２０％台の割合が続きます。
　転機となったのはリーマンショックに代表される世界的な金融危機があった２００８年です。同年のメジャーセブンのシェアは２９％まで上昇、その後２００９年３６％、２０１０年４２％、２０１１年３９％、２０１２年４１％、２０１３年４１％と、ほぼ４０％台の割合が続いています。
　一方で、供給社数を見ると、２０００年に４１０社、２００１年に４２９社とピークを付けた後、直近の２０１３年には１８６社とほぼ半減しました。やはり、これもリーマンショックが起きた２００８年が転機となっており、同年に２２７社と前年比１８・３％減少した後、２００９年１６６社、２０１０年１６２社、２０１１年１４８社、２０１２年１５０社という供給社数で推移しています。

〔メジャーセブンの発売戸数とシェアの推移（首都圏）〕

　＊添付の関連資料「グラフ資料」を参照

　近年の都心居住の進展に伴い供給シェアが増えている都区部のマンションにおいても同様の傾向が見られます。もともと都区部のマンションは高価格帯であることから、高額マンションの供給に長けている大手不動産会社の比率が高いエリアでした。２０００年代前半では２０％台後半〜３０％台前半で推移していましたが、ここでもリーマンショックが起きた２００８年、３７％と３０％台後半のシェアとなった後、それ以降は４０％台から５０％台のシェアが続いています。
　また、供給社数もピークの２００１年の２５８社から２０１３年の１３３社と、これも同じように半減しました。やはり、リーマンショックが起きた２００８年が大きな転機となっています。

〔メジャーセブンの発売戸数とシェアの推移（２３区）〕

　＊添付の関連資料「グラフ資料」を参照


＜建築・用地コスト高騰で大手先導続く＞
　リーマンショックに代表される世界的な金融危機はわが国にも多大な影響を及ぼしました。その代表例の一つがマンション事業に参入してきた新興デベロッパーの相次ぐ破たんです。これが結果として、大手不動産会社のシェアを引き上げることにつながりました。
　安倍政権の誕生による異次元の金融緩和があったとはいえ、資本力と信用力に勝る大手不動産会社が先導する市場構造は今後も続くものとみられます。大手不動産会社の得意エリアである都区部の供給ウエイトが今後とも高まっていくとみられること、建築費の高騰・用地費の高騰により資金力と事業遂行力がこれまで以上に求められていくとみられること、などその理由です。
　ただし、供給社数がリーマンショック以降から徐々に回復している現状を見ると、異次元の金融緩和がマンション事業に対するファイナンスを呼び込んでいる傾向も伺えます。

　（注）
　　※　JV（ジョイントベンチャー）物件は単純社数割りで戸数へ反映
　　※　２０１１年以前のメジャーセブン供給戸数は三菱地所と合併した藤和不動産の供給戸数も含む。
　　※　三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス分社前は、それぞれ三井不動産、三菱地所の供給戸数。